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1.物語のはじまりの日
しおりを挟む.........................なんか、今日は運勢良くない気がする。
おっす、俺は鈴木 平太。名は体を表すと言うが、その通り過ぎるくらい平々凡々な男。それが俺である。
何処が平々凡々って言われても、「そこらにいる人間足して人数分で割ってみてください。そしたら大体俺っぽくなるんじゃないスか?」としか言えない。
まぁ、強いていえば男子高校生の平均身長である170cmよりも4cmくらい低く、ひょろひょろしてるのが特徴かな。
そんな俺だが、冒頭でも思った通り、本日は運勢が良くない気がする。
いや、何が悪いって登校中、ちょっとした段差に躓いてコケかけるわ、コケかけるわ、コケかけるわ.............
いや、ほんとに怪我しなくてよかったな。
学校の手前で急にオロパミンCが飲みたくなって3歩後ろの自販機に戻った時、なんか耳元でシュッて音がした気がしたけど........まぁ、気の所為だよな。
シュポッ!
「....ゴクッゴクッゴクッ、っぷは!あーーーーー。運勢悪くたって仕方ない。カフェインいれたし、今日も頑張るかぁ。」
我ながら親父くさいなぁなんて思いながら、のんきに学校の敷地内に足を踏み入れる。
そんな様子を、後ろから見ていた奴がいるとも知らずに。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「お!!!!やっと来たか!平太!」
「おっす~平太。今日も平々凡々だな。」
「おっすぅ平ちゃん!」
「おはよぉ、みんな。....悪かったなぁ、平々凡々でよぉ。」
「そんな平々凡々な平太にビッグニュースだ!」
「否定しろとは言わんが繰り返すなよ.............」
「このクラスに転校生がくる!!」
「............まぁ、ビッグニュースではあるけど.............絶対に女の子ではないことは明らかだよな。」
「ちくしょう、そうなんだよなぁ!!!!」
あ、言ってなかったが、俺が通うこの高校は男子校である。よって、転校生=男子であることは確定事項なのだ。
「まぁ、ここで可愛い男子が来ても困るだろ。」
「確かに........まかり間違って何かに目覚めちゃうかもしれねーからなぁ。」
「大丈夫。俺はお前が目覚めても応援してやるからよ........」
「おい、肩にポンってして遠い目するのヤメロ。絶対ないと思うが、もしまかり間違ったら正しい道に引き戻してくれ頼む。」
「「「........................。」」」
「お前らアイコンタクトした後に『俺達は面白い方に推してくぜ!』みたいな顔するのやめろ!!GoodじゃねぇGoodじゃ。親指立てるな!!」
友人達にいつも通りツッコんでいると、チャイムがなった。うるさかった教室もすこし静まり、みんな自分の席に戻る。HRだ。噂の転校生はこの時間で挨拶になるのだろう。仲良くなれるといいな。
ガラッ
「おーす、おはよう。お前らぁ落ち着けよ~。まぁ、知ってるとは思うが、このクラスに転校生が入る。じゃ、挨拶してもらうな。入ってこーい。」
「はい。」
ガラッと、ちょっとガタついた扉を開けて入ってきたのは...............
『『『『『え、顔、良。』』』』』
と、クラスの全員が思うくらい顔が良い奴。
ちょっとフワッとしたお洒落な髪に、すこしタレた目。右目には泣きぼくろまである。
顔が良いだけではない。スタイルもめちゃくちゃ良い。180cmはゆうに超えていそうだ。どんだけ牛乳飲んだらあんなに伸びるんだろう。セロビックってやっぱ効果あんのかな?
天然ふわふわそうでもありながら、少し色気のある、でも、絶対に可愛い系ではない、なんだか説明するのも難しいが、とにかく同じ男から見ても魅力的である、そんな男。
これが、齋藤 梓の第一印象である。
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