アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

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第四章:転移先で

4-13:シーナ商会

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「エル様! ご無事で!!」


 エルさんについて行ってシーナ商会に入る。
 なんかやたらとでかい屋敷で、むしろお城に近い。
 出迎えた人はほとんどが女性ばかりという違和感は感じるけど。


「ああ、アルフェただいま。いやぁ~間違ってティナの国に飛んじゃったわよ~」

「エル様、それがゲートの使用が全てできなくなっているのです、そして風のメッセンジャーも使えなくなっており現在その原因を調査中なのです!!」


「へっ?」


 エルさんを出迎えた中に秘書のような女性が慌ててエルさんに現状報告をしている。
 その報告にエルさんは間抜けな声を上げていた。


「ちょ、ちょっと待ってよ! ゲートが使えなくなってそして風のメッセンジャ―も使えないってどういう事ヨ!?」

「それが、エル様がシェル様を追ってゲートを使われたすぐあとからゲートの使用が出来なくなり、それと同時に風のメッセンジャーも使えなくなってしまったのです。おかげでここ数週間情報の伝達が出来ずに何が起こっているのかさっぱりわかりません。ベーダも近隣の情報を集めるべく動いていますが、どうやらほかの場所でも同じ現象が起こっているようです」

 エルさんはそれを聞いてから油の切れた機械人形のようにこちらに首をぎぎぎぎぃっと向けて言う。


「どうしよう……」

「いや、どうしようって言われても……」


 思わずそう答える私。
 どうやら期待していた風のメッセンジャーが使えなくなっているようだ。
 そしてゲートも使えないらしい。

 となると、私の現状をそのイザンカ王国とやらに伝えられないってことか?


「とにかく、この町にも冒険者ギルドはあるのでしょう? 冒険者ギルドどうしも風のメッセンジャーは保有しています。そちらからイザンカ王国へ連絡を入れるというのはどうでしょう?」


「あの、エル様こちらの方々は?」

 マリーのその言葉にアルフェと呼ばれた秘書のような女性はメガネのずれを直しながらエルさんに聞く。

「ああ、こっちの少年に助けられたのよ。イザンカ王国の第三王子様なんだって。ちょっと記憶喪失になっているみたいだけど、悪い子じゃないわ。だからうちに連れてきてイザンカ支店に連絡しようと思ったのだけどね」

「そうですか、エル様がお世話になりました。お客人、残念ながら王国所有の風のメッセンジャーも冒険者ギルドの風のメッセンジャーも同様の状況です」

 アルフェさんはそう言って、ちゃきっとまたメガネのずれを直す。


「で、魔道専門のあなたから見て何が原因?」

「……エル様には風のメッセンジャーの精霊を見ていただきたいのです」

 エルさんの質問にアルフェさんはそう言ってエルさんを見返す。
 エルさんはその視線を受け取ってうなずく。


「わかったわ。みんな悪いけど客間でちょっと休んでいてね。見てくるから」


 そう言ってエルさんはアルフェさんについて行って部屋を出て行ってしまったのだった。


 * * *


「お客人、エル様がご厄介になったそうでして、誠にありがとうございました。どうぞごゆるりとなさってください」


 そう言って別の部屋に案内された私たちは応接間でお茶やお菓子を大量に出されて歓迎をされた。

 
「私はメイド長のデルザと申します。エル様はしばし時間がかかりますのでこちらでお待ちください。何かあれば何なりとわたくしにお申し付けください」

 そう言って優雅にお辞儀をして部屋の片隅で他のメイドさんたちと一緒にたたずんでいる。


「……できますね、彼女」

「えーと、マリーが言ってるのはメイドさんとしての?」

「いえ、相当の手練れです。正直私も気が抜けないほどの……」

 そう言ってマリーは彼女を睨む。
 でもそんなマリーの視線なぞ気にもしないように笑顔を張り付かせているデルザさん。

 うーん、さっきからカルミナさんも緊張してるみたいだし、ここってどんなところよ?


「カルミナさん、このお菓子食べないの? おいしいよ??」

「ア、アルムは分からないニャ? コツらみんなただ者じゃないニャ。相当な連中ニャ」

「くーっくっくっくっく、まいりましたねぇ、この私も監視されていますね? しかも常に魔力感知されて下手な動きをすれば一斉に動かれそうですね」


 アビスまでも!?

 ポリポリとおいしいクッキーをかじっているのは私だけ。
 他のみんなは表面に出さないように警戒を続けている。


 バンッ!


