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8話 炎
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——-中央区 大通り——-
突如現れた、宙に浮かび、体中は赤く、2本の黒いツノがある、メラメラと炎を纏うその生物【イフリート】は、次々と街を破壊していく。
「きゃー!!」
「熱いよぉ…助けて…」
「逃げろー!!」
人々は炎に包まれる中央区の大通りを逃げ惑う。
イフリートは右手から炎を出すと、その手を後ろに引き、勢いよく前に突き刺す。
ボォォォォ
凄まじい威力の炎は人々に向かって飛んでいく。
その時だった…
反対方向から突如として吹く凄まじい風。
その風はまるで生きているかのようにその炎をしたから押し上げ、炎は角度を90°上に方向転換。赤く街が光り、熱風がビルの窓ガラスを割る。
「これ以上被害は拡大させない。」
イフリートとは反対方向に右手を突き出して立つ、紺色の服を纏い、白いマントを靡かせる男がいた。
その"風"はまさしく、その男が操ったものだった。
イフリートはその男の存在に気づくと、ギラっと睨みつけ、その男に目掛けて飛んでいく。
あっという間に目の前まできたイフリートは3本の長く黒い爪を振り上げる。
「"アレイス!"」
その男はサッと右手を横に出し、突如そう叫ぶと、緑と白の光で包まれた剣を創造する。
ガキーーーン
大きな3本の黒い爪と緑と白に光り輝く大きな剣が激しくぶつかる。
白いマントが激しく靡く。イフリートに纏う炎も激しく靡く。
イフリートは反対の手から炎を出すと、目の前にいる男の腹に目掛けてその炎を放つ。
男は剣をずらして反動を利用して黒の爪を受け流すと、その炎の攻撃をぎりぎりかわすが、少し服が焼ける。
その流れで男は左手に収まるほどの"小さな竜巻みたいな風"を起こすと、イフリート目掛けてその風をはなつ。
「ストーム ガンッ!!(風銃)」
凄まじい威力の風が凝縮され、イフリートの体一点目掛けて放たれる。
その威力にイフリートは耐えられず、吹き飛ばされる。数百メートル離れたビルに吹き飛ばされる。
がれきに埋もれたイフリートはゆっくりと立ち上がると、両手から丸い炎を作り、勢いよくがれきから抜け出し、前方に飛び出ると、男めがけて両手の炎を撃ち放つ。
男は飛んでくる二つの炎に、剣を二回左右斜めに重なるように振る。
「風双竜の爪!!」
ザンザンッと音を出してその技は二つの炎を真っ二つに切る。男を避けるように炎は目の前で分裂し、熱風がマントを靡かせる。
両者互角、炎と風の激しい戦いに、周りの人々は逃げるのを忘れてしまい、少し隠れるように見ている。
その人々の上から、ガラガラっと音を立てて大きなビルのがれきが降ってくる。
「アクア ヴァルカンッ!」
突如人々の真横の地面から水の柱が上に向かって飛び出し、がれきを吹き飛ばす。
「ほ~ら、こんなとこで溜まってないで、早く逃げてよ!」
腰に手を当てながら歩いてくる一人の女。
少し薄い水色のポニーテールの髪に、水色の戦闘スーツ。白のマント。
そう言うと、女は、イフリートと戦う男の方を見ると少しムッとして、怒ったように腕を組みながら男の方に歩いて行く。
救われた人々は、「君らは一体」と問うと、女は振り向きニコッと笑い顔の近くでピースすると、「正義の味方」と言い残し、戦場に歩いていく。人々は唖然と見ることしかできなかった。
女はイフリートと戦う男の目の前までいくと、男と目が合う。女はムッとした顔をしている。
「なんだよ」
「…はー!?なんだよ…じゃないわよ!どれだけ私があんたのカバーしてると思ってんのよ!それにどんどん突っ走っていって、あんたなんなの!?死にたいわけ!?」
女は何度も男をチョップしながら少し早口で怒る。
「あいつは俺一人で十分なんだ。お前はいちいち入ってくんな」
「はー!?せっかく助けに来たのに何様なのよ!いや、てか私たち今ペアでしょ!?なにひとりで頑張ってますよ!的な事いってんのよ!ばっかじゃないの!?」
「だまれ」
「だまれじゃないわよ!協力した方が勝ちやすいに決まってんでしょ!?ちょっと考えたらわからないの!?協力よ!協力!」
隠れるように見る人々は戦場に立つ二人の姿を見て少し心配そうに話す。
「お、おい、あの二人ってー…、ほんとに仲間なのか…」
「いや、ちょっとわかんねぇ」
怒ってくる女の話を聞き流すように返答するクールな男。
