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第19話(3)
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V侯爵への伝手を自力では見つけかね、父伯爵に相談して、母夫人に尋ねたところ、母夫人が懇意にしているB侯爵夫人が不定期に開いている小サロンがあって、V侯爵夫妻がそのサロンの参加者に名を連ねているということが分かった。
母が娘を伴うというのは、よくある参加方法であるため、次の開催日に同行させてもらうよう頼んだ。
娘から避けられていると感じていた母夫人は、久しぶりの娘との対面に、泣きたいほどに喜んだが、顔を合わせた娘は母に対して慇懃無礼で打ち解けた様子はなく、元々の理由が分からない母夫人は気づまりに、新たな涙が膨らんだ。
一方アレクサンドラは、母夫人に頼むことはしたくなかったが、やむを得ずという心持ちであった。
母夫人からの注意は正しいとは思ったが、人の妻であるとともに公証長でもある娘の状況を見ない、一方向の非難がどうしても腹に据えかねた。
ゆえに、問われたことにも自ら話す必要がある場合にも、口を利くのは最低限にした。
Q伯爵夫人のサロンが際立って特別だったと思わされるように、B侯爵夫人のサロンは普通の茶席と変わりがなかった。
時間帯が夜であるため、茶だけでなく酒や夜食も出されるが、交わされるのはそれぞれの内輪話や帝都の噂などを、緩慢に語らう場であったが、話し好きだけが集っているのではなく、椅子に腰かけたまま黙り込んでいる人も混ざっていた。
母夫人から主催のB侯爵夫人に、B夫人から参集者に紹介をされた際は、迎え入れる態で口々に歓迎の挨拶を受けたが、その後は、ほとんどがいつもの寛ぎ方を重視し、2から4人で集まって席を取った。
母夫人はB侯爵夫人に合流しているようだったので、アレクサンドラも無難にそれに従ったが、B侯爵夫人は主催なため、適時に飲み物や食べ物が出されるよう配慮する役割があって、随時席を外した。
後には、アレクサンドラと母夫人、先代B侯爵の未亡人、それからV侯爵夫妻が残り、アレクサンドラは、V侯爵夫人からの質問攻めに鷹揚に耐えていた。
ニコライとの馴れ初めについて噂されている内容を確認され、自然体のニコライはどうか、王子時代の印象との違いを根掘り葉掘り、子供についての話にも飛び火する。
お子の兆しはまだ?まあそう、公証長のお仕事でお忙しいものねえ、まだ1年なら焦ってはいけないわね、でも公爵に御子を見せて差し上げないとね、公証の跡継ぎ問題を今度こそ起こさないようにした方がいいものね、ご自身も苦労したでしょう、穏やかな心持ちでなければできるものもできないから、万事に根を詰めないようにしなければね。
未亡人が時折、賛同の相槌を打つのに味方を得て、夫人はのべつ幕なしに問いを続ける。
夫のV侯爵が苦々しげに、何度も止めに入ったが、夫人は「まあそれはそうねえ」とおざなりの返事で従う様子はない。
アレクサンドラは、V侯爵本人と対面ができたことを思いがけない幸運と評価したので、何を聞かれてもある程度は耐え忍ぶつもりだったが、子供のことを長々と穿(ほじく)られていると、さすがに心が疲弊して来た。
V侯爵夫人の言い方には、露骨な非難は聞き取れなかったが、そろそろ第1子を妊娠しても良い頃ではないか、という探る響きがあう。
「焦るとうまく行かないと昔からよく言うのよ、身体のサイクルには気を付けているかしら?畑の状態を整えておくことが是非とも必要よ」
下世話な方面に持ち込まれつつあることに、V侯爵が荒さを増した口調で咎めたが、
「おい、いい加減止めないか、失敬が過ぎるぞ」
「まあそれは、でも大事なことですわ」
とV侯爵夫人は夫の静止を聞いていないという様子で、アレクサンドラと目をぐっと合わせて聞き出すまで逃がさないといった容貌を湛えている。
母が娘を伴うというのは、よくある参加方法であるため、次の開催日に同行させてもらうよう頼んだ。
娘から避けられていると感じていた母夫人は、久しぶりの娘との対面に、泣きたいほどに喜んだが、顔を合わせた娘は母に対して慇懃無礼で打ち解けた様子はなく、元々の理由が分からない母夫人は気づまりに、新たな涙が膨らんだ。
一方アレクサンドラは、母夫人に頼むことはしたくなかったが、やむを得ずという心持ちであった。
母夫人からの注意は正しいとは思ったが、人の妻であるとともに公証長でもある娘の状況を見ない、一方向の非難がどうしても腹に据えかねた。
ゆえに、問われたことにも自ら話す必要がある場合にも、口を利くのは最低限にした。
Q伯爵夫人のサロンが際立って特別だったと思わされるように、B侯爵夫人のサロンは普通の茶席と変わりがなかった。
時間帯が夜であるため、茶だけでなく酒や夜食も出されるが、交わされるのはそれぞれの内輪話や帝都の噂などを、緩慢に語らう場であったが、話し好きだけが集っているのではなく、椅子に腰かけたまま黙り込んでいる人も混ざっていた。
母夫人から主催のB侯爵夫人に、B夫人から参集者に紹介をされた際は、迎え入れる態で口々に歓迎の挨拶を受けたが、その後は、ほとんどがいつもの寛ぎ方を重視し、2から4人で集まって席を取った。
母夫人はB侯爵夫人に合流しているようだったので、アレクサンドラも無難にそれに従ったが、B侯爵夫人は主催なため、適時に飲み物や食べ物が出されるよう配慮する役割があって、随時席を外した。
後には、アレクサンドラと母夫人、先代B侯爵の未亡人、それからV侯爵夫妻が残り、アレクサンドラは、V侯爵夫人からの質問攻めに鷹揚に耐えていた。
ニコライとの馴れ初めについて噂されている内容を確認され、自然体のニコライはどうか、王子時代の印象との違いを根掘り葉掘り、子供についての話にも飛び火する。
お子の兆しはまだ?まあそう、公証長のお仕事でお忙しいものねえ、まだ1年なら焦ってはいけないわね、でも公爵に御子を見せて差し上げないとね、公証の跡継ぎ問題を今度こそ起こさないようにした方がいいものね、ご自身も苦労したでしょう、穏やかな心持ちでなければできるものもできないから、万事に根を詰めないようにしなければね。
未亡人が時折、賛同の相槌を打つのに味方を得て、夫人はのべつ幕なしに問いを続ける。
夫のV侯爵が苦々しげに、何度も止めに入ったが、夫人は「まあそれはそうねえ」とおざなりの返事で従う様子はない。
アレクサンドラは、V侯爵本人と対面ができたことを思いがけない幸運と評価したので、何を聞かれてもある程度は耐え忍ぶつもりだったが、子供のことを長々と穿(ほじく)られていると、さすがに心が疲弊して来た。
V侯爵夫人の言い方には、露骨な非難は聞き取れなかったが、そろそろ第1子を妊娠しても良い頃ではないか、という探る響きがあう。
「焦るとうまく行かないと昔からよく言うのよ、身体のサイクルには気を付けているかしら?畑の状態を整えておくことが是非とも必要よ」
下世話な方面に持ち込まれつつあることに、V侯爵が荒さを増した口調で咎めたが、
「おい、いい加減止めないか、失敬が過ぎるぞ」
「まあそれは、でも大事なことですわ」
とV侯爵夫人は夫の静止を聞いていないという様子で、アレクサンドラと目をぐっと合わせて聞き出すまで逃がさないといった容貌を湛えている。
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