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第1話『いつも見かけるあの子』
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「中宿!中宿聞いているのか?」
大束先生の声で僕は目覚めた。授業中に寝てしまったのか。情けない。うとうとした目をしながら黒板を見上げると、文字がずらずらと書かれていた。白いチョークしか使っていない、まるで早く授業を切り上げたいように工夫のされていない黒板だった。
5分くらい経って、後ろの席の高嶺が僕の肩を叩く。
「見えないからちょっと屈んで。」
なんと腹の立つ口調だろう。まあ、それも仕方ない。僕は高校1年生ながら、175cmの高身長。小学生の頃はクラスで真ん中の方だったが、中学校に入った途端、155cmだった身長が20cmも伸びた。そんな高身長なのにま関わらず、席はくじ引きのせいで前の方になる。だから、背後の席の高嶺は僕の肩を叩いたのだろう。
言われた通り、少しだけ肩を丸めると、「もういいや」と言われ、「何だったのか」と怒る。
6時間目のチャイムが校内に響き渡る。今日も1日疲れたと言って、机に顔を伏せる者、窓から空を見上げる者、教室を走り回る者...。そんな奴らがいるなか、僕の頭の中はあることでいっぱいだった。
_______それは1週間前の登校中の出来事。いつもより遅めに起きた朝だった。遅刻は逃れたいと焦りながら最寄り駅まで走り、車両へ駆け込むと、その車両には僕の他に10名程度しか乗っていなかった。僕は息を吐きながら椅子へ座る。すると、どこからか視線を感じ、バレないように辺りを見渡すと、目の前の席にいた女子高生が僕のことを見ている。僕はふと髪の毛や身なりを整えた。「どこかおかしいのか?」
列車は進み、揺れ動く車両のなかで気まずい雰囲気と沈黙が続いた。ようやく終点に到着すると、その瞬間、彼女は黙って走っていった。
これがここ1週間毎日続いているのだ。さすがに向こうも何かしら思っているに違いないとみた。______
帰りのHRまでの休憩時間中、僕は廊下が騒がしいことに気づき、みんなの方へ駆け寄った。ちょうど高嶺がいたので、「何をしてるんだ?」と尋ねた。彼によれば、どうやら先日の試験の成績優秀者が発表されたらしい。僕も気になって見てみた。
「1位 髙橋牧男、2位 内田茉莉、3位 山下裕太……」
ずらずらと書き並べてあるその文字を辿ると、「濱葉月」と書かれていたのを見つけた。
濱葉月。そう、例の女子高生の名前である。比較的大人しく、清楚で、吹奏楽部に所属している。でも、僕と彼女が交わることなどこれからも無いだろうと思っていた。
しかし、その予想は大きく外れることとなる。
大束先生の声で僕は目覚めた。授業中に寝てしまったのか。情けない。うとうとした目をしながら黒板を見上げると、文字がずらずらと書かれていた。白いチョークしか使っていない、まるで早く授業を切り上げたいように工夫のされていない黒板だった。
5分くらい経って、後ろの席の高嶺が僕の肩を叩く。
「見えないからちょっと屈んで。」
なんと腹の立つ口調だろう。まあ、それも仕方ない。僕は高校1年生ながら、175cmの高身長。小学生の頃はクラスで真ん中の方だったが、中学校に入った途端、155cmだった身長が20cmも伸びた。そんな高身長なのにま関わらず、席はくじ引きのせいで前の方になる。だから、背後の席の高嶺は僕の肩を叩いたのだろう。
言われた通り、少しだけ肩を丸めると、「もういいや」と言われ、「何だったのか」と怒る。
6時間目のチャイムが校内に響き渡る。今日も1日疲れたと言って、机に顔を伏せる者、窓から空を見上げる者、教室を走り回る者...。そんな奴らがいるなか、僕の頭の中はあることでいっぱいだった。
_______それは1週間前の登校中の出来事。いつもより遅めに起きた朝だった。遅刻は逃れたいと焦りながら最寄り駅まで走り、車両へ駆け込むと、その車両には僕の他に10名程度しか乗っていなかった。僕は息を吐きながら椅子へ座る。すると、どこからか視線を感じ、バレないように辺りを見渡すと、目の前の席にいた女子高生が僕のことを見ている。僕はふと髪の毛や身なりを整えた。「どこかおかしいのか?」
列車は進み、揺れ動く車両のなかで気まずい雰囲気と沈黙が続いた。ようやく終点に到着すると、その瞬間、彼女は黙って走っていった。
これがここ1週間毎日続いているのだ。さすがに向こうも何かしら思っているに違いないとみた。______
帰りのHRまでの休憩時間中、僕は廊下が騒がしいことに気づき、みんなの方へ駆け寄った。ちょうど高嶺がいたので、「何をしてるんだ?」と尋ねた。彼によれば、どうやら先日の試験の成績優秀者が発表されたらしい。僕も気になって見てみた。
「1位 髙橋牧男、2位 内田茉莉、3位 山下裕太……」
ずらずらと書き並べてあるその文字を辿ると、「濱葉月」と書かれていたのを見つけた。
濱葉月。そう、例の女子高生の名前である。比較的大人しく、清楚で、吹奏楽部に所属している。でも、僕と彼女が交わることなどこれからも無いだろうと思っていた。
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