五十嵐千馬(いがらし せんま)
フォース"風"
風を操ることができる。風を起こすことが可能だけでなく、風を刃のように操ることもできる。
薄い水色のポニーテールの女
天女美潤(あまとめ みうる)
フォース"水"
水を操ることができる。
千馬も美潤の会話を邪魔するかのようにイフリートは突っ込んでくる。
黒い爪を千馬目掛けて振り下ろす。
右手に持つ剣をガードにはじく。
「"アレイスッ!"」
美潤もそう叫ぶと、右手から水色に染まった剣が創造される。
「水竜一閃!!」
剣の先をイフリート目掛けて突き刺す。
水色の剣に纏う水の竜がイフリートを噛み付くように吹き飛ばす。
「なんだ、余裕じゃん。私ひとりでもいけるわ。」
「いや、お前には無理だ。」
「はー!?なんであんたにそんなこと決めつけられないといけないのよ!」
「今のは俺のガードがあってのことだろ」
「あ・の・ねぇ!…」
二人が話している間に、イフリートは立ち上がると、両手の拳をぐっと握り、少し宙に浮かぶ。体はさらに赤くなっていき、周りに炎が浮き出てくる。
「美潤、気を引き締めろ、さっきと少し雰囲気が変わった。」
「そんなこと分かってるわよ!」
さすがの2人もイフリートの様子の変化に気づき、少し気を引き締めたような顔で剣を握りしめる。
——中央区 ビル内——
沙耶VS男
「まさかさっきの一撃を避けられるとは思ってなかったよなー?でもご覧の通り、ほぼ無傷だぁ、くはははっ!」
「何したの…」
「俺のフォース"爆破"で、打ち返したんだよ。さすがになかなかの火力だったもんで、全部は弾き返せなかったがな」
男は沙耶の"アスルム"を逃げ場のない廊下で受けたように見えたが、爆破で自分の目の前にだけ空間を作っていた。
沙耶は少し真剣な顔で見つめる。
「一体、何が目的なの。何者なの。あなたたち…」
男はニヤッと笑うと、手を横に広げる。
「目的は…そうだなぁ、"復讐"、"奪い返す"とでも言えるか…」
「復讐…?ここの人たちが何をしたっていうの!」
「お前らは俺たちにとって、"全員同じ存在"であり、"敵"なんだよ。」
「人間同士が争ってどうするの…。暴力で何が解決するのよ…!」
「ん…?お前は一つ"大きな勘違い"をしているようだな…」
「"勘違い"…?」
男は両手に力を入れ、バチバチと小さな爆破を起こすと、姿勢を低くし、飛びかかる構えを取る。
「俺たちとお前らは、"同じ"じゃない」
「どういう意味よ…」
「俺たちは"違う星"から来た!そしてお前をここで確実に捕らえる!」
「"違う星"!?」
男は沙耶に向かって走り出すと、爆破を沙耶にめがけて放つ。
「そして俺の名はザック!"オノル・ムンドの生き残る戦士"だ!!」
———東京 港区 Fors本部———
巨大な部屋の空間にたくさんのモニターが立ち並び、前方には一番大きなモニターが東京首都テロの様子を生々しく映し出している。
その部屋にはたくさんのスーツを着た人々が忙しなく仕事に取り掛かっている。
後ろの少し高めの高台から部屋全体を腕を組みながら真剣な顔で見回すのは、Fors代表 ルミリエル・ノア。
モニターの前でパソコンを打つ司令員が後ろを振り返り、ノアに少し大きめな声で言う。
「ノア代表!"千里"さんから連絡です!」
ノアはちらっと見ると耳につけたイヤホンに手を当て、「繋いで」と言った。
「………もしもーし、あ、ノアちゃん?」
「その呼び方やめてください。…で、今の状況は?」
「あぁー、"もう片付いたよ"、これから中央区と渋谷区の後片付けに向かう予定だよ」
「"他の人"たちは?」
「あー、もう向かっているんじゃないかな?」
「そう。ご苦労様」
「しかし…ノアちゃん。大丈夫か?うまくいってるのか?今回の被害はなかなか大きい気がするよ」
「いや。思ったより被害は少ないわ。」
「へぇ~。なかなか鬼だねぇ~ノアちゃんも」
「"今後の処理"については段取りがついているわ。あとはこれ以上被害の拡大を阻止できるか…」
ノアの電話の相手"千里"という男は、鼻でふっと笑うとこう言い残す。
「"あとは俺たちに任せとけばいい"」
——東京都 渋谷区——
バリンッ
バコンッ
侵入してきたオーガを蓮は愛を守りつつ戦っていた。
「くっ…」
机の上に押さえつけられた蓮は頭を掴もうとするオーガの手を必死で押し返しこらえている。
(このままだったら体力の限界で負けてしまう…!フォース、どうやって使うんだよ!剛斗に聞いておけば…!)
