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202 三年先の事件
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季節は四月に入る頃、突然ナナがたずねて来た。
完全顔パスなので私が応接室で座っていると部屋に入ってくる。
「エルンさんエルンさん!」
「あら、ナナじゃない。借金の返済は終わった?」
「うっ……もう、それはまだですけど」
意地悪です! と怒るそぶりを見せたナナは本当には怒ってない。
ノエから紅茶とケーキを出されるとリスのように頬に詰めて食べはじめる。
あれって行儀わるいのよねぇ。と野暮な事は言わないで優雅に紅茶を飲む。
「で、何嬉しい事あったの?」
「あっわかります? 出来たんですよ」
「赤ちゃんが?」
ナナの目が一瞬死んだ魚の目になった。直ぐに光を戻してテーブルに小箱を置く。
おかしい、粋なジョークと思ったのだけど外した。
開けてみろ。と、言うので開けてみると青い石が入っている。
思わず胸元の賢者の石をケースから出すとまったく同じであった。
「賢者の石……?」
「はいっ! 私一人じゃ無理だったんですけど。ミーナさん、エレファントおねえさんの協力の元ついに出来たんです!」
「はぁ……おめでと」
「有難うございますっ! これもエルンさんという目標があったから――――」
……。
…………。
私は熱弁しているナナから視線を外して時計を見る。
かれこれ三十分は私がいかに凄いかを熱弁している、そろそろいいかしら話を打ち切ろう。
「全部、ナナの実力よ。現に私なんてもう錬金術してないし……どっかの先生曰く、君は知の錬金術師としてがんばれって言われたけどねぇ。そこまで知識もないのよ」
所詮はうろ覚えの攻略情報だけだ。
「そんな事ないです!」
「しかしまぁ本来三年で作れるアイテムを約一年とかやばいわね」
「三年って何の事でしょうか?」
「いや、別にいいのよ、それぐらい修行しなきゃ出来ないようなものって意味ね」
「そうなんです! そこもエルンさんのおかげなのです。今まで不明とされていた素材、それに何故かちょっと嫌がっていたミーナさんでしたけど。素材を教えてくれて、その素材は全部エルンさんのおかげで揃ったんです」
興奮してるわね。
確かに素材に関してはほぼ私が関わっているようなきがする。
「まぁなんにせよおめでとう」
「ありがとうございます! もっと居たいんですけど、あのお仕事があるので」
「はいはい、終わったらパーティーもしましょうか」
帰るのを惜しむナナを玄関まで見送って私は応接室に戻る。
ノエが食器を片付けて庭にでて洗濯物を干している、ガルドは城で今日はいない。
まったりとノエ本屋から借りてきた恋愛小説を読みながら時間を潰す。
「気づけば夕方ってわけね」
「エルンおじょうさま、今日は何をたべ……きゃ」
ノエが悲鳴を出したのは私にも解る。
突然玄関の扉が開いたからだ。
二人で玄関のあるほうへ顔を向けると、ガルドが足早に入ってきた。
「ちょ、玄関ぐらい丁寧にあけなさいよっ! 誰の家だと思ってるの!」
「本来の持ち主はマイト・カミュラーヌの家だな。悪いがそんな冗談に付き合っている暇は無い、王が呼んでるし緊急事態だ」
「痛っ。ちょ手首ひっぱらないでよ」
「す、すまん」
王って現在も行方不明の王の事か、最近はヘルン王子が旨く国を回してると、こないだ遊びに来たコタロウから教えてもらった。
それをそのまま、遊びに来た魔界の女王事、リオと単眼メイドのノリスに話したら、リオが、流石私の見込んだ男だな。って喜んでいたっけ。
で、そこにノリスが、見込んだ男は別の女とくっつきましたけどね。って突っ込みいれて庭で火柱におわれるのを冷や汗しながらみたもんだ。
「――――おい。何時もの病気はいいから早く現実に戻って来い」
「はっ! 病気じゃないわよっ…………たぶん。あれ? ノエも一緒にいくの?」
「はい、ガルドさんがそのほうが言いというので」
「念のためな」
何が念のためなのか解らないけど、たまには全員で外出も久しぶりね。
外には御者のない町馬車が止まっていて、どうやらガルドが御者をするみたいだ。
「何所に連れて行くのよ……」
「ガルドさんが御者なんですね、何か遠足みたいでノエわくわくします」
「それもそうね」
私達二人が乗り込むと、ガルドは馬車を動かし始める。
