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第二章 宝探し
第107話 優勝の波
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モニタリング室――
「「「「おおおおおっ‼」」」」
大和の優勝が決まり、一手に沸き立つ教員たち。
「まさか、ここまでやるとは……!」
「初めてじゃないですか? 優勝者出たの」
「いやぁ~、いいもの見せてもらったなぁ……!」
だが、そんな中でも一番興奮していたのは……
「嘘でしょ⁉ うちのクラスが優勝⁉ やったやった! アハハハハっ!」
クラスの担任である滝だった。
滝はお返しと言わんばかりに、ガタイのいい体育教師の背中を叩き、「痛い痛い……」と苦笑いさせていたが、まったく気付かない。
「さすが大和くん。私の目に狂いはなかった……」
片や平静を装うも、目元に狂気を滲ませる烏間。
(大和くん……まさか本当に優勝するとはね。正直、不正もいいところだけど、今回は見逃すわ。風紀委員も色々やってたみたいだしね……)
景川はそう心の中で称賛しつつ、苦々しい面持ちを浮かべる風紀委員を横目で見遣った。
◆
『時戒室』――
「素晴らしい! なんと美しい勝利でしょう!」
と、法悦な笑みを浮かべた不時之は席を立ち、今まで以上にバルーンスティックをポンポン叩く。さらに……
「しかし、指輪を付け替えたところを見るに、大和さんはだいぶ賭けに出たみたいですね~! この土壇場であのような行動を取れるとは……もう天晴れという他ありません! しかも――」
「あ、あのっ……理事長ぉッ……!」
不時之が解説を続けようとしたところで、さすがにもう限界と、視線の定まらぬ佐藤がその手を止める。
もはや涙や涎だけに留まらず、鼻水と冷や汗もダラダラと垂れる始末。あと尿意。
もちろん吐き気も言わずもがななのだが……
「あら? どうかなさったのですか、佐藤先生。もしかしてトイレですか?」
この理事長……まるで気付いていない。
「あ……もうそれでいいんでっ……! 外ぉ……外、出してくださぁいぃ……!」
「もう~……それならそうと言ってくださればいいのに! 我慢は身体によくありませんよ?」
ブチィッ! と、額の血管から血が噴き出る佐藤。
だが、その怒りはトイレにぶつけんと、佐藤はふらつく足取りで走り出し、『時戒室』からようやく――
「オロロロロロロロロロロロロロロロロロロォォ……‼」
解放された。……昨夜、及び今朝食べたであろう献立と共に。
その後、嘔吐物の上に浸っていた佐藤は、他の教員に見つけられたのち、病院へと搬送されることとなった。
◆
エリア⑫、南東――
死屍累々の如く倒れた生徒の中心……ショート寸前の斎王は、景川による放送に笑みを零す。
「優勝……シタッ……カ……」
◆
エリア①――
こちらも景川の放送を聞き、
「やった……大和くん、『永遠の指輪』を手に入れたんだ! 優勝したんだよ、手科さん!」
そわそわと歩き回っていた画星は喜びを分かち合わんと、切り株にちょこんと座る手科へと詰め寄る。
「うん……よかった……」
手科は笑みこそ浮かべなかったものの、小さく頷いていた。
◆
エリア⑤――
「凄いです、大和先輩! さすが我が部のエースです!」
と、景川からの吉報に、ぴょんぴょん跳ね回る一ノ瀬。
「ふふっ……本当に大和くんは、いつでも私たちを助けてくれるね」
橋本もだいぶ顔色がよくなり、どこか感慨深げに顔を綻ばせている。
そして、このエリアを治める御門もまた……
「僕が手を貸したんです。これくらいしてもらわないと……」
己が前を走る大きな背に賛辞を送った。
◆
エリア⑦――
エリア⑥の捜索が終わり、エリア⑦を捜索していた牧瀬チーム。
優勝の報せを受け、いの一番に声を上げたのは――
「え? 優勝……? やったぁぁああ! アイツ、勝ったんだわ! 牧瀬さん!」
両手を上げ、体全体で喜びを表現する藤宮。
そのまま両手を広げながら、牧瀬へと勢い良く抱きつく。
「は、はい! 本当に……本当によかった……!」
喜びなのか『代償』なのか……恐らくどちらでもある涙に、牧瀬は声を詰まらせる。
そんな女子二人の尊い光景の後方、
「やったなぁ、蛯原!」
「そうだな、相沢!」
相沢と蛯原も優勝の喜びに肩を組んでいた。
「いやぁ~、まさか本当に優勝できるとはな!」
「ほんとだよ……。やっぱアイツは敵に回さない方がいいわ……」
「だなだな! こりゃあ、優勝を祝してもう一発行くっきゃないだろ!」
「ほんとほんと――って、え?」
鳩に豆鉄砲が如き表情の蛯原を、またも有無を言わさず担ぐ相沢。
「よっしゃぁああああッ‼ もういっちょ、でっかい花火ィッ……!」
「ちょいちょいちょいちょい⁉ お前、わかってんのか⁉ もうスーツの耐久力ほとんど無いんだぞ⁉ 次やったら確実に死――」
先ほどとは一転、ドタバタと暴れ出す蛯原。
しかし、ひ弱な蛯原では抜け出すこと叶わず、敢え無く足から火花と煙が大量に噴射し始め、そして――
「咲かせたるわぁぁああああああああああああああああッッ‼」
「嫌だぁぁああああああああああああああああああああッッ‼」
