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第17話(1)
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元老院が先か、ベルケンドルフ公爵が先か。
考えに考えた結果、公爵に打診して内諾をもらうのが先だという結論に達し、父伯爵も及び腰ではあったが同意見を述べた。
元老院は、議長であるデミトフ公爵に不可を付けられた時点で二度と諮れなくなる、活動は1度きりだと考えるべきであった。
それならば、領主の承諾はこれから取るところ、という不格好な状態で最終判断者である元老院に持ち込むよりも、穴がない状態に仕上げてから挑んで確率を上げるのが得策だと思われた。
もちろん、メルジューンに窓口を置く見返りの費用を賄うべく、メルジューンでの手続では手数料を高めにする案へと一旦変更をした。
費用をいくら要求されるかによっては計画自体が頓挫(とんざ)するが、あまりに高い額にすると、帝都に赴くのと変わらないという非難が出る。
元老院も、財政面を気にする構成員が何人かいるところであり、この点はどう転ぶかが神の御心次第であり、さすがのアレクサンドラも諦めどころであった。
ニコライも、元老院を最後にする点には賛同を示したが、ベルケンドルフ公爵との交渉については決して良い顔をしなかった。
「窓口設置を許すために、何を要求されるか分かりません。とても許容できない内容を提示しかねない」
「……愛人契約など、でございますか」
ニコライは、妻の口からそのような言葉が発せられることにも我慢ができないようで、「忌々しい」と珍しく盛大に眉を顰めた。
「そのような無体の危険があるのに貴女を1人行かせるわけには参りません。どうしてもと仰るなら私も行きます」
「それはさすがに。公証長として訪問するのですもの」
「私は公証の人間ではないからということですね。では義父上と一緒に行かれて下さい。顧問であられるから問題ないでしょう」
アレクサンドラは提案に素直に頷くことができなかった。
ベルケンドルフ公爵は、そういう意味で危険な人物だというニコライの心配、父親が同行することで、公爵への抑止力になるという見立ては正しいと思われるものの、父伯爵の同行を受けた場合にむしろ、旧公証長の助力を得ないと交渉事もできないというレッテルを貼られることを恐れた。
政治力を欠く若輩者の女が、父の庇護をまだ当てにしていると色眼鏡で見られることはさすがに我慢できなかった。
父伯爵に劣ると感じる点は数多くあったが、父からの学びは彼女の相談に応じたり、助言や忠告をもたらしてくれることにより得たいところであって、同行して娘の不足を補ってもらうという教育の時期はもう過ぎたと、アレクサンドラは強く思っていた。
それに父伯爵は、元々窓口設置自体に諸手を挙げての賛成はしてくれていない。
それならば、独りで挑んだ方が気が楽だとどうしても思ってしまう。
考えに考えた結果、公爵に打診して内諾をもらうのが先だという結論に達し、父伯爵も及び腰ではあったが同意見を述べた。
元老院は、議長であるデミトフ公爵に不可を付けられた時点で二度と諮れなくなる、活動は1度きりだと考えるべきであった。
それならば、領主の承諾はこれから取るところ、という不格好な状態で最終判断者である元老院に持ち込むよりも、穴がない状態に仕上げてから挑んで確率を上げるのが得策だと思われた。
もちろん、メルジューンに窓口を置く見返りの費用を賄うべく、メルジューンでの手続では手数料を高めにする案へと一旦変更をした。
費用をいくら要求されるかによっては計画自体が頓挫(とんざ)するが、あまりに高い額にすると、帝都に赴くのと変わらないという非難が出る。
元老院も、財政面を気にする構成員が何人かいるところであり、この点はどう転ぶかが神の御心次第であり、さすがのアレクサンドラも諦めどころであった。
ニコライも、元老院を最後にする点には賛同を示したが、ベルケンドルフ公爵との交渉については決して良い顔をしなかった。
「窓口設置を許すために、何を要求されるか分かりません。とても許容できない内容を提示しかねない」
「……愛人契約など、でございますか」
ニコライは、妻の口からそのような言葉が発せられることにも我慢ができないようで、「忌々しい」と珍しく盛大に眉を顰めた。
「そのような無体の危険があるのに貴女を1人行かせるわけには参りません。どうしてもと仰るなら私も行きます」
「それはさすがに。公証長として訪問するのですもの」
「私は公証の人間ではないからということですね。では義父上と一緒に行かれて下さい。顧問であられるから問題ないでしょう」
アレクサンドラは提案に素直に頷くことができなかった。
ベルケンドルフ公爵は、そういう意味で危険な人物だというニコライの心配、父親が同行することで、公爵への抑止力になるという見立ては正しいと思われるものの、父伯爵の同行を受けた場合にむしろ、旧公証長の助力を得ないと交渉事もできないというレッテルを貼られることを恐れた。
政治力を欠く若輩者の女が、父の庇護をまだ当てにしていると色眼鏡で見られることはさすがに我慢できなかった。
父伯爵に劣ると感じる点は数多くあったが、父からの学びは彼女の相談に応じたり、助言や忠告をもたらしてくれることにより得たいところであって、同行して娘の不足を補ってもらうという教育の時期はもう過ぎたと、アレクサンドラは強く思っていた。
それに父伯爵は、元々窓口設置自体に諸手を挙げての賛成はしてくれていない。
それならば、独りで挑んだ方が気が楽だとどうしても思ってしまう。
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