心なしか街の雰囲気が暗い感じがしてきた、外にでる西門が珍しく閉ざされており、甲冑を着た兵士や騎士科の生徒もちらほらと見受けられた。
なぜか私達は馬車を降りる事も無く、西門から外に出る。
王都の塀からでるとまた門が閉まる音が馬車の中にも聞こえてくる。
「ちょっと……物々しいわね。戦争でも始まるような」
「ですよね、お母さん大丈夫かな……」
「あーノエの実家って結局まだ行ってないわね」
「はい、おじょうさまが来るとなったら大変なので決して来ないように、穏便につたえてと」
そうなのよねぇ。
私は気にしないんだけど、上級貴族が一般家庭に挨拶にいく! となると色々問題も多いし。だから前に知り合った体の弱いマリアちゃんにも会いにいけない。
その辺はブルックスの店でこっそり会ってるからまだいいんだけどさー。
「ってか何よこれ」
馬車の外では人間ににた何かか、何かを探して歩いている。
どうみても、ゾンビです本当に――――。
「ありがとうございました……ってやつ?」
私と同じのをみたのだろう、気づけばノエが私にしがみ付いている。
そうね、万が一襲われたら守ってあげないとね。
「万が一襲われたら盾にでもなんでもなりますっ! おじょうさまは逃げてくださいね」
「…………あれ? 逆じゃない?」
「いいえ、おじょうさまを守るのはメイドの本望です、ふんす!」
私は大声でガルドへと話しかける。
「ちょっとどういう事よ。国外逃亡? それにゾンビみたいだけど」
「ずいぶん落ち着いているな……」
「似たようなのは見た事あるし、魔界でもみたし」
似たようなってのは、ディーオとともに巻き込まれた村での事件。
あっちのほうがグロかった。
魔界で見たのはリオの時だ。そういえばあの元錬金術師の変態ゾンビは元気だろうか? いや死んでいるんだし元気も何もないわよね。
馬車が唐突にとまった。
考えを振り切って外をみると、見知った人達がいる。
「あれ、ブルックスにソフィーネさんよね」
「あれ? そうですね……ええっとどこでしょう」
私は先に馬車を降りると、戦闘態勢の二人に手を上げて挨拶をする。
ブルックスは斧を持っていて、ソフィーネさんはムチを持っていた。
「よう」
「ご苦労様」
「…………ええっと二人ともなんでそんな格好? ってか何?」
「なんだ、何も聞いてないのか」
ブルックスがため息とともに言うので、私はガルドに向き直る。
「そもそもなんでここに連れて来たのよ」
私はこれから何かあろうであるのがわかる、王家の墓前でガルドに質問した。
完全顔パスなので私が応接室で座っていると部屋に入ってくる。
「エルンさんエルンさん!」
「あら、ナナじゃない。借金の返済は終わった?」
「うっ……もう、それはまだですけど」
意地悪です! と怒るそぶりを見せたナナは本当には怒ってない。
ノエから紅茶とケーキを出されるとリスのように頬に詰めて食べはじめる。
あれって行儀わるいのよねぇ。と野暮な事は言わないで優雅に紅茶を飲む。
「で、何嬉しい事あったの?」
「あっわかります? 出来たんですよ」
「赤ちゃんが?」
ナナの目が一瞬死んだ魚の目になった。直ぐに光を戻してテーブルに小箱を置く。
おかしい、粋なジョークと思ったのだけど外した。
開けてみろ。と、言うので開けてみると青い石が入っている。
思わず胸元の賢者の石をケースから出すとまったく同じであった。
「賢者の石……?」
「はいっ! 私一人じゃ無理だったんですけど。ミーナさん、エレファントおねえさんの協力の元ついに出来たんです!」
「はぁ……おめでと」
「有難うございますっ! これもエルンさんという目標があったから――――」
……。
…………。
私は熱弁しているナナから視線を外して時計を見る。
かれこれ三十分は私がいかに凄いかを熱弁している、そろそろいいかしら話を打ち切ろう。
「全部、ナナの実力よ。現に私なんてもう錬金術してないし……どっかの先生曰く、君は知の錬金術師としてがんばれって言われたけどねぇ。そこまで知識もないのよ」
所詮はうろ覚えの攻略情報だけだ。
「そんな事ないです!」
「しかしまぁ本来三年で作れるアイテムを約一年とかやばいわね」
「三年って何の事でしょうか?」
「いや、別にいいのよ、それぐらい修行しなきゃ出来ないようなものって意味ね」
「そうなんです! そこもエルンさんのおかげなのです。今まで不明とされていた素材、それに何故かちょっと嫌がっていたミーナさんでしたけど。素材を教えてくれて、その素材は全部エルンさんのおかげで揃ったんです」
興奮してるわね。
