呼んでいる声がする

音羽有紀

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呼んでいる声がする(その26)砂丘に行きたい人

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夕凪書店で、1時間位して夕昏時に蓮花とは、夕霧書店で別れた。

寂しい、楽しければ楽しい程比例して終わりは淋しい気がすると瑠子は思った。

 そんな感傷に浸っていると、自分を呼ぶ声が聞こえて来た。

「瑠子ちゃん。」

 馴れ馴れしいその声はと振り向くとやはり猫男だった

バイト終わったんだと思った。

「よく会うね。」

「ほんと。」

「最近よく猫にご飯上げてくれているでしょ。助かるよ。」

「何でそれを。」

「だってあまり食べない日があるから。それに、隠した猫達のお皿動いているし。」

 鋭いなと瑠子は思った。

「今日は、外国旅行の本見ているんだ。」

と、瑠子が手にしている本を見て言った。

「どこか行くの?」

「ええ、今では無いけれど。」

「俺も行きたい。」

「どこ?」

「遠い所。」

「何処?アメリカとか?」

「それ、俺のイメージ?違うよ鳥取砂丘。」

 意外な答えに少し驚いた。

「え、日本?なら近いうちに行けるわよね。」

「まあね、でも今は行かない。」

そこにまた、聞き覚えのある女の人の声が店の外から聞こえて来た

見ると、前猫男と以前、一緒に居た色気のある女で有る。

「紫苑。」

「呼んでいるよ(猫男の事)

「あ、俺こっちから帰るから。」

「えっ?」

「女苦手なんだ。」

「は?(嘘でしょ?)」

「じゃあね。」

そう言うと、猫男はもう一つの入り口の方に向かって行ってしまった

色気の有る女はどんどん瑠子の方に近づいて来た

そして、瑠子と目が合った。

じろじろと瑠子を睨む様に見るとあたりを捜し始めた。

そして瑠子の方に来ると、殺気だった瞳でこう言った

「紫苑知らない?」

「あ、帰りました。」

「えっ、どうして。さっき見たのに。」

「いたのですけど、今、出て行きました。」

そう答える瑠子にその女はいらいらした様に言った。

「あなた、ここで紫苑と会っていたの?」

「いいえ、偶然会ったんです。」

「そうよね。」

そう言うとその女は瑠子を睨みつけると急いで店を出て行った。

猫男の後を追うつもりかなと思った。

香水の香りがあたりじゅうに漂っている。

「なんか、勘違いしているよ。誰が猫男なんか、人間界にいるだけでも

ちゃんちゃらおかしいよ。」

と一人事を言って隣の男の人に振り向かれたので、何も無かった様に

立ち読みの続きをした。     

                                   つづく

いつも読んでいただいてありがとうございます。



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