鋼鉄の文学少女先輩が、実はネット小説家で、書く作品によってキャラが変わることを、俺だけが知っている。

黒鉄メイド

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5.入部しないと出られない部屋

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 文芸部のあるのは、劇場館高校の一角を絞める部室校舎の三階に位置していた。

 部室校舎はほぼ部室だけが入っただ建物で、校則で全校生徒に入部を進めるだけあって、力の入りようがよく分かる。
 
 最初に聞いた時は、『何処のカルチェラタン部室棟だよ』と思い、少しだけわくわくもしたけど、実際はあんなに雑多でもなければ、面白みもなかった。

 何せ、見た目はただの普通の校舎と変わらないからだ。
  
 廊下を歩いていると、他の部活動の声が微かに聞こえ、建物中で活動が行なわれていることが分かる。

 その中の一つ、『文芸部』と書かれた部室の前で先輩は足を止めると、ポケットから鍵を取り出し、扉を開けてた。

「さあ、入って」
「それじゃあ、お邪魔します……」

 中に入ると、中央には会議室などでよく見かける折りたたみ式の長方形の机が二つ並んで置かれていた。
 
 配置された席は四つ。
 右側の壁には本棚や棚が配置され、その棚の一つには狸の置物が置かれている。

 何故、狸?

 だが、それ以外は、本棚と机があるだけの、特に何の変哲も無いあり触れた部屋だ。
  イメージ通りの文芸部らしい部室だった。
 
「それで、他の部員の人たちはいつ来るんですかね?」
「来ないわよ」
「はぁ?」

 ガチャン。
 
「なんで鍵閉めたんですか!?」
「そんなの、入部したあなたを逃がさないために決まってるでしょ」
「さっき勝手に入部させたのは謝るって言ってたじゃないですか!?」
「あんなの方便に決まってるでしょ? 百目鬼君を文芸部に入れるためなら私、何でもするわ」
「ちくしょう! 黙らされたっ!!」
 
 俺のツッコミにも動じず、先輩は扉の内側の鍵穴から鍵を引き抜くと、それをスカートのポケットにしまい直す。

「それに、あなたは既にこの部の入部試験に合格してるのよ」
「そんなもん受けた覚えはねぇよ!」
「いいえ、あなたはこれを読むことができた」

 先輩は自分の鞄の中からある物を取り出し、部室の長机にぴしゃりと音を立てて置いた。

 クリップで留められた見覚えのある紙の束。
 それは今日昼休みに拾った、隠神刑部鉄火の小説だ。

「どういう意味ですか? 小説読むだけで合格とか、小学校受験生レベルじゃないですか」
「それを読めたこと自体、おかしいのよ」
「おかしいって、一体何が……うっ!?」

 俺は確認のため、『目』の力を使わずに再び原稿をのぞき込む――そして見た瞬間、顔が歪んだ。
 
 その紙の束に書かれていたのは、とんでもない悪文、怪文書で執筆された魔道書じみた内容だったからだ。

 具体的な例を挙げるとすれば、

 いくつもの文書が絡まって、意味が分かりづらい。
 文法の品詞の使い方が無茶苦茶。
 文によっては、何度読んでも意味が分からず理解不能な言葉の数々。
 その他、エトセトラ、エトセトラ……。
 
 そんな、言語表現の暴力のような原稿に、俺は目を回した。

「なんだよ……このくっそ読みにくい、ど下手くそな文章はよぉ……ッ!?」
「言っている意味が分かったでしょ?」 
「まさか、文章で酔う日が来るなんて思いもしませんでしたよ……ううっ……ぎもじわるい……」

 確かにこれを普通に読める人間なんていない。
 これは小説を使ったテロ攻撃と言っても過言ではなかった。

「先輩、何なんですかこの原稿は……それ本当に先輩が書いたものなんですか……?」
「ええ、全文全て私が書いたものよ。どう?」

 先輩は無表情のまま、無い鉄壁の胸を張る。
 ドヤ顔をしているつもりらしい。

「どうもこうも、文法からして無茶苦茶すぎますよ。とても読めたものじゃありません。先輩そんないかにも文学少女みたいな見た目してるのに、どうして書く作品はこんな怪文書なんですか? もしかして今漫画とかで流行の、勉強出来ない系ヒロインなんですか?」