手の力の入れ合いで、お互い手がぶるぶると震える。
「ゔーーーーー!」
激しく唸るオーガに蓮は一気に力を込めて横に倒す。
ガシャン!
蓮が今度は馬乗りになると、オーガの顔面を力いっぱいに殴る。
「いてっ!」
(聞いてないのか!?)
フォースを使わず一般人と同じように普通の拳で殴るとオーガの体には少しも効かないということだ。
オーガは目をギロッとさせると、蓮を吹き飛ばす。
「うわっ!!」
蓮は1.2メートルほど離れた壁に吹き飛び、真下の棚に落ちる。その勢いで耳につけていたイヤホンが取れる。
ガシャーーン!
「いってぇ」
オーガはゆっくり立ち上がると、蓮を睨みながら唸り続けている。
蓮はオーガを睨みながらゆっくりと立ち上がる。
(こ…このまま勝てる気がしねぇ。どーする…どーすればいんだ。)
そして、周りをチラッと見ながら、部屋の隙間に見える愛の姿を見ながら考える。
(とりあえずこの部屋でこれ以上やりあうのはまずい。愛にも危害が加わる可能性も十分にある。それに…)
蓮は姿勢を少し低くすると、とびかかる構えを取る。
「これ以上俺の部屋を荒らすな!!」
蓮はそういうと、オーガに向かって走り出す。そしてオーガの体をガシッと掴み、窓側に突き押し出す。
バリンッ!!
窓ごとはずれ、窓ガラスが大きく割れる。
ベランダの手すりにまでオーガを押し続けると、さらに力を込める。
「お…ちろぉー!!!」
しかしオーガの方が体はでかい。重量も違う。オーガは蓮を掴むと、ブレーンバスターのようにベランダの外に放り投げる。
「え…うわ、やべぇ!」
蓮は慌ててオーガの首を掴むと、ベランダの外に放り出される。
オーガの首にぶら下がり、絶体絶命。下を見ると8階の高さがどれだけ高いかわかるほど下が遠い。蓮は意地でも死ぬまいとオーガの首を下に引っ張ると、オーガの体が少しずつ浮いてくる。
「おっらぁーー!!!」
オーガは慌ててバタバタするが、ガタンっと体が乗り上がり、ずるっとベランダから飛び落ちる。
一気に下に突き落とされながら蓮はオーガの体を掴むと、首を絞め、体をぐるっと回転させ、オーガを下敷きに仕向ける。
そのまま下にあった車に落下。
ガシャンと音を立て、蓮は死んだと思ったが自分が生きていることに少し驚く。
「あそこから落ちて俺生きてんのかよ」
しかしそれはオーガも同じだった。
オーガは下敷きのまま、腕をブンッと振り上げると、蓮を駐車場の少し広い場所に吹き飛ばす。
「うわっ!!」
ズザーー
何回転か転がるがすぐに立ち上がる。
オーガも立ち上がると、車から飛び降りる。
(どーする…どーすれば勝てるんだ。)
蓮は自分の手の平を見つめながら少し考えると、オーガを見る。
しかし敵は待ってくれない。すごいスピードで走ってくる。
(どうする…あの巨大であのスピード。これは受けられない…!避けてもいつまで経っても終わらない…!俺に…力があるなら…)
…………だ、、、………
(ん、今何か聞こえた…)
心臓の鼓動が激しく体を叩き響かせ続ける。
………くだ、、、……
(なんだ…誰だ…)
オーガは恐ろしい形相でこちらへ走ってくる。
………"核だ"………
すごい耳鳴りがする。しかし"何か"聞こえる
(核…だと?)
