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第三章学園生活は最高デース

3-3(土~日)お姫様デース

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 「凄いね、ライトアップするととっても幻想的!」


 私たちは夕食の後みんなで夜の湯畑を見に来ていた。

 旅館の人に夜の湯畑を見ておいた方が良いとか言われみんなで来ていたのだが想像以上に凄かった。
 湯煙の中に幻想的にライトアップされるその様は思わずぼぅ~っとお湯の流れを見続けてしまうほどだった。


 「OH-! 凄いデース! 奇麗デース!!」

 リンダはスマホの写真をたくさん撮っていた。
 私もお兄ちゃんと並んで湯畑を背景に自撮りでパシャリ。

 撮れた写真を見て思わずにやけてしまう。

 「うふっ、なんかお兄ちゃんと二人で浴衣で立っていると新婚夫婦見たい♪」

 「駄目デース! 由紀恵は私の嫁デース!! 由紀恵、私と一緒に写真撮るデース!!」

 そう言ってリンダも私に抱き着いてきて二人で記念撮影をする。
 浴衣越しに凶器が押し付けられるけどその表情は心底楽しそうだった。


 「ねえ、リンダ。旅行に来てどうだった?」

 「勿論さいこーデースっ!!」


 二人で撮った写真を見ながら私はリンダに聞くと最高の笑顔でそう言ってくれる。

 よかった。
 リンダが心底楽しんでくれているようで。


 「おーい、由紀恵にリンダちゃーん、焼き鳥食べるか?」

 お兄ちゃんが近くの焼鳥屋さんの前で手を振っている。
 そう言えばお兄ちゃんネットで見てやたらと此処の焼鳥屋さんを食べたがっていたっけ?
 二軒あるうちの焼き場がむき出しの方が美味しいって話だったよね?

 私とリンダはお兄ちゃんに呼ばれてお店に行くのだった。


 * * * * *


 「日本の温泉凄かったデース!」
 
 「お土産の『ちちや饅頭』も買えたし、ほんとこの草津はよかったな」

 「うん、お肌もつるつるだしねぇ~」

 「それはおかしいデース。由紀恵つるつるじゃ無かったデース?」


 おいこらリンダ!
 何処見て言ってるっ!?

 
 「それじゃ行くぞ。みんな大丈夫だな?」

 お父さんがそう聞いてきて車を動かし始める。
 旅館の前に見送りの女中さんたちが頭を下げてくれていた。

 うーん、これぞ正しく古き良き日本の旅行よ!


 私たちはこの旅を十二分に堪能して帰路へとつくのだった。


 * * * * *


 「由紀恵、起きなよ。ついたよ」

 「んにゃ? もう家に着いたの?」

 「ふわぁぁぁああああぁぁぁ、寝てしまいましたデース」


 お父さんの車の後ろの席に座っていた私たちはいつの間にか眠ってしまった様だった。
 しかしそんな私たちをお兄ちゃんが起こしてくれる。

 
 「あれ?」


 でも外を見て気付く。
 家じゃなくてなんかのお店かな?
 あ、公衆のトイレがあるから小休憩かな?


 「お母さんここには絶対に来てみたかったのよねぇ~。ここの地ビールはとても美味しのよね~」

 「それは楽しみだけど、運転があるからな。買って帰ろうか」


 んん?
 どうやらお母さんやお父さんが来た事がある所だったんだ?


 車から降りて入場券を買い言われるままに付いて行くとちょっと上り坂で途中に色々とお店やら何やらとある。

 「なんなのここ? お母さん??」

 「あらあらあら~、きっと由紀恵が喜ぶ所だと思うんだけどね?」

 「そう言えばドラマなんかの撮影にも使っているんだったな」


 お母さんやお父さんはよく知っているよう。
 こんな山奥に撮影するなんて、映画村かな?


 しかしその考えは見えて来た門で完全に変わった。


 「OH-! こんな山奥に門がありますデース!」

 「ほんとだ、なにこれ?」


 日本の門ではなく西洋風の門。
 そこまで行ってみると飾りつけで西洋甲冑なんかもある。


 「見えてきたわね♪」
 
 やたらと嬉しそうなお母さん。
 私たちはそんなお母さんに付いて行くと‥‥‥


 「お城!?」


 そう、丘を登り切ったそこには茶色い石造りのお城が有った!
 それに確かになんかのドラマでも見た!

 石畳のその奥にお城が見え、周りには貸衣装なのだろうか?
 シンデレラに出て来るようなドレスを着て撮影している人もいる。


 「あれ? やっぱりこれって‥‥‥」

 お兄ちゃんがその風景を見ていて何かに気付いたようだ。
 あたしもお兄ちゃんの見ているそれを見ると‥‥‥

 「ここってお父さんとお母さんの結婚写真に写ってたところ!?」

 「ご名答~♪ なつかしいわぁ、ここで私たちは式を挙げたのよ」

 お母さんは後ろから私の肩に手を置いて指さす。
 するとその先には教会もあった。

 「OH-! ママさんロマンチックデース!!」

 リンダもその話を聞きお父さんを見る。
 お父さんは少し赤くなって明後日の方を見ている。


 「ねね、由紀恵とリンダちゃんも貸衣装を着てみない?」

 お母さんはいきなりそんな事を提案してくる。
 
 「勿論友也も一緒にね」

 そう言って私たち三人を貸衣装のお店に引っ張っていく。
 なんかものすごく嬉しそう。

 「俺もするの? 母さん??」

 「当然でしょう? せっかくお姫様がいるのに王子様がいなくてどうするの? みんなの写真を撮って私たちの結婚写真の横に飾りたいのよ」

 どうやらお母さんは最初からそれが目的のようだった。
 でもお兄ちゃんが王子様で私がお姫様‥‥‥

 「うふっ、うふふふふふふっ!」

 「それじゃあ早速着替えるデース!」

 リンダもノリノリで着替えを始める。
 

 そして‥‥‥


 「なんでリンダが王子様の格好しているのよ!?」

 「由紀恵は私の嫁デース! だから私が王子様デース!!」

 「だからと言ってなんで俺がこんな衣装なんだよ!?」

 見ればリンダにチョイスされたお兄ちゃんはドレスを着させられかつらをしている。

 思わず吹きそうになるけど、一枚だけどうしてもリンダはその恰好で写真を撮りたいらしい。
 お店の人も善意ですぐに着替える条件でお兄ちゃんにドレスを着させ一緒になって笑っていた。


 「これで二人とも私の嫁デース!! ものすごく良い思い出になりましたデース!!」


 最高の笑顔のリンダ。
 私は飽きれながらこの格好で記念撮影をするのだった。













 後でちゃんとした格好で撮り直したよ?
 勿論お兄ちゃんにお姫様抱っこさせて!

  
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