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18 修道院に入ろう!
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わたしは今更ギレンセン家を継ぎたいとは思っていない。
お義兄様のこれまでの努力を無駄にしたくないし、誰がなんと言おうと、次のギレンセン侯爵に相応しいのはお義兄様だ。
だったら、どうするべきなのか。
簡単なのは、わたしがさっさと新しい婚約者を決めることだ。そうすればお義兄様はこれまでと変わらず、ギレンセン家の嫡子のままでいてくれるだろう。
でも、それは難しい。
わたしはお義兄様が誰よりも好きで、新たな婚約者を迎える気にはどうしてもなれない。少なくとも今すぐは絶対に無理だ。
ティルマン様との婚約が決まったのは五才の時で、お義兄様と出会う前だった。幼かったこともあり、婚約の意味もよく分かっておらず、だから自分の婚約をすんなり受け入れることができた。
でも今は無理。他の人と結婚する未来を受け入れることができそうにない。
時間がもっと過ぎれば、あきらめもついて考えは変わるかもしれない。
けれど今すぐ別の婚約者を迎えることは、お義兄様を好きすぎるあまり、どうしてもできそうになかった。
となると、別の手を考えるしかない。
その別の手とは。
「修道院よ。わたしが修道院に入ればいいんだわ!」
ティルマン様の不貞が心の傷になり、もう結婚する気になれない。
今後は心穏やかに神に祈りを捧げて生きて行きたい。
そう言えば、きっとお父様はわたしの願いを叶えてくれるはず!
……いや、分からない。反対される可能性もある。というか、反対される可能性の方が高いかもしれない。
修道院に行く必要はない、結婚せずに家にずっと居ればいいと、お父様もお義兄様も言いそうだ。
でも、それだとわたしはただの厄介者のお荷物になってしまう。
それに、いつかお義兄様だって結婚する。その時に小姑となって一緒の屋敷に住んでいれば、夫人となった女性に愛を囁くお義兄様を見なければならない。
それは辛すぎる。だったら修道院に入った方が何倍もマシだ。
というわで、わたしは修道院に入ることにした。
反対されると困るから、誰にも内緒で秘密裏に。
まずは修道院までの旅費を手に入れるため、手持ちのドレスや貴金属を換金することにした。
「着なくなったドレスや古くて使わないアクセサリーがたくさんあるでしょう? あれを売って孤児院に寄付しようと思うの」
「まあ、さすがはお嬢様。それは素晴らしいお考えですね。すぐに商人を呼びましょう」
信用できる商人をアンが屋敷に呼んでくれたおかげで、苦労なく大金を手に入れることができた。
修道院に手紙と共に寄付金を送り、入院許可をもらった。修道院までの道筋や乗合馬車の発着場、その料金を調べた。
平民街に買い物に出かけた時、次にまた遊びに来る時のためにとごまかして、アンに不審に思われることなく町娘風に見える粗末な服や鞄や靴を購入した。珍しい銀髪が目立つことなく修道院までの旅ができるよう、茶色のウィッグも手に入れた。
最後に屋敷を去る時に残していく置き手紙を書いた。
犯罪に巻き込まれたわけではなく、わたしが自分の意思で家を出ることを記したお父様宛ての手紙だ。
この手紙には、わたしがどこの修道院に入るつもりなのかは書いていない。連れ戻されないようにするためだ。
これですべて準備万端。
あとは決行あるのみ!
お義兄様のこれまでの努力を無駄にしたくないし、誰がなんと言おうと、次のギレンセン侯爵に相応しいのはお義兄様だ。
だったら、どうするべきなのか。
簡単なのは、わたしがさっさと新しい婚約者を決めることだ。そうすればお義兄様はこれまでと変わらず、ギレンセン家の嫡子のままでいてくれるだろう。
でも、それは難しい。
わたしはお義兄様が誰よりも好きで、新たな婚約者を迎える気にはどうしてもなれない。少なくとも今すぐは絶対に無理だ。
ティルマン様との婚約が決まったのは五才の時で、お義兄様と出会う前だった。幼かったこともあり、婚約の意味もよく分かっておらず、だから自分の婚約をすんなり受け入れることができた。
でも今は無理。他の人と結婚する未来を受け入れることができそうにない。
時間がもっと過ぎれば、あきらめもついて考えは変わるかもしれない。
けれど今すぐ別の婚約者を迎えることは、お義兄様を好きすぎるあまり、どうしてもできそうになかった。
となると、別の手を考えるしかない。
その別の手とは。
「修道院よ。わたしが修道院に入ればいいんだわ!」
ティルマン様の不貞が心の傷になり、もう結婚する気になれない。
今後は心穏やかに神に祈りを捧げて生きて行きたい。
そう言えば、きっとお父様はわたしの願いを叶えてくれるはず!
……いや、分からない。反対される可能性もある。というか、反対される可能性の方が高いかもしれない。
修道院に行く必要はない、結婚せずに家にずっと居ればいいと、お父様もお義兄様も言いそうだ。
でも、それだとわたしはただの厄介者のお荷物になってしまう。
それに、いつかお義兄様だって結婚する。その時に小姑となって一緒の屋敷に住んでいれば、夫人となった女性に愛を囁くお義兄様を見なければならない。
それは辛すぎる。だったら修道院に入った方が何倍もマシだ。
というわで、わたしは修道院に入ることにした。
反対されると困るから、誰にも内緒で秘密裏に。
まずは修道院までの旅費を手に入れるため、手持ちのドレスや貴金属を換金することにした。
「着なくなったドレスや古くて使わないアクセサリーがたくさんあるでしょう? あれを売って孤児院に寄付しようと思うの」
「まあ、さすがはお嬢様。それは素晴らしいお考えですね。すぐに商人を呼びましょう」
信用できる商人をアンが屋敷に呼んでくれたおかげで、苦労なく大金を手に入れることができた。
修道院に手紙と共に寄付金を送り、入院許可をもらった。修道院までの道筋や乗合馬車の発着場、その料金を調べた。
平民街に買い物に出かけた時、次にまた遊びに来る時のためにとごまかして、アンに不審に思われることなく町娘風に見える粗末な服や鞄や靴を購入した。珍しい銀髪が目立つことなく修道院までの旅ができるよう、茶色のウィッグも手に入れた。
最後に屋敷を去る時に残していく置き手紙を書いた。
犯罪に巻き込まれたわけではなく、わたしが自分の意思で家を出ることを記したお父様宛ての手紙だ。
この手紙には、わたしがどこの修道院に入るつもりなのかは書いていない。連れ戻されないようにするためだ。
これですべて準備万端。
あとは決行あるのみ!
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