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第3話『なぜ君がここにいる?』
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時が経ち、待ち侘びていた夏休みになった。例年に比べて暑いと感じられる気温は、この季節をより一層彩っている。僕もいつもとは違う青春を味わいたい、という気持ちでいっぱいだった。
休みに入ってから5日後、大和ら同じクラスの男子に誘われ静岡の海の方に行くこととなった。空白のスケジュールだった僕にとっては好都合なことである。そのメンバーは、大和と、剣道の全国大会で優勝した経験を持つ松前慎吾、サッカー部のイケメン・河田春紀、そしてあの高嶺駿(実は濱葉月と同じ吹奏楽部)。
行きの電車の中で5人で話をしている。
河田「やっぱり女子も誘うべきだったな~」
大和「それな。でも誘っても誰も来なそう」
松前「それは草。まあいいじゃんか」
僕「アオハルしたい!庸介(隣のクラスの友)なんてInstagramのストーリーに彼女とのデート写真あげてんだぜ。それも顔はうつさないで匂わせみたいに!」
高嶺「えーあいつって彼女いたんだ」
松前「知らなかってん?(笑)」
河田「え、俺も知らなかった…」
大和「B組の渡邉だよ!」
こう恋愛話になると盛り上がる男達。庸介のように僕も誰かが隣にいてくれたら、と思う。
海に到着した。辺りには夏休みにしては空いている。本当ならもっと混んでてもいいはずなのに。5人は早足で砂浜を駆け、身を潜めながら着替えを済ませる。誰もが「早く海に入りたい!」と思っていたのだろう。
水着になり、海へ飛び込む。果てしない爽快感だ。僕は久しぶりに全力の笑顔を他人に見せた気がする。
太陽が雲で隠れ、少し冷えて来たので、一同は陸へ上がることとした。僕以外の4人はみな太陽光で暖かくなったタオルにくるまって、寝転がっていた。僕は貴重品をコインロッカーに預けたくなり、皆と離れる。コインロッカーは海岸の端にあった。そこには誰もいない。海にいる人すら少ないので確かなことではあるが。
コインロッカーを開き、仕舞う。そのとき、誰かがやってくる音がした。どうせ他人だろうと気にせず皆のところへ戻ろうとした。
その瞬間だった。
僕の横を通り過ぎたのはあいつだった。そう、濱葉月である。
僕はアニメでよくあるような二度見をしてしまった。いや三度、四度見くらいしてしまったかもしれない。だって普通、驚かないか?
「なんで、君がここにいる?」
と僕はつい発してしまった。
すると彼女は立ち止まり、言う。
「何でだと思う?」
僕は首を振った。言葉が出ない。
そしてまた彼女は、
「あなたとなら夢を見れる気がしたんだ」
と告げられたので、僕は思いをぶつけた。
「君、僕のストーカー?やばいって。いつも僕の前に現れるよね。怖い、怖いよ。怖すぎる。夢を見る?何言ってんだ。ぼ、僕の視界から消えてくれないか?」
その瞬間、彼女はニコッと笑った…。
休みに入ってから5日後、大和ら同じクラスの男子に誘われ静岡の海の方に行くこととなった。空白のスケジュールだった僕にとっては好都合なことである。そのメンバーは、大和と、剣道の全国大会で優勝した経験を持つ松前慎吾、サッカー部のイケメン・河田春紀、そしてあの高嶺駿(実は濱葉月と同じ吹奏楽部)。
行きの電車の中で5人で話をしている。
河田「やっぱり女子も誘うべきだったな~」
大和「それな。でも誘っても誰も来なそう」
松前「それは草。まあいいじゃんか」
僕「アオハルしたい!庸介(隣のクラスの友)なんてInstagramのストーリーに彼女とのデート写真あげてんだぜ。それも顔はうつさないで匂わせみたいに!」
高嶺「えーあいつって彼女いたんだ」
松前「知らなかってん?(笑)」
河田「え、俺も知らなかった…」
大和「B組の渡邉だよ!」
こう恋愛話になると盛り上がる男達。庸介のように僕も誰かが隣にいてくれたら、と思う。
海に到着した。辺りには夏休みにしては空いている。本当ならもっと混んでてもいいはずなのに。5人は早足で砂浜を駆け、身を潜めながら着替えを済ませる。誰もが「早く海に入りたい!」と思っていたのだろう。
水着になり、海へ飛び込む。果てしない爽快感だ。僕は久しぶりに全力の笑顔を他人に見せた気がする。
太陽が雲で隠れ、少し冷えて来たので、一同は陸へ上がることとした。僕以外の4人はみな太陽光で暖かくなったタオルにくるまって、寝転がっていた。僕は貴重品をコインロッカーに預けたくなり、皆と離れる。コインロッカーは海岸の端にあった。そこには誰もいない。海にいる人すら少ないので確かなことではあるが。
コインロッカーを開き、仕舞う。そのとき、誰かがやってくる音がした。どうせ他人だろうと気にせず皆のところへ戻ろうとした。
その瞬間だった。
僕の横を通り過ぎたのはあいつだった。そう、濱葉月である。
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と告げられたので、僕は思いをぶつけた。
「君、僕のストーカー?やばいって。いつも僕の前に現れるよね。怖い、怖いよ。怖すぎる。夢を見る?何言ってんだ。ぼ、僕の視界から消えてくれないか?」
その瞬間、彼女はニコッと笑った…。
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