「だめだぁ~、精霊がいなくなっちゃってる。これじゃ風のメッセンジャーは使い物にならないわよ!」

 そんな緊張の中、エルさんが戻ってきた。
 後ろにはアルフェさんもいる。


「エルさん、状況を教えてよ」

「そうね、君たちをここに連れてきてイザンカ王国に戻してあげるって約束、どうやらできなさそうよ。ごめんね、わかっていることを説明するわ」

 そう言ってエルさんは空いているソファーに座ってお茶を出してもらう。
 それをくいっと一気に飲み干してから話し始めるのだった。


 * * * * *


 事の始まりは数週間前、エルさんの親たちが変な宗教に入教するとか言い出したことに始まる。

 
 もともとその宗教に関しては少なからずいろいろとあったらしいが、抜本的なところを解決しないと、どうにもならないと言う事で、中からその宗教を修正すると言って出て行ったらしい。

 そこに正義の味方であるエルさんも参加すると言ったら、子供の手に負えることではないとか言われて置き去りにされたそうな。
 そんな面白そうなこと……もとい、重要なことに参加させてもらえないってことに不満を持ったエルさんは、だったら親たちをそんな宗教に入るのをやめさせようとした。
 そして母親を追ってゲートをくぐり、全然違う場所に出てしまったという事だった。

 で、当然ゲートを使ったのでそのゲートでここベイベイの屋敷に戻って再度母親を追おうとしたら、行った先のティナの国でそのゲートが使えなくなってしまった。
 仕方なしにその時は風のメッセンジャーを使わずベイベイに戻ろうとしたわけだけど、問題はその時からすでに起こっていたという事だ。


「風のメッセンジャーはエルフのネットワークの原理を使って、風の精霊による言葉と映像の伝達する手段だったの。でも今その風のメッセンジャーに封じ込まれているはずの風の精霊が魔晶石の中にいない、もぬけの殻になっていたのよ」

「風の精霊……」

 風のメッセンジャーは魔法学園ボヘーミャで生産されていて、固定した間でだけ連絡が取れるアイテムだ。
 しかしのその原理については知らなかった。
 メッセンジャーに精霊を使っているとは。


「風の精霊自体は外を見ればちゃんといるから、魔晶石から解放された感じね。私はエルフのネットワークの使い方を教わっていないから、それは使えないわ。エルフの里のお爺ちゃんかお婆ちゃんに連絡取れれば何とかはなるんだけど……」

 そう言ってエルさんはアルフェさんを見る。

 アルフェさんはエルさんの視線を受けてから話し始める。


「ゲートの方は、異空間への入り口が遮断された状態です。ここベイベイの本店からは世界中の各支店へゲートがつながっていて、秘密裏に物資の運搬や重要人物の往来をしていました。しかし、ここ本店の全てのゲートが使えなくなっているということは……」

「世界中の他のゲートも使えない可能性があるわね……」

 
 そう言ってエルさんは腕を組んでうなる。
 しかしそうなると、当然私たちもイザンカ王国へ戻ることもどうすることもできなくなってしまうことになる。


「その、ほかに何か連絡する手段はないのでしょうか?」

「ここ千年以上これほど便利なアイテムの出現のおかげで伝書鳩とかもすたれてそこまで遠くへ連絡方法はないわ。手紙なども通常の移動で連絡をするか直接帰るかしか手立てがないわね……」

 マリーのその質問にお手上げと言わんばかりに両手を上げているエルさん。
 それに歯ぎしりするマリー。

「通常手段でイザンカに戻るとしても、北回りも南回りも最低一年以上かかってしまう……それではアルム様が!」

「落ち着いて。とにかくアルム君の身柄はこのシーナ商会が保障するわ。あなたたちはしばらくここに滞在してもらうけど、この現象の調査をして早期に回復をしないと世界はさらに混乱することになるわ。それはなんとしても避けないと大きな問題になってしまう」

 エルさんは立ち上がりそう言いながら窓の外を見る。


「まずは情報収集ね。ベーダの帰還を待ちましょう。あとはそれからね」

 エルさんはそう言ってこちらに振り返り、にっこりと笑う。


「大丈夫、シーナ商会はあなたたちを歓迎するわ! 泥船に乗ったつもりでドーンと待ってなさい!!」

「いや、泥船は嫌なんですけど……」


 エルさんがこのシーナ商会の偉い人の娘でシーナ商会の重要な秘密もある程度わかった。

 知識の中ではシーナ商会は全世界の主要都市に店を構えるかなり特殊な商会で、各国の王族貴族も手出しができないほどというのは知っていた。

 しかし、この商会がここまでの力を持っていて、シェルさんの母親は「女神の伴侶」とまで言われているかなり特別なエルフ。 
 記憶をなくした私にとってそのイザンカ王国がどうのこうのと言うのは実際にあまり実感がないので焦る気持ちは薄い。
   
 しかし今は動きようがないから仕方ない。


「それではエルさん、しばらくご厄介になります」

「ええ、アルム君!」


 エルさんはそう言って遊び相手でも見つけたかのようににっこりと笑うのだった。

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