……お前の中の"核"をコントロールしろ……
オーガは目の前まで来ると蓮を思いっきり殴り吹き飛ばす。
「うわぁぁぁ!!!」
ズザーーーーッ
蓮は腹を思いっきりくの字になるほど殴り吹き飛ばされた。
「がはっがはっ!おえっ!」
腹を押さえながらうずくまる蓮。
しかしオーガは容赦なく近づいてくる。
痛い。苦しい。息ができない。
しかし蓮の頭の中はさっきの"核"という言葉でいっぱいとなっていた。
「まさか…"あいつ"か…さっきの声は…」
"あいつ"とは、つい先日、目が覚める前の夢の中のような真っ白な場所にいた、目の赤い白と黒の髪の男のことである。
蓮はゆっくりと苦しそうな顔をしながら立ち上がる。
「おい…。"お前"が俺のこれまでのこと全部に…関わってんなら…教えろよ…!」
蓮は拳をぐっと握ると歯を食いしばり、オーガを睨みつける。
「"こいつ"に…勝つ方法…!!!」
———東京都 中央区 大通り———
イフリートのパワーアップした強さに、千馬と美潤の二人は苦戦していた。
「ハァ…ハァ…」
「こいつ…火力が…最初と全然違う…」
イフリートは手を交差にすると、手のひらを、少しはみ出すほどの火の玉を作り出す。
「来るぞ…!」
「分かってるわよ…!」
火の玉を一気に放出。すごいスピードで飛んでくる火の玉を二人はお互い反対方向に飛び、避ける。
美潤が避けた先に、イフリートは炎を放出する。
ボォォォォォォ
「くっ!」
美潤は直前まで来た炎に向けて手を出し、水を出そうとするが間に合わない。
「美潤!」
千馬も手から風を出そうとするが遠くて間に合わない。
バーーーン!
その時だった。突如違う方向から飛んできた"炎"がイフリートの"炎"を完全に打ち消したのだ。
「なっ…!?」
二人は転がり落ちると、突如起こったその出来事に驚きを隠せない。
「まったく、こんな"雑魚"に…どれだけ時間をかけてやがる…」
向こうから歩いてくる人影。煙で姿ははっきり見えないが、右手からメラメラと紅く燃える炎がしっかりと見える。
「あ…あれは…」
二人はその姿を目の当たりにして、今起こった出来事の全てを悟った。
真っ赤な長い髪の女。赤と黒の服に、風で少し靡く赤のマント。少し余裕そうに笑いながら歩いてくるその姿はまさに"強者"である。
イフリートは歩いてきたその女を見ると、右手を後ろに構え、炎を手から出すと、前に思いっきり放つ。
女はメラメラと燃える右手を前に出すとその炎が特大に膨れ上がる。
「メテオ・フレアッ!(紅蓮の隕石)」
その炎は凄まじい熱さ、スピード、大きさで、道路中央を黒く染めながらイフリートに突き進む。
メラメラと紅くギラギラと光るその炎はイフリートの出した炎を簡単に飲み込むと、イフリートに思いっきり直撃する。
ドカーーーーン!!!
イフリートは腕を交差に、ガードしようとするが、その炎に完全に飲み込まれる。
「ォォォォォオオオオオオ」
初めて声を発したイフリートはおぞましい悲鳴を響かせながらその炎の中で消滅した。
その炎は止まることなるビルに突き刺さった。
ドッカーーーーン!!
