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15話.進展
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彩芽さんが連れて来てくれたのはレトロな雰囲気を醸し出している喫茶店だった。
店員は店長らしき人が一人で、カップを磨いている。
お客さんは僕たち以外には数人しかおらず、クラシックな音楽が流れているのも合わさって、なんだか心が安らぐ場所だ。
「アメリカンコーヒーとバニラアイスクリーム二つずつお願いします」
「こ、コーヒーだけでいいですよ……」
「助けてくれたお礼だから気にしないで」
「かしこまりました」
注文を受け、去っていく店長さんを尻目に彩芽さんが話しかけてくる。
「ここは私のお気に入りの場所なんだ。コーヒーは絶品で、何たって人が少ない。店長さんにこの事言ったら、悲しんじゃうから秘密だけどね」
「そ、そうなんだ」
後半部分は小声で話し、人差し指を口の前に添え、シーッという動作をする彩芽さんは何とも可愛らしい。
それにしても僕の知っている彩芽さんと目の前にいる彩芽さんとでは異なる部分がある。
僕の知っている彩芽さんは親しくないものにはいつもおどおどしているのが印象的だ。
そんな彩芽さんがクラスメイトという接点しかなく、一度も話したことのない僕に対して、気さくに話しかけてくれるだろうか?
「あ、あの」
「何?」
「香取さんってそんなに話す人だったんですね」
僕の言葉を聞き、ぽかんと口を開けた彩芽さんだったが、しばらくすると急に慌てふためきだす。
「ご、ごめんね! 馴れ馴れしかったよね!」
「謝ることじゃないんですよ! イメージと違っただけで……」
「山田くんのことはよく澪から聞いていたから、話したこともないのに勝手に親しみを抱いちゃったんだ。ごめんね……」
澪さんが彩芽さんに何を話したのかすごく気になるが、まずは恥ずかしさで首を縮こめてる彩芽さんをどうにかしないといけない。
「僕としては全然構わないですよ。香取さんと仲良くなれたらなーなんて思っていたので」
「ほ、ホントに? よかったー」
彩芽さんがホッと胸をそっと撫で下ろしていると、コーヒーとアイスを持った店長さんがやって来た。
「飲んでみて」
笑顔でコーヒーを勧めてくる彩芽さんに素直に従い、カップに入ったコーヒーを口に含む。
うん、苦い。
「彩芽さんの言う通り、絶品ですね」
顔には絶対に出してはいけない。
「アイスと一緒に食べたらもっと美味しいよ」
アイスも一緒に食べてみる。
うん、少し苦さが軽減されただけだ。
「苦さと甘さが絶妙にマッチしてますね」
とりあえずそれらしいことを言っておく。
「よかった」
僕の感想を聞くと安心したかのように彩芽さんは自分のコーヒーを口にする。
そのまま僕たちはしばらく無言になり、店内のクラシック音楽だけが響いていた。
アイスを一口食べた彩芽さんが口を開く。
「最近、よく澪がよく山田君のこと、楽しそうに話してるんだ」
「澪さんが僕のことを?」
「へー、下の名前で呼び合うぐらいの仲がいいんだ」
「色々と事情がありまして……」
「まあ、それはいいとして。澪は話してくれるんだ。壮太君がランニング中に水溜りを飛び越えようとして、飛ぶ瞬間に盛大にこけて、泥まみれになったとか。ゲームの雑魚キャラにボコボコにされて死んじゃったとか」
あの人は何を話してるんだ。
どれもこれも僕の黒歴史になりうるものばかりじゃないか……。
「澪があんなに楽しそうに人のことを話すなんて初めてで、山田君っていい人なんだなーって思ってたんだ」
「そ、そうなんですか」
何だろう、すごく恥ずかしいし、照れ臭い。
「あのね、山田くんにお願いがあるんだけど、聞いてもらってもいいかな?」
「何でしょう?」