  先輩は静かに鼻を鳴らす。
  
「失礼ね、人をまるでバカみたいに言わないで頂戴。勉強が出来ることと、物語を書くことは全く違う能力なのよ」
「どういうことですか?」

 物語は見る専門の俺にとって、作る側にいる先輩の言葉はどことなく理解できず、首を捻る。

「小説を書くということは、頭の中にある世界を文章化にして具現化し人に伝えるということ。書き手によっては、匂いや味や空気すら、読み手に感じさせることができる万能のツール。
 でも、これは容易なことじゃないわ。何せ、自分の頭の世界を書き切らなくてはならないもの。
 いざ書こうにも中々上手く執筆できない。書けば書くほど、次第に自分が何を書いているのか、どこを書いているのかすら分からなくなって迷子になってしまう。文章が絡まってしまう。
 結果、出来上がるのは、誰一人として読めない作品ばかり。
 それなのに――」 
「んぐっ!」

 先輩は突然、俺の顔をその白く細い両手で掴んできた。
 
「百目鬼君、あなたはその無茶苦茶な原稿を、あの短時間で読むどころから内容まで理解していたわ。素直に驚きよ。よく読めたわね、書いた本人である私ですら読み返せないのに」
「言ってて悲しくなりませんか? それ」

 だが、確かに彼女の言いたいことは分かった。
 あの小説は普通の人間では読めない。理解出来ない。
 それほどの支離滅裂な文章で書かれた魔道書だ。

 階段の踊り場で、俺があの原稿を『小説』と言った時点で、先輩は既に俺に目を付けていたんだ。

「百目鬼君、あなた中々にいい目をしているのね」
 
 先輩の指が、俺の頬を伝って目の輪郭を優しく撫でる。

  「そ、そんなことないすよ……」
 
 俺は必死の抵抗とばかりに、目線だけを彼女から逸らした。

「目を背けないで頂戴。せっかく綺麗な目をしてるのに」
「冗談でしょ? 友達からはもっぱら『死んだ魚のような目』で通ってますよ」
「あら、ライトノベル主人公の特徴の一つじゃないの。おめでとう、いい腐った目をしているのね」
「褒めるのか、貶すのかハッキリしろや」
「百パーセント褒めてるのよ――だからこそ、私にはあなたが必要なの」

 先輩は俺の顔から手を離すと、そのままの流れで机に置かれた原稿を持ち上げた。

「百目鬼君、単刀直入に言うわ。文芸部に入って、私の作品制作を手伝って頂戴」
「嫌に決まってるでしょうが、毎回そんな原稿読まされたら、俺の身がもたないっすよ」
「でもあなたと階段で会った時は、平然としていたわよね」

  あれは、俺の『目』の力をたまたま使ったからだ。
 確かに『目』を解放すれば、あの文章の内容を読まずに理解することができる。

 でもそれは……、
  
「……とにかくお断りします」
「間があったということはそうなのね。百目鬼君には、私の原稿を読むことができる何かしらの手段がある」
「さぁ、どうでしょうね」

  とぼけはしたが、先輩はほぼ確信をついている。
 そこまで特定されては、誤魔化すのも苦しい。
    
「『はい』と言うまで、この部室からは出られないわよ」
「はははっ、なんですかその脅しは。これが漫画とかラノベだったらその展開もありですけど、現実問題そんなことしたら先生がすっ飛んできますよ」
「ええ、確かに部室で男女二人が部室で夜を共にしたとなれば、仲良く休学になるわね」
「え?」

 先輩はスカートの中から先ほどしまった物をするすると出した。

「さて百目鬼君、これは一体何かしら?」
「ぶ、部室の鍵でしょ? それがどうし――」
「ぽーい」
「何故投げ捨てた!?」

 先輩は空いた窓から、おおきく振りかぶって、鍵を投げた。
 鍵は綺麗なカーブを描き遠くまで飛ぶと、グランド奥の草むらの中に消えていったのが見えた。

「これでもう、ここは『入部しないと出られない部屋』になったわ」
「なに『○○しないと出られない部屋』風に言ってるんですか!? 正気ですか!?」
「不満なの? しょうが無いわね。ならここは、『入部するか、セ○クスしないと出られない部屋』にしてあげるわよ」
「本家本元のネタに寄せるんじゃねぇよ! どっちも却下だわ!」
「大丈夫。私のキャラ的に、序盤で即電気椅子の刑だから、行為せずに即退場よ」
「退場の意味がデッド方面じゃねぇか! てかなんで内容知ってんだ!? 一応女子高生だろう!?」

