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強襲編
第81章 解放
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メイカの額で青い輝きが怪しく揺れ、大気が鳴動した。念動力の出力が明らかに跳ね上がり、ネオグライダーの身動きを封じ込めた。
「!・・・何だ、このパワーは⁉︎」
「『暴牛基金(ブル・ファンド)』発動!」
優越感を抑え切れず、メイカから好戦的な笑みが溢れ出る。
『暴牛基金(ブル・ファンド)』は、メイカが他の精鋭隊員にも明かしていない、魂気術である。
自らの魂気を結晶化した、『暴牛の種(ブル・シード)』を、対象人物に気づかれることなく、体内に仕込むことで、対象の魂気の成長に合わせて、自らの魂気を増強することが出来る固有能力である。
ブル・シードを生成することは、メイカ自身の魂気の一部を対象に預けることになるため、『投資』として位置付けられる。仕込んだ対象が成長すれば『利益』が、逆に対象が退化した場合は『損失』がブル・シードに蓄積される。
『利益を確定』すれば、その大きさに応じてメイカの魂気総量を底上げすることが出来るが、『損失』を確定した場合、より高い倍率でメイカの魂気総量が押し下げられるというリスクを伴う。
『君には期待しているんだよ?』
『強みを封じられた状況や、自分と同等以上の動きで飛び回る相手にも対処できるようにならないとな。』
ブル・シードを仕込む条件は、対象に触れながら、期待を込めた言葉や助言を口にし、その上で『仕込み』を行ったことを悟られないこと。
メタルやティルたちを始め、見込みのある隊員を『成長株』と見なし、訓練中や任務の最中に、労いの言葉をかけるふりをしながら、メイカは総計10名に『仕込み』を行って来た。
『仕込み』を行った後、ティルが魂の捻挫により昏睡状態に陥ったため、魂気の低下の底が見えなくなる前にブル・シードを回収し、『損切り』を行ったケースもあったが、メイカはなおも、『含み益』のある種を9つ保持していた。
そのうちの4つを今、解放したのだ。
増強された念動力により、ネオグライダーの動きを一時的に止めるだけの力を発揮するに至るが、ネオグライダーもまたジェネレータの出力を上げ、脱出を図っていた。
「(まだ、『暴牛の種(ブル・シード)』による仕込みと、それを解放する『暴牛基金(ブル・ファンド)』を、他の隊員に明かす訳にはいかないからな。魂気の上昇幅が、好不調の波に収まる範囲になるよう、開放する種の組み合わせを調整したが、まだ『とっておき』は残してある。それよりも今は・・・)」
メイカは地上のガルドに、目で合図する。
「やれ!」
「了解(ラジャー)!」
ここが勝機とばかりに、ガルドが全身の火器に魂気を送り込む。
右腕のガトリング、左腕のキャノン砲、両肩のミサイルポッドから同時に全力の射撃を見舞う。
「『開け弾薬庫(フル・ファイヤー)!』」
おびただしい数の追尾弾と弾幕の洪水が、ネオグライダーに向けて放たれた。
「ま、まずい。あれを喰らうわけには・・・!」
ネオグライダーはパワーを全開にして、念動力の鎖から逃れようともがく。全身に纏ったエネルギーの波動が激しく揺らめき、バーニアがうなりを上げた。
「逃すか!」
メイカもまた、額に青筋を立てて手先に力を込め、まるで暴れ馬のように念動力を引きちぎろうとするネオグライダーを、締め付けた。額の水晶が眩いほどの閃光を放つ。
鼻腔の奥から、金物臭い血の味が降りてくるのを感じる。
「(く、脳にだいぶ負荷がかかっているな。『暴牛の種(ブル・シード)』の一部を解放したとは言え、今のパワーでは、これが限界か。)」
空全体を覆うかのような、破裂音がメイカの耳を破る。
刹那の差で、ネオグライダーはメイカの縛めを振り解き、上空へと逃れた。
ガトリングの弾幕が空を切り、間近で標的を見失った追尾弾が互いに衝突し、爆炎を轟かせる。
「ぐおお・・・!」
辛うじて難を逃れたものの、全ての攻撃をかわすことは叶わず、ネオグライダーは体から黒煙を噴き上げ、錐揉みしながら墜落し、基地内の建物の1つへと突っ込んで行った。
「あそこは・・・!」
メイカの顔色が変わる。
ネオグライダーが突っ込んで行ったのは、医療棟、傷ついた兵士達が治療を受けている施設だった。
・・・
医療棟には、先のキサラギの里での戦いで傷ついた、メタルとジェノ、ティルとレイチェルも収容されていた。
とある一室では、ティルとレイチェルが、キサラギの秘薬の副作用と戦い続けていた。
里での攻防から数日が経ち、意識は戻ったものの、未だに身を焼くような高熱と吐き気に見舞われていた。
「ねぇ、起きてる?レイチェル・・・。なんか、騒がしいよね?」
「ううー、そんな気もしますけど・・・、今それ気にするの、ムリ、です。」
朦朧とする頭にガンガンと鳴り響く警報と、向き合う気力すら起こらない。
それでも、不意に、何かが空気を切るような甲高い音が近づいてくる気配を、ティルが感じ取る。
「(え、これは何?何の音??)」
これ以上はまずそう、と直感したその刹那・・・
けたたましい炸裂音を立てて、壁が砕け散る。
「ウソでしょーー」
「何、何、なんですかーー⁉︎」
