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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
イレギュラー
しおりを挟む大爆発の影響で無惨になぎ倒された木々や、未だに炎が揺らめく大地。その中心に不自然に盛り上がった土の山。天然製というのはあまりに不自然で、人工製と言われた方がまだ納得がいく。その土の山が唐突に砕ける。内側から腸を引き裂いて寄生獣が這い出てくるように。ボゴボゴっと音を上げ、ついに山が崩れ落ちる。そして現れたのは一本の人の腕。続けてもう片腕がヌッと這い出て、ガバッと人の上半身が現れた。
砂まみれのせいで、黒髪で髪先が赤みがかっているいわゆる赤メッシュは綺麗さを失っており、顔や身につけている服にまで汚れをつけた青年がそこにはいた。
「ぺっぺっ!? うげぇ…口ん中まで砂が?!」
口の中に入っている砂やら細かい草やらを吐き出す青年もといシエル。彼がこんな風に土の山に生き埋めになっていたのは、突然起きた大爆発によるものだ。咄嗟に防御魔法を展開させたものの、流石に全てを相殺することは出来ず吹き飛ばされ、仰向けに倒れた所で、大量の土やら砂やらなんやらに覆い被さられたのだ。
「はぁ…。最悪だ」
ある程度、口の中の砂や土を吐き出した後、埋まっている下半身を救出させて立ち上がる。その際に服の中に潜り込んでいた砂やら土がドバァっと吐き出される。シエルはその感覚に不快感を覚えながらため息をついた。
「…1度帰ろうかな」
綺麗好きという訳では無いが、全身土まみれとなれば話は別だ。流石にこんな汚れを付けたまま動き回るのは御免こうむる。シエルは転移魔法で我が家に帰ろうとして、その動きを止める。そして、おもむろに地面に手のひらを押し当てて、目を瞑る。暫くして、目を開けた。
「…穢れた魔力の塊がこの森の中心部から無数に現れた?」
規則的にでは無く不規則的に突然出現した穢れた魔力の塊。先程まで感じ取れなかったはずだった。これではまるで幽霊のようだ。
「いや…隠蔽されていた?」
シエルはそんな考えに至るが、さらなる疑問が生まれる。
「だとしたら…何故いま隠蔽を解いた?」
この森に【魔盗団】の拠点があると踏んで西守獣騎士団はやってきたわけだが、秘密裏に行っている為、そう易々と【魔盗団】にバレるとは思えない。その時、頭をよぎったのは、数分前に出会った少女達の姿だ。ぶわっと嫌な汗が頬を伝わる。最悪な可能性を忘れていた。少女達が危険要素を呼んだ。
「あの娘達が【魔盗団】にバレた?!」
シエルは舌打ちして、穢れた魔力の付近に意識を集中させる。というのも、彼女らがバレたということは、そこを穢れた魔力の塊は突きに行くはずだ。ならば、そこに到達する前に、その穢れと対峙する必要がある。戦う姿を見られるのだけは避けたい。
「…よし、あの距離ならまだ問題ないな」
穢れの位置がまだ出現地点からそんなに離れてない事を確認して、転移魔法を発動した。そして、数秒で指定した位置に到着する。
『キャウン!?』
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙?』
屍狼と穢人が突如現れたシエルに驚き、退く。
「どんな奴らかと思えば、魔獣と穢人か」
シエルは予め用意しておいた愛銃を抜く。ここでシーカの力を使えば魔力感知能力の高い者にはすぐバレてしまう。よってそれは避けるしかない。
「面倒事はさっさと処理させてもらうよ」
その一言と共に、愛銃の引き金を引いた。
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