ドラゴンすら肥える異世界農園〜最弱スキルで世界の胃袋を掴みました〜

ライカタイガ

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【第19話】名付けと芽守

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 翌朝、みどりのねこは俺のベッドの足元で丸まって寝ていた。
温室から自分の意思でついて来たのだろう。リズムよく上下する小さな体と、葉のような耳が揺れている。

「名前、つけてやらないとな……」

 俺はそっと額の葉に触れながら、小さく呟いた。
その瞬間、みどりのねこはゆっくり目を開けて「にゃ」と鳴いた。

「そうだな……“ミモ”ってのはどうだ?」

 植物をイメージしつつ、響きも可愛い名前だ。
みどりのねこ──いや、ミモは嬉しそうにしっぽをぱたぱたと揺らして応えた。

 朝、温室に行くとリリィがすでに作業していた。

「そういえば、名前をつけたんだ。ミモって」

 俺が言うと、リリィは少し驚いたように目を瞬かせた後、嬉しそうに笑った。
「ミモちゃん……可愛い名前ね。ぴったりだよ」
俺の肩に乗ったミモが姿を見せると、リリィは目を細めて笑った。

「おはよう、ミモちゃん。今日も元気そうね」

「リリィ、ひとつお願いがあるんだ」
 俺は声を落として言った。「ミモのこと、他の人には内緒にしておいてほしい」

 リリィは少し驚いた顔をしたが、すぐにうなずいた。

「わかった。あの子が普通じゃないって、なんとなく分かるから」
 その時、ミモが俺の肩でふわりと揺れ、次の瞬間──姿を消した。

「……えっ?」

 リリィが思わず声を上げる。
俺の視界からも、ミモの姿は完全に消えていた。

 同時にスキル欄に変化が現れる。

【《芽守》スキル:周囲の植物と共鳴し、自らの姿を隠すことが可能です】

「これ……ミモの力か? 俺のスキルとリンクしてる……?」

「まさか……すごい。こんなこともできるんだ」
俺がそっと「戻っていいぞ」と呼びかけると、空気が揺らぎ、ミモの姿が再び現れた。

「にゃ」

 小さく鳴いて俺の膝に飛び乗る。
ふわふわの体を撫でながら、俺は改めて思う。

 この存在は、ただの癒しじゃない。
俺の“微成長”スキルと、何か深く繋がっている。

「これからもしばらく、ミモのことは俺たちだけの秘密にしておこう」


 小さな命は、穏やかに俺たちの間に座り、光の中で瞬いていた。
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