  先輩の怒濤のボケにツッコミ疲れ、俺は吸い寄せられるように後ろの本棚に背をつける。
  本当に何なんださっきから……噂になってるイメージとは全く真逆で、滅茶苦茶破天荒だぞ、この先輩……。
 
「とにかくそういう理由なら、俺は入りませんからね。大体、俺、小説なんて書いたことすらないですし、手伝いなんて無理ですよ」
「いいえ、あなたには私の作品の添削をしてもらいたいのよ」
「添削って、あの怪文書を直せっていうんですか? それこそお断りですよ……毎回部活で気分を悪くするのなんてごめんです。それじゃあ」

  出口に向かう俺に、先輩の手が伸びて、制服を掴んできた。 
  
「お願いよ。いえ、お願いします。百目鬼君、私に力を貸してください」
 先輩の顔は真顔のままだったが、雰囲気に関しては、えらく真剣なものを感じた。
 
「……どうしてそこまで僕を頼るんですか? いくら先輩の作品を怪文書と言っても、作品であることに変わりないでしょ? なら僕よりも出版社とかに投稿した方が、まだまともな指摘がもらえるんじゃないですか?」
「無理よ。こんな作品、一次選考で落とされて評価ももらえず処理されるのがオチよ」
「ならネットサイトにでも投稿して――」
「もうやったわ。でも誰も見向きしなかった」
 
  先輩は俯いた顔を上げ、俺を見直す。
 
「それでも私には、小説を書き続けなくちゃいけない理由があるの」
「なんですかそれ。夢でも語るつもりですか?」
「私のお母様は、『神隠し』にあったのよ。そして今も行方不明のままなの」
 
 神隠し?
  行方不明?
 一体何の話しをし出したんだ?

 突然飛び出してきたワードに、俺は理解が追いつかず、思わず先輩の方を向いた。

「あれは私が幼い頃だったわ。私とお母様が散歩に出かけた時、いきなり気を失ってしまったのよ。私とお母様は二人して『神隠し』に遭遇した。そして、私だけが見つかって、お母様はそのまま見つかっていないの。今もまだ」
「っ……」
 
 神隠しだなんだと言われても、俺はそれがとても本当の事には思えなかった。

 行方不明ならともかく、神隠しなんて怪異譚の類いだぞ。
  いくらここが『物語の街』で有名な舞台市だからと言っても、そんなオカルトあるはずがない。
 
 しかし、それでも――、

  俺は『目』を使って先輩の見た。

 そして分かった――先輩は、嘘をついてはいない。

 人の考えてことまでは見えないこの『目』だが、嘘を付いているかどうかはハッキリと断定できる。

 隠神刑部鉄火は、真実を語っている。

「だから私は、いくら下手だろうと作品を書き続けなくちゃいけない。ネットに投稿し続けなくちゃいけない。どこかで生きているかもしれないお母様が、私の作品を見てくれるかもしれないから。返事をくれるかもしれないから。
 でもそれにはまず、最低でもランキングに載らなくちゃいけないのよ。目に付く場所にいなくちゃいけないの」
 
  先輩は別のポケットから先ほど投げ捨てたものと同じ形の鍵を取り出すと、扉の鍵穴に指した。
  どうやら、スペアキーは持っていたようだ。
 
「監禁するような真似をしてごめんなさい、百目鬼君。でも、今まで私の原稿をまともに読めた人も、ましてや内容を理解できた人なんて皆無だった。だから、これを小説だと言ってくれた百目鬼君に、私は期待してしまったの。話しだけでも聞いてほしかった」
「だからあんなに無理矢理だったんですね」

 先輩は、鍵を回すと、扉を開けた。

「出たいのならどうぞ。私が話したかったことはこれで全部。これで体験入部は終わりよ」
「入部するなんて言ってませんけど、帰っていいんですか?」
「これ以上の無理強いは、百目鬼君も嫌気が指すと思うからやめておくわ。私が伝えたかった事は伝えた。後は、百目鬼君の善意に期待するわ」

 少し間が空くも、俺は目の前に立つ先輩とすれ違い部室を出た。

「無駄ですよ。俺はそんな優しい人間じゃないですから」
「それでも、私は信じてるわ。あなたが私の救世主になってくれることを」
「……知らないですよ。そんなの」
 
 わずかな言葉だけを交わし、俺は今度こそ文芸部に先輩を残し、一人玄関に向かった。

 いつもだったら、学校が終わると身体が軽く感じるのだが、今日に限っては、足取りがえらく重い気がした。
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