ビルが崩れ落ちる。
千馬と美潤はその出来事を呆然と見ておくことしかできなかった。
ォォォォォォ
あたりは一気に静まり返る。
炎を出したその女は口を開く。
「よぉ、"ひよっこ共"。」
——8話 完——
突如現れた、宙に浮かび、体中は赤く、2本の黒いツノがある、メラメラと炎を纏うその生物【イフリート】は、次々と街を破壊していく。
「きゃー!!」
「熱いよぉ…助けて…」
「逃げろー!!」
人々は炎に包まれる中央区の大通りを逃げ惑う。
イフリートは右手から炎を出すと、その手を後ろに引き、勢いよく前に突き刺す。
ボォォォォ
凄まじい威力の炎は人々に向かって飛んでいく。
その時だった…
反対方向から突如として吹く凄まじい風。
その風はまるで生きているかのようにその炎をしたから押し上げ、炎は角度を90°上に方向転換。赤く街が光り、熱風がビルの窓ガラスを割る。
「これ以上被害は拡大させない。」
イフリートとは反対方向に右手を突き出して立つ、紺色の服を纏い、白いマントを靡かせる男がいた。
その"風"はまさしく、その男が操ったものだった。
イフリートはその男の存在に気づくと、ギラっと睨みつけ、その男に目掛けて飛んでいく。
あっという間に目の前まできたイフリートは3本の長く黒い爪を振り上げる。
「"アレイス!"」
その男はサッと右手を横に出し、突如そう叫ぶと、緑と白の光で包まれた剣を創造する。
ガキーーーン
大きな3本の黒い爪と緑と白に光り輝く大きな剣が激しくぶつかる。
白いマントが激しく靡く。イフリートに纏う炎も激しく靡く。
イフリートは反対の手から炎を出すと、目の前にいる男の腹に目掛けてその炎を放つ。
男は剣をずらして反動を利用して黒の爪を受け流すと、その炎の攻撃をぎりぎりかわすが、少し服が焼ける。
その流れで男は左手に収まるほどの"小さな竜巻みたいな風"を起こすと、イフリート目掛けてその風をはなつ。
「ストーム ガンッ!!(風銃)」
凄まじい威力の風が凝縮され、イフリートの体一点目掛けて放たれる。
その威力にイフリートは耐えられず、吹き飛ばされる。数百メートル離れたビルに吹き飛ばされる。
がれきに埋もれたイフリートはゆっくりと立ち上がると、両手から丸い炎を作り、勢いよくがれきから抜け出し、前方に飛び出ると、男めがけて両手の炎を撃ち放つ。
男は飛んでくる二つの炎に、剣を二回左右斜めに重なるように振る。
「風双竜の爪!!」
ザンザンッと音を出してその技は二つの炎を真っ二つに切る。男を避けるように炎は目の前で分裂し、熱風がマントを靡かせる。
両者互角、炎と風の激しい戦いに、周りの人々は逃げるのを忘れてしまい、少し隠れるように見ている。
その人々の上から、ガラガラっと音を立てて大きなビルのがれきが降ってくる。
「アクア ヴァルカンッ!」
突如人々の真横の地面から水の柱が上に向かって飛び出し、がれきを吹き飛ばす。
「ほ~ら、こんなとこで溜まってないで、早く逃げてよ!」
腰に手を当てながら歩いてくる一人の女。
少し薄い水色のポニーテールの髪に、水色の戦闘スーツ。白のマント。
そう言うと、女は、イフリートと戦う男の方を見ると少しムッとして、怒ったように腕を組みながら男の方に歩いて行く。
救われた人々は、「君らは一体」と問うと、女は振り向きニコッと笑い顔の近くでピースすると、「正義の味方」と言い残し、戦場に歩いていく。人々は唖然と見ることしかできなかった。
女はイフリートと戦う男の目の前までいくと、男と目が合う。女はムッとした顔をしている。
「なんだよ」
「…はー!?なんだよ…じゃないわよ!どれだけ私があんたのカバーしてると思ってんのよ!それにどんどん突っ走っていって、あんたなんなの!?死にたいわけ!?」
女は何度も男をチョップしながら少し早口で怒る。
「あいつは俺一人で十分なんだ。お前はいちいち入ってくんな」
「はー!?せっかく助けに来たのに何様なのよ!いや、てか私たち今ペアでしょ!?なにひとりで頑張ってますよ!的な事いってんのよ!ばっかじゃないの!?」
「だまれ」
「だまれじゃないわよ!協力した方が勝ちやすいに決まってんでしょ!?ちょっと考えたらわからないの!?協力よ!協力!」
隠れるように見る人々は戦場に立つ二人の姿を見て少し心配そうに話す。
「お、おい、あの二人ってー…、ほんとに仲間なのか…」
「いや、ちょっとわかんねぇ」
怒ってくる女の話を聞き流すように返答するクールな男。