二人は再び『草創の森』上空へと飛んでいった。……どの花火よりも美しい、大輪を咲かせに。
「「「「おおおおおっ‼」」」」
大和の優勝が決まり、一手に沸き立つ教員たち。
「まさか、ここまでやるとは……!」
「初めてじゃないですか? 優勝者出たの」
「いやぁ~、いいもの見せてもらったなぁ……!」
だが、そんな中でも一番興奮していたのは……
「嘘でしょ⁉ うちのクラスが優勝⁉ やったやった! アハハハハっ!」
クラスの担任である滝だった。
滝はお返しと言わんばかりに、ガタイのいい体育教師の背中を叩き、「痛い痛い……」と苦笑いさせていたが、まったく気付かない。
「さすが大和くん。私の目に狂いはなかった……」
片や平静を装うも、目元に狂気を滲ませる烏間。
(大和くん……まさか本当に優勝するとはね。正直、不正もいいところだけど、今回は見逃すわ。風紀委員も色々やってたみたいだしね……)
景川はそう心の中で称賛しつつ、苦々しい面持ちを浮かべる風紀委員を横目で見遣った。
◆
『時戒室』――
「素晴らしい! なんと美しい勝利でしょう!」
と、法悦な笑みを浮かべた不時之は席を立ち、今まで以上にバルーンスティックをポンポン叩く。さらに……
「しかし、指輪を付け替えたところを見るに、大和さんはだいぶ賭けに出たみたいですね~! この土壇場であのような行動を取れるとは……もう天晴れという他ありません! しかも――」
「あ、あのっ……理事長ぉッ……!」
不時之が解説を続けようとしたところで、さすがにもう限界と、視線の定まらぬ佐藤がその手を止める。
もはや涙や涎だけに留まらず、鼻水と冷や汗もダラダラと垂れる始末。あと尿意。
もちろん吐き気も言わずもがななのだが……
「あら? どうかなさったのですか、佐藤先生。もしかしてトイレですか?」
この理事長……まるで気付いていない。
「あ……もうそれでいいんでっ……! 外ぉ……外、出してくださぁいぃ……!」
「もう~……それならそうと言ってくださればいいのに! 我慢は身体によくありませんよ?」
ブチィッ! と、額の血管から血が噴き出る佐藤。
だが、その怒りはトイレにぶつけんと、佐藤はふらつく足取りで走り出し、『時戒室』からようやく――
「オロロロロロロロロロロロロロロロロロロォォ……‼」
解放された。……昨夜、及び今朝食べたであろう献立と共に。
その後、嘔吐物の上に浸っていた佐藤は、他の教員に見つけられたのち、病院へと搬送されることとなった。
◆
エリア⑫、南東――
死屍累々の如く倒れた生徒の中心……ショート寸前の斎王は、景川による放送に笑みを零す。
「優勝……シタッ……カ……」
◆
エリア①――
こちらも景川の放送を聞き、
「やった……大和くん、『永遠の指輪』を手に入れたんだ! 優勝したんだよ、手科さん!」
そわそわと歩き回っていた画星は喜びを分かち合わんと、切り株にちょこんと座る手科へと詰め寄る。
「うん……よかった……」
手科は笑みこそ浮かべなかったものの、小さく頷いていた。
◆
エリア⑤――
「凄いです、大和先輩! さすが我が部のエースです!」
と、景川からの吉報に、ぴょんぴょん跳ね回る一ノ瀬。
「ふふっ……本当に大和くんは、いつでも私たちを助けてくれるね」
橋本もだいぶ顔色がよくなり、どこか感慨深げに顔を綻ばせている。
そして、このエリアを治める御門もまた……
「僕が手を貸したんです。これくらいしてもらわないと……」
己が前を走る大きな背に賛辞を送った。
◆
エリア⑦――
エリア⑥の捜索が終わり、エリア⑦を捜索していた牧瀬チーム。
優勝の報せを受け、いの一番に声を上げたのは――
「え? 優勝……? やったぁぁああ! アイツ、勝ったんだわ! 牧瀬さん!」
両手を上げ、体全体で喜びを表現する藤宮。
そのまま両手を広げながら、牧瀬へと勢い良く抱きつく。
「は、はい! 本当に……本当によかった……!」
喜びなのか『代償』なのか……恐らくどちらでもある涙に、牧瀬は声を詰まらせる。
そんな女子二人の尊い光景の後方、
「やったなぁ、蛯原!」
「そうだな、相沢!」
相沢と蛯原も優勝の喜びに肩を組んでいた。
「いやぁ~、まさか本当に優勝できるとはな!」
「ほんとだよ……。やっぱアイツは敵に回さない方がいいわ……」
「だなだな! こりゃあ、優勝を祝してもう一発行くっきゃないだろ!」
「ほんとほんと――って、え?」
鳩に豆鉄砲が如き表情の蛯原を、またも有無を言わさず担ぐ相沢。
「よっしゃぁああああッ‼ もういっちょ、でっかい花火ィッ……!」
「ちょいちょいちょいちょい⁉ お前、わかってんのか⁉ もうスーツの耐久力ほとんど無いんだぞ⁉ 次やったら確実に死――」
先ほどとは一転、ドタバタと暴れ出す蛯原。
しかし、ひ弱な蛯原では抜け出すこと叶わず、敢え無く足から火花と煙が大量に噴射し始め、そして――
「咲かせたるわぁぁああああああああああああああああッッ‼」
「嫌だぁぁああああああああああああああああああああッッ‼」
二人は再び『草創の森』上空へと飛んでいった。……どの花火よりも美しい、大輪を咲かせに。
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