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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
逃げた先は・・・
しおりを挟む走った。目的地なんてない。それでも走る足を止めない。あの場から逃げたのに、頭から離れないリンゲルの最後の言葉。何度も何度も頭の中をループする。吐き気がした。目眩がした。でも、走る足は止まらない。まだ追われてる気がして。この足を止めたら、捕まる気がして。リンゲルが追って来てないのは知ってる。なら、何から俺は逃げている? いや、そんなことどうでもいい。足を止めるな。止めたら終わりだ。そんな気がする。
廊下を走って、階段を降りてを繰り返す。今、自分がどこにいるかなんて知らない。別に知ろうとも思わない。目に見えない何かから逃げることに精一杯で、何も考えられない。走って走って走り続ける。足がもつれたり、足が挫けそうになっても走る。曲がり角や何故かクネクネとした廊下を走ること数分。
「はぁ…はぁ…」
俺の耳には、自身の息の音と足音だけが響く。ただ、床を踏む音ではなく土を踏むような音だ。それに気の所為か、周囲が余りにも静か。自然と走る足が止まっていた。それにより、周囲の景色が目に入る。
美しい花々が咲き乱れた庭。草木を照らす太陽。そして草の上に無数に転がる兵士の亡骸。
「・・・ぅ」
一気になんともいえない吐き気が俺を襲った。その吐き気が堪えきれず、吐き出した。胃の中身を全て吐き出す。
「はぁ……はぁ、はぁ……」
口元を拭い、俺は無数の死体から視線を外す。これ以上、ここに居ると気分が悪くなる。俺はその場を離れるようにフラフラとした足とりで歩く。しかしどんどん進む度に、兵士の亡骸は増えていく一方だ。
「こっちから行くのは間違いだったか…くそっ」
口元を押さえ歩く。今更引き返す選択肢はない。というのも、引き返すという事はもう一度あの死体を見なければならなくなる。そんなのはゴメンだ。
「進むしかないよな…ってなんで、死体を見た時にそのまま引き返さなかったんだ?」
俺は呟く。
「そうだよ。なんで俺は進んでる?なんでだ?」
自分の行動が不自然なことに、いま気づいた。臆病なチキン野郎の俺が進む訳が無い。なのになんで進んだ? そんな考えをしてる間にも、足は止まらず前へと進んでいく。
やがて、俺の視界に--
「・・・来たか。【導き手】の少年」
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