五十嵐千馬(いがらし せんま)
フォース"風"
風を操ることができる。風を起こすことが可能だけでなく、風を刃のように操ることもできる。
薄い水色のポニーテールの女
天女美潤(あまとめ みうる)
フォース"水"
水を操ることができる。
千馬も美潤の会話を邪魔するかのようにイフリートは突っ込んでくる。
黒い爪を千馬目掛けて振り下ろす。
右手に持つ剣をガードにはじく。
「"アレイスッ!"」
美潤もそう叫ぶと、右手から水色に染まった剣が創造される。
「水竜一閃!!」
剣の先をイフリート目掛けて突き刺す。
水色の剣に纏う水の竜がイフリートを噛み付くように吹き飛ばす。
「なんだ、余裕じゃん。私ひとりでもいけるわ。」
「いや、お前には無理だ。」
「はー!?なんであんたにそんなこと決めつけられないといけないのよ!」
「今のは俺のガードがあってのことだろ」
「あ・の・ねぇ!…」
二人が話している間に、イフリートは立ち上がると、両手の拳をぐっと握り、少し宙に浮かぶ。体はさらに赤くなっていき、周りに炎が浮き出てくる。
「美潤、気を引き締めろ、さっきと少し雰囲気が変わった。」
「そんなこと分かってるわよ!」
さすがの2人もイフリートの様子の変化に気づき、少し気を引き締めたような顔で剣を握りしめる。
——中央区 ビル内——
沙耶VS男
「まさかさっきの一撃を避けられるとは思ってなかったよなー?でもご覧の通り、ほぼ無傷だぁ、くはははっ!」
「何したの…」
「俺のフォース"爆破"で、打ち返したんだよ。さすがになかなかの火力だったもんで、全部は弾き返せなかったがな」
男は沙耶の"アスルム"を逃げ場のない廊下で受けたように見えたが、爆破で自分の目の前にだけ空間を作っていた。
沙耶は少し真剣な顔で見つめる。
「一体、何が目的なの。何者なの。あなたたち…」
男はニヤッと笑うと、手を横に広げる。
「目的は…そうだなぁ、"復讐"、"奪い返す"とでも言えるか…」
「復讐…?ここの人たちが何をしたっていうの!」
「お前らは俺たちにとって、"全員同じ存在"であり、"敵"なんだよ。」
「人間同士が争ってどうするの…。暴力で何が解決するのよ…!」
「ん…?お前は一つ"大きな勘違い"をしているようだな…」
「"勘違い"…?」
男は両手に力を入れ、バチバチと小さな爆破を起こすと、姿勢を低くし、飛びかかる構えを取る。
「俺たちとお前らは、"同じ"じゃない」
「どういう意味よ…」
「俺たちは"違う星"から来た!そしてお前をここで確実に捕らえる!」
「"違う星"!?」
男は沙耶に向かって走り出すと、爆破を沙耶にめがけて放つ。
「そして俺の名はザック!"オノル・ムンドの生き残る戦士"だ!!」
———東京 港区 Fors本部———
巨大な部屋の空間にたくさんのモニターが立ち並び、前方には一番大きなモニターが東京首都テロの様子を生々しく映し出している。
その部屋にはたくさんのスーツを着た人々が忙しなく仕事に取り掛かっている。
後ろの少し高めの高台から部屋全体を腕を組みながら真剣な顔で見回すのは、Fors代表 ルミリエル・ノア。
モニターの前でパソコンを打つ司令員が後ろを振り返り、ノアに少し大きめな声で言う。
「ノア代表!"千里"さんから連絡です!」
ノアはちらっと見ると耳につけたイヤホンに手を当て、「繋いで」と言った。
「………もしもーし、あ、ノアちゃん?」
「その呼び方やめてください。…で、今の状況は?」
「あぁー、"もう片付いたよ"、これから中央区と渋谷区の後片付けに向かう予定だよ」
「"他の人"たちは?」
「あー、もう向かっているんじゃないかな?」
「そう。ご苦労様」
「しかし…ノアちゃん。大丈夫か?うまくいってるのか?今回の被害はなかなか大きい気がするよ」
「いや。思ったより被害は少ないわ。」
「へぇ~。なかなか鬼だねぇ~ノアちゃんも」
「"今後の処理"については段取りがついているわ。あとはこれ以上被害の拡大を阻止できるか…」
ノアの電話の相手"千里"という男は、鼻でふっと笑うとこう言い残す。
「"あとは俺たちに任せとけばいい"」
——東京都 渋谷区——
バリンッ
バコンッ
侵入してきたオーガを蓮は愛を守りつつ戦っていた。
「くっ…」
机の上に押さえつけられた蓮は頭を掴もうとするオーガの手を必死で押し返しこらえている。
(このままだったら体力の限界で負けてしまう…!フォース、どうやって使うんだよ!剛斗に聞いておけば…!)
