いじめられ女子が得た最強の能力で何をする？

第八話 途絶えた糸

えりは、理恵のもとへ急いだ。
（慶子のことで屋上に向かった時、出会った順番は、山口→山田→橋本→高橋→田中、1番近くにいたのは、やはり田中先生だ。そのほかにあやしくないのは、山口先生。女性であること、運動神経がよくないと思われること、あまり運動している姿を見ない人が走ると目立つといえる。山田先生は、体育教員でもあり、ありえる。橋本、高橋は、どうだ？
高橋副校長があの場所にいるのは、至って不自然。疑惑は、田中、高橋、山田先生だなあ。橋本先生は、グレーといったところだ）
えりは、公園を過ぎた。
（まもなくだ）
（ここまで来れば。止まれ！）
公園から飛び立つ鳥が一斉に止まった。
えりは、理恵の家に着いた。
えりは、玄関の扉に手をかけた。
「ガチャ」
玄関の扉が開いた。
えりは、ゆっくり扉を開け、中に入っていった。
一階には、誰もいなかった。
（理恵の部屋は2階かな）
えりは、2階に上がった。
2階には３つ部屋があった。
えりは、一部屋ずつ確認していった。
（この部屋じゃないなあ）
（この部屋でもないなあ）
最後の部屋をあけようとした。
（この扉、重いなあ）
えりは、足を使って扉を押した。
扉が少しずつ開いていく。
「う！」
少し開いた扉から足らしいものが見えた。
（ひょっとして）
少し開いた扉からえりは、体を部屋の中にいれた。
「あ！」
（遅かった）
理恵は、天井板のない部屋の屋根の横柱にロープをかけて自ら命を絶っていた。
えりは、理恵の万が一の無事を確認したが、やはり時既に遅しだった。
理恵の足元には、遺書があった。
『お父さん、お母さんごめんなさい。
そしてありがとう。
理恵は、迷惑ばかりかけてきました。
そして嘘も悪いことも。
それが元で友達にも取り返しのつかないことを。本当にごめんなさい。
慶子がすべてを話すといっているので、慶子から聞いてください。
みんなごめんなさい。
私は、悪い子でした。
さよなら』
（やはり慶子は、私に何かをいうつもりだったんだ。でも慶子も・・・彼女達の死を無にしないようにしなければ。日記を探そう！）
えりは、指紋がつかないように引き出しを開けて探した。
（ない！どこにあるの？わからない）
えりは、色んなところを探しまわした。
（捨てたの？いや自ら命を絶つのであればむしろわかりやすいところのはず。そうだ）
えりは、理恵の体を探った。
（やはり！）
胸元に小さめの手帳のようなものがあった。
えりは、それを取り出して、中身をみた。
（これだ！）
えりは、その手帳をしまい、もとの状態に戻しつつ理恵の家をあとにした。
そして、そのまま学校に戻り、教室に入った。
（これで万が一の時もアリバイが証明される）
（動け！）
生徒が騒然としていた。
（理恵のこと伝えないと）
えりは、特殊刑事課の佐山刑事を思い出した。
『山本です。今日学校で・・・』
『知ってるよ。どうした？』
『慶子には、仲のいい友達がいて、その子が心配で』
『わかった。家の場所教えて』
『あの公園の上の通り、公園過ぎた３軒目です。山下理恵です』
『すぐ近くの警官を向かわせる』
学校に止まっていたパトカーが一台出ていった』
『どうして何かあると？』
『実は、今日授業終わったら話したいことがと慶子にいわれてたんです』
『そんなこという人がこういうことしないと思って』
『しかもその時の彼女の目が』
『ということは、私と同じ目にですよね』
『となると、危ないのは、慶子といつも一緒にいた理恵もと』
『そんなことがあったのね』
『危ないわね』
『やられるか、自らのパターンもあり得るわ』
『もう着くころよ』
『すぐ迎えに行って家に送るから、学校で待ってて。でも1人でいないように。とにかく人がたくさんいる場所にいて』
『わかりました』