彼女らの絶不調などに構うはずもなく、軌道制御を失った空の暴君は、医療棟の外壁を突き破り、2人の前にその姿を現した。
ネオグライダーが墜落したのは、ティルたちが収容された一室だった。
「!・・・何だ、このパワーは⁉︎」
「『暴牛基金(ブル・ファンド)』発動!」
優越感を抑え切れず、メイカから好戦的な笑みが溢れ出る。
『暴牛基金(ブル・ファンド)』は、メイカが他の精鋭隊員にも明かしていない、魂気術である。
自らの魂気を結晶化した、『暴牛の種(ブル・シード)』を、対象人物に気づかれることなく、体内に仕込むことで、対象の魂気の成長に合わせて、自らの魂気を増強することが出来る固有能力である。
ブル・シードを生成することは、メイカ自身の魂気の一部を対象に預けることになるため、『投資』として位置付けられる。仕込んだ対象が成長すれば『利益』が、逆に対象が退化した場合は『損失』がブル・シードに蓄積される。
『利益を確定』すれば、その大きさに応じてメイカの魂気総量を底上げすることが出来るが、『損失』を確定した場合、より高い倍率でメイカの魂気総量が押し下げられるというリスクを伴う。
『君には期待しているんだよ?』
『強みを封じられた状況や、自分と同等以上の動きで飛び回る相手にも対処できるようにならないとな。』
ブル・シードを仕込む条件は、対象に触れながら、期待を込めた言葉や助言を口にし、その上で『仕込み』を行ったことを悟られないこと。
メタルやティルたちを始め、見込みのある隊員を『成長株』と見なし、訓練中や任務の最中に、労いの言葉をかけるふりをしながら、メイカは総計10名に『仕込み』を行って来た。
『仕込み』を行った後、ティルが魂の捻挫により昏睡状態に陥ったため、魂気の低下の底が見えなくなる前にブル・シードを回収し、『損切り』を行ったケースもあったが、メイカはなおも、『含み益』のある種を9つ保持していた。
そのうちの4つを今、解放したのだ。
増強された念動力により、ネオグライダーの動きを一時的に止めるだけの力を発揮するに至るが、ネオグライダーもまたジェネレータの出力を上げ、脱出を図っていた。
「(まだ、『暴牛の種(ブル・シード)』による仕込みと、それを解放する『暴牛基金(ブル・ファンド)』を、他の隊員に明かす訳にはいかないからな。魂気の上昇幅が、好不調の波に収まる範囲になるよう、開放する種の組み合わせを調整したが、まだ『とっておき』は残してある。それよりも今は・・・)」
メイカは地上のガルドに、目で合図する。
「やれ!」
「了解(ラジャー)!」
ここが勝機とばかりに、ガルドが全身の火器に魂気を送り込む。
右腕のガトリング、左腕のキャノン砲、両肩のミサイルポッドから同時に全力の射撃を見舞う。
「『開け弾薬庫(フル・ファイヤー)!』」
おびただしい数の追尾弾と弾幕の洪水が、ネオグライダーに向けて放たれた。
「ま、まずい。あれを喰らうわけには・・・!」
ネオグライダーはパワーを全開にして、念動力の鎖から逃れようともがく。全身に纏ったエネルギーの波動が激しく揺らめき、バーニアがうなりを上げた。
「逃すか!」
メイカもまた、額に青筋を立てて手先に力を込め、まるで暴れ馬のように念動力を引きちぎろうとするネオグライダーを、締め付けた。額の水晶が眩いほどの閃光を放つ。
鼻腔の奥から、金物臭い血の味が降りてくるのを感じる。
「(く、脳にだいぶ負荷がかかっているな。『暴牛の種(ブル・シード)』の一部を解放したとは言え、今のパワーでは、これが限界か。)」
空全体を覆うかのような、破裂音がメイカの耳を破る。
刹那の差で、ネオグライダーはメイカの縛めを振り解き、上空へと逃れた。
ガトリングの弾幕が空を切り、間近で標的を見失った追尾弾が互いに衝突し、爆炎を轟かせる。
「ぐおお・・・!」
辛うじて難を逃れたものの、全ての攻撃をかわすことは叶わず、ネオグライダーは体から黒煙を噴き上げ、錐揉みしながら墜落し、基地内の建物の1つへと突っ込んで行った。
「あそこは・・・!」
メイカの顔色が変わる。
ネオグライダーが突っ込んで行ったのは、医療棟、傷ついた兵士達が治療を受けている施設だった。
・・・
医療棟には、先のキサラギの里での戦いで傷ついた、メタルとジェノ、ティルとレイチェルも収容されていた。
とある一室では、ティルとレイチェルが、キサラギの秘薬の副作用と戦い続けていた。
里での攻防から数日が経ち、意識は戻ったものの、未だに身を焼くような高熱と吐き気に見舞われていた。
「ねぇ、起きてる?レイチェル・・・。なんか、騒がしいよね?」
「ううー、そんな気もしますけど・・・、今それ気にするの、ムリ、です。」
朦朧とする頭にガンガンと鳴り響く警報と、向き合う気力すら起こらない。
それでも、不意に、何かが空気を切るような甲高い音が近づいてくる気配を、ティルが感じ取る。
「(え、これは何?何の音??)」
これ以上はまずそう、と直感したその刹那・・・
けたたましい炸裂音を立てて、壁が砕け散る。
「ウソでしょーー」
「何、何、なんですかーー⁉︎」
彼女らの絶不調などに構うはずもなく、軌道制御を失った空の暴君は、医療棟の外壁を突き破り、2人の前にその姿を現した。
ネオグライダーが墜落したのは、ティルたちが収容された一室だった。
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