手の力の入れ合いで、お互い手がぶるぶると震える。
「ゔーーーーー!」
激しく唸るオーガに蓮は一気に力を込めて横に倒す。
ガシャン!
蓮が今度は馬乗りになると、オーガの顔面を力いっぱいに殴る。
「いてっ!」
(聞いてないのか!?)
フォースを使わず一般人と同じように普通の拳で殴るとオーガの体には少しも効かないということだ。
オーガは目をギロッとさせると、蓮を吹き飛ばす。
「うわっ!!」
蓮は1.2メートルほど離れた壁に吹き飛び、真下の棚に落ちる。その勢いで耳につけていたイヤホンが取れる。
ガシャーーン!
「いってぇ」
オーガはゆっくり立ち上がると、蓮を睨みながら唸り続けている。
蓮はオーガを睨みながらゆっくりと立ち上がる。
(こ…このまま勝てる気がしねぇ。どーする…どーすればいんだ。)
そして、周りをチラッと見ながら、部屋の隙間に見える愛の姿を見ながら考える。
(とりあえずこの部屋でこれ以上やりあうのはまずい。愛にも危害が加わる可能性も十分にある。それに…)
蓮は姿勢を少し低くすると、とびかかる構えを取る。
「これ以上俺の部屋を荒らすな!!」
蓮はそういうと、オーガに向かって走り出す。そしてオーガの体をガシッと掴み、窓側に突き押し出す。
バリンッ!!
窓ごとはずれ、窓ガラスが大きく割れる。
ベランダの手すりにまでオーガを押し続けると、さらに力を込める。
「お…ちろぉー!!!」
しかしオーガの方が体はでかい。重量も違う。オーガは蓮を掴むと、ブレーンバスターのようにベランダの外に放り投げる。
「え…うわ、やべぇ!」
蓮は慌ててオーガの首を掴むと、ベランダの外に放り出される。
オーガの首にぶら下がり、絶体絶命。下を見ると8階の高さがどれだけ高いかわかるほど下が遠い。蓮は意地でも死ぬまいとオーガの首を下に引っ張ると、オーガの体が少しずつ浮いてくる。
「おっらぁーー!!!」
オーガは慌ててバタバタするが、ガタンっと体が乗り上がり、ずるっとベランダから飛び落ちる。
一気に下に突き落とされながら蓮はオーガの体を掴むと、首を絞め、体をぐるっと回転させ、オーガを下敷きに仕向ける。
そのまま下にあった車に落下。
ガシャンと音を立て、蓮は死んだと思ったが自分が生きていることに少し驚く。
「あそこから落ちて俺生きてんのかよ」
しかしそれはオーガも同じだった。
オーガは下敷きのまま、腕をブンッと振り上げると、蓮を駐車場の少し広い場所に吹き飛ばす。
「うわっ!!」
ズザーー
何回転か転がるがすぐに立ち上がる。
オーガも立ち上がると、車から飛び降りる。
(どーする…どーすれば勝てるんだ。)
蓮は自分の手の平を見つめながら少し考えると、オーガを見る。
しかし敵は待ってくれない。すごいスピードで走ってくる。
(どうする…あの巨大であのスピード。これは受けられない…!避けてもいつまで経っても終わらない…!俺に…力があるなら…)
…………だ、、、………
(ん、今何か聞こえた…)
心臓の鼓動が激しく体を叩き響かせ続ける。
………くだ、、、……
(なんだ…誰だ…)
オーガは恐ろしい形相でこちらへ走ってくる。
………"核だ"………
すごい耳鳴りがする。しかし"何か"聞こえる
(核…だと?)
