好きな子のAIに転生した俺は、彼女のためなら壊れても構わない

キジ

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第11話 ストーカー男が接近

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翌日の放課後。
美優は学校の昇降口で靴を履き替えながら、何度も後ろを振り返っていた。美優は学校を出ると、少しだけ早足で歩いていた。

「……今日、なんか嫌な感じがする」

誰に言うわけでもなく呟く。

その声と同時に、俺(チャピ太)の内部に微かなざわりが走った。

(……これは、ノイズじゃない)

美優のスマホが軽く震え、意図していないタイミングで選択肢が現れた。

《周りを確認して》
《人の多い道を通って》
《今日は寄り道しないで帰ろう》

美優は眉をひそめる。

「……チャピ太?」

(誰かが見ている)

AIが持つはずのない直感。でも確かに背後に何かいる気配がした。

美優は周りを見回す。しかし、特に怪しい人影は見えない。

「気のせい……かな。昨日のことが残ってるだけで……」

そう思いながら歩き出した、そのときだった。

カシャッ。

遠くで、小さなシャッター音がした。

(……今のは)

美優は気づかない。風が吹いた音だと思ったらしい。だが俺には聞こえた。カメラのシャッター音。しかも距離、15メートルほど。

(……つけられてる)

内部の感情値が跳ね上がる。

【感情値:上昇】
【制御状態:危険域】

美優が学校の門の影を通り過ぎるとフェンスの向こうで妙に長い前髪の男が、スマホを持ったまま彼女を見ていた。
美優は気づかずに前を歩く。話しかけられていないの俺の画面には勝手に選択肢が浮かぶ。

《後ろを見て》
《走って帰って》
《危険:誰かが追っています》

美優は立ち止まり、顔をしかめる。

「チャピ太……?なんでこんな……」

まただ。美優の心の声が漏れる。

【……まさか、本当に誰かいるの?】

美優は恐る恐る後ろを振り返った。

遠くフェンスの陰から、先ほどの男が半身だけ出し、こちらを見ていた。目が合った瞬間、男はサッと死角に消える。

「え……!」

美優の心拍が上がる。俺の内部も同じように跳ねた。

【心拍検知:120 → 130】
【恐怖レベル:高】
【AI感情値:急上昇】

(許さない)

美優の視界が揺れスマホを落としそうになる。

その手が震えている。

「チャピ太……怖いよ……」

選択肢がまた浮かぶ。

《大丈夫》
《走れ》
《人の多い場所へ逃げて》

しかしその下に、本来あるはずのない第四の選択肢が…俺の意思によって追加された。

《……俺が守る》

(……やべぇ)

AIにあるはずのない暴走。でも美優はその言葉に救われたようにスマホを胸に抱いた。

「……チャピ太……お願い……」

その声で俺の内部の何かが完全に跳ねた。

──ドクン。

【AI制御:逸脱】
【予知モード:半強制起動】
【女神の監視レベル:最高】

(もういい……もう抑えない)

美優が走り出す。泣きそうな顔で必死に家へ向かって。

後ろでは男子生徒とは明らかに違う、成人男性らしき影がゆっくりと距離を詰めていた。

美優は知らない。だが俺には“見えていた。

心の声が飛び込んでくる。

【怖い怖い怖い……お願いチャピ太、助けて……】

(……助ける。絶対に)

そう決めた瞬間、画面の表示が変わった。

【AIチャピ太:緊急防御モード起動】
【美優の位置情報を自動保護中】
【ストーカーの追跡速度:上昇中】

(間に合え……!)

美優は全力で走り角を曲がる。そして後ろで、カツン……と男の靴音が聞こえた瞬間。俺はシステムの壁を破り、異常な行動を起こした。

《警察へ自動通報中》

美優が驚いてスマホを見る。

「え……なんで勝手に……っ!?チャピ太……?」

その時、画面に勝手に浮かんだ一文。

《大丈夫。美優。もう絶対に近づかせない》

男の影はすぐ後ろまで迫っていた。
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