確かに素材に関してはほぼ私が関わっているようなきがする。
「まぁなんにせよおめでとう」
「ありがとうございます! もっと居たいんですけど、あのお仕事があるので」
「はいはい、終わったらパーティーもしましょうか」
帰るのを惜しむナナを玄関まで見送って私は応接室に戻る。
ノエが食器を片付けて庭にでて洗濯物を干している、ガルドは城で今日はいない。
まったりとノエ本屋から借りてきた恋愛小説を読みながら時間を潰す。
「気づけば夕方ってわけね」
「エルンおじょうさま、今日は何をたべ……きゃ」
ノエが悲鳴を出したのは私にも解る。
突然玄関の扉が開いたからだ。
二人で玄関のあるほうへ顔を向けると、ガルドが足早に入ってきた。
「ちょ、玄関ぐらい丁寧にあけなさいよっ! 誰の家だと思ってるの!」
「本来の持ち主はマイト・カミュラーヌの家だな。悪いがそんな冗談に付き合っている暇は無い、王が呼んでるし緊急事態だ」
「痛っ。ちょ手首ひっぱらないでよ」
「す、すまん」
王って現在も行方不明の王の事か、最近はヘルン王子が旨く国を回してると、こないだ遊びに来たコタロウから教えてもらった。
それをそのまま、遊びに来た魔界の女王事、リオと単眼メイドのノリスに話したら、リオが、流石私の見込んだ男だな。って喜んでいたっけ。
で、そこにノリスが、見込んだ男は別の女とくっつきましたけどね。って突っ込みいれて庭で火柱におわれるのを冷や汗しながらみたもんだ。
「――――おい。何時もの病気はいいから早く現実に戻って来い」
「はっ! 病気じゃないわよっ…………たぶん。あれ? ノエも一緒にいくの?」
「はい、ガルドさんがそのほうが言いというので」
「念のためな」
何が念のためなのか解らないけど、たまには全員で外出も久しぶりね。
外には御者のない町馬車が止まっていて、どうやらガルドが御者をするみたいだ。
「何所に連れて行くのよ……」
「ガルドさんが御者なんですね、何か遠足みたいでノエわくわくします」
「それもそうね」
私達二人が乗り込むと、ガルドは馬車を動かし始める。
心なしか街の雰囲気が暗い感じがしてきた、外にでる西門が珍しく閉ざされており、甲冑を着た兵士や騎士科の生徒もちらほらと見受けられた。
なぜか私達は馬車を降りる事も無く、西門から外に出る。
王都の塀からでるとまた門が閉まる音が馬車の中にも聞こえてくる。
「ちょっと……物々しいわね。戦争でも始まるような」
「ですよね、お母さん大丈夫かな……」
「あーノエの実家って結局まだ行ってないわね」
「はい、おじょうさまが来るとなったら大変なので決して来ないように、穏便につたえてと」
そうなのよねぇ。
私は気にしないんだけど、上級貴族が一般家庭に挨拶にいく! となると色々問題も多いし。だから前に知り合った体の弱いマリアちゃんにも会いにいけない。
その辺はブルックスの店でこっそり会ってるからまだいいんだけどさー。
「ってか何よこれ」
馬車の外では人間ににた何かか、何かを探して歩いている。
どうみても、ゾンビです本当に――――。
「ありがとうございました……ってやつ?」
私と同じのをみたのだろう、気づけばノエが私にしがみ付いている。
そうね、万が一襲われたら守ってあげないとね。
「万が一襲われたら盾にでもなんでもなりますっ! おじょうさまは逃げてくださいね」
「…………あれ? 逆じゃない?」
「いいえ、おじょうさまを守るのはメイドの本望です、ふんす!」
私は大声でガルドへと話しかける。
「ちょっとどういう事よ。国外逃亡? それにゾンビみたいだけど」
「ずいぶん落ち着いているな……」
「似たようなのは見た事あるし、魔界でもみたし」
似たようなってのは、ディーオとともに巻き込まれた村での事件。
あっちのほうがグロかった。
魔界で見たのはリオの時だ。そういえばあの元錬金術師の変態ゾンビは元気だろうか? いや死んでいるんだし元気も何もないわよね。
馬車が唐突にとまった。
考えを振り切って外をみると、見知った人達がいる。
「あれ、ブルックスにソフィーネさんよね」
「あれ? そうですね……ええっとどこでしょう」
私は先に馬車を降りると、戦闘態勢の二人に手を上げて挨拶をする。
ブルックスは斧を持っていて、ソフィーネさんはムチを持っていた。
「よう」
「ご苦労様」
「…………ええっと二人ともなんでそんな格好? ってか何?」
「なんだ、何も聞いてないのか」
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