「私ともお友達になってくれないかな?」
こんなお願いされて、断る理由はなかった。
僕はスタートラインに立てたのだ。
店員は店長らしき人が一人で、カップを磨いている。
お客さんは僕たち以外には数人しかおらず、クラシックな音楽が流れているのも合わさって、なんだか心が安らぐ場所だ。
「アメリカンコーヒーとバニラアイスクリーム二つずつお願いします」
「こ、コーヒーだけでいいですよ……」
「助けてくれたお礼だから気にしないで」
「かしこまりました」
注文を受け、去っていく店長さんを尻目に彩芽さんが話しかけてくる。
「ここは私のお気に入りの場所なんだ。コーヒーは絶品で、何たって人が少ない。店長さんにこの事言ったら、悲しんじゃうから秘密だけどね」
「そ、そうなんだ」
後半部分は小声で話し、人差し指を口の前に添え、シーッという動作をする彩芽さんは何とも可愛らしい。
それにしても僕の知っている彩芽さんと目の前にいる彩芽さんとでは異なる部分がある。
僕の知っている彩芽さんは親しくないものにはいつもおどおどしているのが印象的だ。
そんな彩芽さんがクラスメイトという接点しかなく、一度も話したことのない僕に対して、気さくに話しかけてくれるだろうか?
「あ、あの」
「何?」
「香取さんってそんなに話す人だったんですね」
僕の言葉を聞き、ぽかんと口を開けた彩芽さんだったが、しばらくすると急に慌てふためきだす。
「ご、ごめんね! 馴れ馴れしかったよね!」
「謝ることじゃないんですよ! イメージと違っただけで……」
「山田くんのことはよく澪から聞いていたから、話したこともないのに勝手に親しみを抱いちゃったんだ。ごめんね……」
澪さんが彩芽さんに何を話したのかすごく気になるが、まずは恥ずかしさで首を縮こめてる彩芽さんをどうにかしないといけない。
「僕としては全然構わないですよ。香取さんと仲良くなれたらなーなんて思っていたので」
「ほ、ホントに? よかったー」
彩芽さんがホッと胸をそっと撫で下ろしていると、コーヒーとアイスを持った店長さんがやって来た。
「飲んでみて」
笑顔でコーヒーを勧めてくる彩芽さんに素直に従い、カップに入ったコーヒーを口に含む。
うん、苦い。
「彩芽さんの言う通り、絶品ですね」
顔には絶対に出してはいけない。
「アイスと一緒に食べたらもっと美味しいよ」
アイスも一緒に食べてみる。
うん、少し苦さが軽減されただけだ。
「苦さと甘さが絶妙にマッチしてますね」
とりあえずそれらしいことを言っておく。
「よかった」
僕の感想を聞くと安心したかのように彩芽さんは自分のコーヒーを口にする。
そのまま僕たちはしばらく無言になり、店内のクラシック音楽だけが響いていた。
アイスを一口食べた彩芽さんが口を開く。
「最近、よく澪がよく山田君のこと、楽しそうに話してるんだ」
「澪さんが僕のことを?」
「へー、下の名前で呼び合うぐらいの仲がいいんだ」
「色々と事情がありまして……」
「まあ、それはいいとして。澪は話してくれるんだ。壮太君がランニング中に水溜りを飛び越えようとして、飛ぶ瞬間に盛大にこけて、泥まみれになったとか。ゲームの雑魚キャラにボコボコにされて死んじゃったとか」
あの人は何を話してるんだ。
どれもこれも僕の黒歴史になりうるものばかりじゃないか……。
「澪があんなに楽しそうに人のことを話すなんて初めてで、山田君っていい人なんだなーって思ってたんだ」
「そ、そうなんですか」
何だろう、すごく恥ずかしいし、照れ臭い。
「あのね、山田くんにお願いがあるんだけど、聞いてもらってもいいかな?」
「何でしょう?」
「私ともお友達になってくれないかな?」
こんなお願いされて、断る理由はなかった。
僕はスタートラインに立てたのだ。
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