冒険者狩りをしている青年の表稼業

雪鵠夕璃

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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編

最強の男

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「--っ!?」

足元から突如発現した火柱。それを間一髪で回避する。そして牽制するように通常の魔弾を撃ちながら、シエルは状況を整理し始める。

(…あの男はどこから現れた?気配は感じとれなかった。オマケに敵味方関係無しの無差別攻撃。魔盗団とは違う別勢力か?)

シエルは有り得る限りの予想を次々と頭の中に浮かべていく。例えば、【魔盗団】ではあるが味方でも制御出来ない狂人。他にもいくつか考えられるが、あの男を長い間、相手している暇はないと、シエルは思考を切替える。

「どこの誰だか知らないけど、早めに処理させてもらう」

その一言と共に、複数の魔弾を連続で詰めていく。そして引き金を引く。するとシエルが両手に握っている魔法銃の銃口から一気に複数の魔弾が放出された。縦横無尽に駆け回る黒き弾丸から、白き雷を纏いし弾丸、全てを切り裂く緑の弾丸、全てを焼き尽くす炎槍と化した赤き弾丸、複数の水剣と化した青き弾丸が謎の男を葬り去らんと襲いかかる。

しかし--


「--邪魔だ」

その一言と共に手を払った瞬間、魔弾の効果が全て消えた。更に暴風が巻き起こり、シエルの身体を切り裂く。

「…ぐぅ!?」

幾度となく強敵と死闘を繰り広げてきたシエルだったが、今回の敵もカダと同じで勝てるかは定かではない。恐らくと言うより確実に魔力銃では大したダメージも与えられないと察し、シエルは距離をとって、彼女を呼び出すことにする。

「出番だ、影姫シーカクソ魔女

何も無い空間から闇が滲みだし、肥大化。そして、闇色のドレスを纏ったシーカが姿を現す。

『あら、大変そうね。坊や』

シエルの様子を見て、面白そうにクスクスと笑う。その態度に舌打ちをした後、手の平をシーカに向ける。

「かつて世界に君臨せし五代姫の一柱であり、影の女王【影姫シーカ】よ。契約者おれの声に応じろ」

そして、【影姫剣シーカリウス】召喚の儀式を強引に執り行う。

『…はぁ。仕方ないわね』

身勝手な主の態度に溜息をつき、手の平をシエルに向ける。

『妾が認めし影の執行人シエン・F・クロイセスの声に応じ、全てを喰らい尽くす永遠なる影の力を与える』

そしてシエルとシーカの声が重なり、

「『影は剣となりて、血を求める』」

そう唱えた。すると、影が放出され、一振りの短剣ナイフを生み出す。シエルはソレの柄を握り、構える。

「執行の時間だ、影姫剣シーカリウス」

その一言と共に謎の男の懐まで一瞬にして、距離を詰める。その際に、自身の足元から生み出した影で男を拘束する。軽く息を吸い込み、言葉を紡ぐ。

「影殺術--【黒刃棘影こくばとえい】」

グサリと男の腹部に刃を突き刺す。そして、影が黒刃を形成し、臓器などを切り刻む。完全なる殺人技。呆気の無い幕引き。シエルは血を払い、短刀を異空間へと返還する。

「ふぅ…。意外とてこずったな」

シエルは疲労の溜まりきった身体を休ませるように地面に倒れ込むように座る。恐らく連戦は不可能に近い。しかし、それを待ってくれるほど敵も甘くはない。ドクンっと男の身体から心臓の鼓動が突然鳴り響く。死に体と化した筈なのにだ。

「…嘘だろ」

シエルは毒づく。あの一撃で致命傷を受けたはずなのに、その事実は覆される。

「…あっぶねえ!もう少しで人生終了だったぜ」

ベキバキと首を鳴らし、その男は立ち上がった。そして、

「あ、そうえば名乗ってなかったな」

男は思い出したかのように呟き、

「俺はガヴォット・ジャーヴィス。最強の男だ。覚えとけ、小僧」

シエルの眼前まで接近、獰猛な笑みと共に顔面を拳で打ち抜いた。
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