……お前の中の"核"をコントロールしろ……
オーガは目の前まで来ると蓮を思いっきり殴り吹き飛ばす。
「うわぁぁぁ!!!」
ズザーーーーッ
蓮は腹を思いっきりくの字になるほど殴り吹き飛ばされた。
「がはっがはっ!おえっ!」
腹を押さえながらうずくまる蓮。
しかしオーガは容赦なく近づいてくる。
痛い。苦しい。息ができない。
しかし蓮の頭の中はさっきの"核"という言葉でいっぱいとなっていた。
「まさか…"あいつ"か…さっきの声は…」
"あいつ"とは、つい先日、目が覚める前の夢の中のような真っ白な場所にいた、目の赤い白と黒の髪の男のことである。
蓮はゆっくりと苦しそうな顔をしながら立ち上がる。
「おい…。"お前"が俺のこれまでのこと全部に…関わってんなら…教えろよ…!」
蓮は拳をぐっと握ると歯を食いしばり、オーガを睨みつける。
「"こいつ"に…勝つ方法…!!!」
———東京都 中央区 大通り———
イフリートのパワーアップした強さに、千馬と美潤の二人は苦戦していた。
「ハァ…ハァ…」
「こいつ…火力が…最初と全然違う…」
イフリートは手を交差にすると、手のひらを、少しはみ出すほどの火の玉を作り出す。
「来るぞ…!」
「分かってるわよ…!」
火の玉を一気に放出。すごいスピードで飛んでくる火の玉を二人はお互い反対方向に飛び、避ける。
美潤が避けた先に、イフリートは炎を放出する。
ボォォォォォォ
「くっ!」
美潤は直前まで来た炎に向けて手を出し、水を出そうとするが間に合わない。
「美潤!」
千馬も手から風を出そうとするが遠くて間に合わない。
バーーーン!
その時だった。突如違う方向から飛んできた"炎"がイフリートの"炎"を完全に打ち消したのだ。
「なっ…!?」
二人は転がり落ちると、突如起こったその出来事に驚きを隠せない。
「まったく、こんな"雑魚"に…どれだけ時間をかけてやがる…」
向こうから歩いてくる人影。煙で姿ははっきり見えないが、右手からメラメラと紅く燃える炎がしっかりと見える。
「あ…あれは…」
二人はその姿を目の当たりにして、今起こった出来事の全てを悟った。
真っ赤な長い髪の女。赤と黒の服に、風で少し靡く赤のマント。少し余裕そうに笑いながら歩いてくるその姿はまさに"強者"である。
イフリートは歩いてきたその女を見ると、右手を後ろに構え、炎を手から出すと、前に思いっきり放つ。
女はメラメラと燃える右手を前に出すとその炎が特大に膨れ上がる。
「メテオ・フレアッ!(紅蓮の隕石)」
その炎は凄まじい熱さ、スピード、大きさで、道路中央を黒く染めながらイフリートに突き進む。
メラメラと紅くギラギラと光るその炎はイフリートの出した炎を簡単に飲み込むと、イフリートに思いっきり直撃する。
ドカーーーーン!!!
イフリートは腕を交差に、ガードしようとするが、その炎に完全に飲み込まれる。
「ォォォォォオオオオオオ」
初めて声を発したイフリートはおぞましい悲鳴を響かせながらその炎の中で消滅した。
その炎は止まることなるビルに突き刺さった。
ドッカーーーーン!!
ビルが崩れ落ちる。
千馬と美潤はその出来事を呆然と見ておくことしかできなかった。
ォォォォォォ
あたりは一気に静まり返る。
炎を出したその女は口を開く。
「よぉ、"ひよっこ共"。」
——8話 完——
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