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【異世界】ジェラシーの季節。また三人になりたい?
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仕事から帰ると、サントノーレが来ていた。
いや、それは当たり前なんだけど。婚約者が家に来てるだけだし。
サントノーレは、ファルマとお茶をしていた。
おそらくファルマがお茶を出したら、おまえも一緒にどうだとかサントノーレが誘ったのだ。
ファルマは断るのもおかしいから、一緒にお茶をしているだけ。
二人が笑っているのも、大人のマナーとして当然のことだ。
仲が悪いよりずっといい。異世界とはいえ、この二人が仲が悪いというのはあり得ないし、仲良く話している二人を見るのは、ほっとする。
見慣れた景色だし、前に戻ったみたいだ。
異世界にいても、二人が仲良くしているところを見ると、ああ、やっぱりこうでなくちゃと強く思った。
でも・・・なんだろう、この寂しさは。
どこか、置いてきぼりにされたような、のけ者にされたような。
どこの世界にいても、二人は僕のことをとても大事にしてくれたのに。なのに、なんだろう、この胸の痛みは・・・
異世界に来て、二人に愛されていることで傲慢になっているのか。
そうか、これまで三人ではいても、自分が中心と感じたことがなかった。
でも、ここでは、そう感じることがあった。そうか、僕は少し傲慢になっているのだ。わがままになってるんだ。
修正しないと、二人に嫌われてしまう。
フィナンシェは小さく息を吸って吐き、気合を入れると、二人に声をかけた。
「ただいま~」
「あ、フィナンシェ、おかえり」
「おかえりなさいませ」
二人の笑顔に迎えられ、フィナンシェは心がほっこりと温かくなるのを感じた。
ひとりで勝手に悩んだり、勝手に傷ついたりしても、やはりこの二人が大好きだと思った。
「疲れたー」
「仕事、忙しかったのか?」
「うん、まあまあ」
「大変だな」
「サントノーレだって」
「まあな」
「フィナンシェさま、着替えましょうか」
「あ、うん」
「サントノーレさま、ちょっと失礼します」
「ああ」
フィナンシェはファルマに連れられて自室に入る。
玉ねぎを剥かれるように、気持ちよくファルマに服を剥ぎ取られながら、フィナンシェは口を開いた。
「何を話してたの?」
「フィナンシェさまのことです」
ファルマがいたずらな微笑みを浮かべる。
「悪口でしょ?」
「さあ」
「いいけどね、別に」
フィナンシェも小さく笑ってみせる。
「嘘ですよ。でも、フィナンシェさまの話ですよ」
「そうなんだ」
「サントノーレさまはほんとにフィナンシェさまのことが好きなんですね」
「え?」
「だから、私も気が合います」
「・・・」
「好きな人、嫌いな人が一緒だと人は通じ合うものです」
「たしかに」
フィナンシェはうんうんと深く頷く。
「フィナンシェさまもサントノーレさまのことがお好きなようだし。私も安心です」
フィナンシェは何と返していいかわからない。
「家同士のつながりで形だけの婚約や結婚が多いなか、フィナンシェさまがそんな思いをしなくてほんとによかった」
「・・・ありがと」
「でも・・・」
「でも?」
「え、あ、いえ、なんでもありません。ほら、早く着替えてください。サントノーレさまがお待ちですよ」
ファルマが一瞬寂しそうな表情を浮かべ、すぐに笑顔に戻る。
「あ、うん」
フィナンシェはファルマが一瞬見せた寂しさの意味を考えながら、サントノーレの待つ広間へと戻った。
いや、それは当たり前なんだけど。婚約者が家に来てるだけだし。
サントノーレは、ファルマとお茶をしていた。
おそらくファルマがお茶を出したら、おまえも一緒にどうだとかサントノーレが誘ったのだ。
ファルマは断るのもおかしいから、一緒にお茶をしているだけ。
二人が笑っているのも、大人のマナーとして当然のことだ。
仲が悪いよりずっといい。異世界とはいえ、この二人が仲が悪いというのはあり得ないし、仲良く話している二人を見るのは、ほっとする。
見慣れた景色だし、前に戻ったみたいだ。
異世界にいても、二人が仲良くしているところを見ると、ああ、やっぱりこうでなくちゃと強く思った。
でも・・・なんだろう、この寂しさは。
どこか、置いてきぼりにされたような、のけ者にされたような。
どこの世界にいても、二人は僕のことをとても大事にしてくれたのに。なのに、なんだろう、この胸の痛みは・・・
異世界に来て、二人に愛されていることで傲慢になっているのか。
そうか、これまで三人ではいても、自分が中心と感じたことがなかった。
でも、ここでは、そう感じることがあった。そうか、僕は少し傲慢になっているのだ。わがままになってるんだ。
修正しないと、二人に嫌われてしまう。
フィナンシェは小さく息を吸って吐き、気合を入れると、二人に声をかけた。
「ただいま~」
「あ、フィナンシェ、おかえり」
「おかえりなさいませ」
二人の笑顔に迎えられ、フィナンシェは心がほっこりと温かくなるのを感じた。
ひとりで勝手に悩んだり、勝手に傷ついたりしても、やはりこの二人が大好きだと思った。
「疲れたー」
「仕事、忙しかったのか?」
「うん、まあまあ」
「大変だな」
「サントノーレだって」
「まあな」
「フィナンシェさま、着替えましょうか」
「あ、うん」
「サントノーレさま、ちょっと失礼します」
「ああ」
フィナンシェはファルマに連れられて自室に入る。
玉ねぎを剥かれるように、気持ちよくファルマに服を剥ぎ取られながら、フィナンシェは口を開いた。
「何を話してたの?」
「フィナンシェさまのことです」
ファルマがいたずらな微笑みを浮かべる。
「悪口でしょ?」
「さあ」
「いいけどね、別に」
フィナンシェも小さく笑ってみせる。
「嘘ですよ。でも、フィナンシェさまの話ですよ」
「そうなんだ」
「サントノーレさまはほんとにフィナンシェさまのことが好きなんですね」
「え?」
「だから、私も気が合います」
「・・・」
「好きな人、嫌いな人が一緒だと人は通じ合うものです」
「たしかに」
フィナンシェはうんうんと深く頷く。
「フィナンシェさまもサントノーレさまのことがお好きなようだし。私も安心です」
フィナンシェは何と返していいかわからない。
「家同士のつながりで形だけの婚約や結婚が多いなか、フィナンシェさまがそんな思いをしなくてほんとによかった」
「・・・ありがと」
「でも・・・」
「でも?」
「え、あ、いえ、なんでもありません。ほら、早く着替えてください。サントノーレさまがお待ちですよ」
ファルマが一瞬寂しそうな表情を浮かべ、すぐに笑顔に戻る。
「あ、うん」
フィナンシェはファルマが一瞬見せた寂しさの意味を考えながら、サントノーレの待つ広間へと戻った。
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