アルム~アラ40女子がいきなり異世界の第三王子に転生して無意識に無双してプチハーレム状態なんだけど、私はBL要素が見たいの!!~

さいとう みさき

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第五章:魔法学園

5-1:国境の砦

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 馬車に揺られること二週間ちょっとが過ぎた。


 流石にこの辺い来ると周りの風景にも変化が現れる。
 遠くのむこうには山が見え、周りの畑も小麦以外の農作物が増えてくる。

 そしてところどころ林があったり、丘があったり、岩場があったりもする。


「だいぶ風景も変わってきたね」

「そうだね、もうじきガレント王国の国境になるだろうしね。そのうち砦も見えてくるんじゃないだろうか?」

「砦??」

 タフトは魔導書から顔をあげて外の様子を見る。

「謎のエルフが出た砦だよ。うちの『鋼鉄の鎧騎士』を一撃で再起不能にしたね……」

 タフトのその言葉に一同に緊張が走る。
 そう言えば南のと言っていたけど、「鋼鉄の鎧騎士」がいる場所なんて限られている。
 そうか、国境の砦でその事件は起こったのか……

「その後はそのエルフは出現してないってことらしいわね?」

「今のところはですね。しかし一体何者なんでしょうか? 生身であの『鋼鉄の鎧騎士』と倒すだなんて…… はっ!? まさか覚醒者ですか!!」

「それはないわね。覚醒者であるならエルフではないはずよ。少なくとも私みたいにハーフでない限り…… 純潔のエルフにあの血が混ざるはずはないからね」

 エルさんはそう言って外を見ながら黙り込む。
 いったい何なのだろう?


「タフト、その、覚醒者って何?」

「ああ、アルムは知らないのか? 我がガレント王国やティナの国は女神様の血を引いているんだ。そんな我々にはまれに『覚醒者』と呼ばれる者が出現し、女神様の力を一部引き継いだりしているのがいるんだ。『覚醒者』はエル姉様がたまに見せる金色の瞳に体をうっすらと輝かし、破格の魔力量と力を持っている。その力はまさしく『鋼鉄の鎧騎士』ですら凌駕するほどにね」

 「鋼鉄の鎧騎士」を凌駕するだって!?
 それ、完全に人じゃないじゃん!

 って、エルさんもその覚醒者??

 私は思わずエルさんを見る。
 するとエルさんは少しほほを赤くしてばつの悪そうな顔をする。

「ま、まぁ、お母さんがね……」

「ちょっと待ってください、エルさんのお母さんっていったい何者なんですか?」

「ううぅ、あまり他の人には知られたくないんだけど…… うちのお母さんって、女神なのよ」



「はぁッ!?」



 思わず声が出てしまった。
 いや、同性の夫婦って言うのは聞いてたけど、母親の一人が女神様!?

「そ、それって一体……」

 私が恐る恐る聞くとエルさんでなくタフトが誇らしげに言い始める。

「エル姉様は、我らガレント王国の親戚でもあるんだよ。女神様の血が混ざっているという事で、特に始祖に近いからね。本気のエル姉様はそれはそれはすごい力を持っているんだよ!」

「タフト、やめないさいって。私は特別扱いされるのが嫌なの! そりゃぁ、お母さんのおかげで『同調』もなにもできるようにはなっているけど、全部私が先生のところで訓練して手に入れた力よ! 親の、七光りだけじゃないんだからね……」

 そう言ってエルさんは口をとがらせる。
 確かに半神半エルフって言う事は神に近い存在となる。
 エルさんの時たま見せるあの力はそう言う理由だったんだ……

「そうでしたか。ではエル殿はタルメシアナ様と同じく」

「そうよ、タルメシアナ姉さんは私の腹違いの姉。半神半竜のドラゴンニュートよ」

 マリーは目を輝かせてエルさんに聞くと、エルさんはいやいや応える。
 しかし、ここで私はあることに気が付く。

 同性同士で子供は出来ない。
 子供を作るにはおしべとめしべがこんにちわして、あーいう事やこうーいう事をしないと子供ができない。
 コウノトリやキャベツから子供が生まれるわけではないのだから。


「って、そうなると…… 女神様ってもしかしてオカマッ!?」

「ちっがーうっ! お母さんはちゃんとした女性よ、女性! ただちょっとついてるだけで!!」

「ついてる!? 何が!?」

「あ、そぉ、それは///////」

 
 思わずそう言ってしまった私にエルさんは赤い顔して口ごもる。
 って、そうすると女神様って……両性具有!?

 私は完全に頭に血が上って湯煙をあげるのだった。



 * * *


「ま、まぁ、私の事はこれくらいにして、問題はそのエルフよ」

「は、はぁ///////」


 思わずエルさんを見て顔が熱くなる。
 もしかして実はエルさんもついているんじゃ///////


「アルム君、今変なこと考えてたでしょ? 私は完全な女体だからね!!」

「い、いえ、別にそんなことはほんの少ししか考ぇ…… ません」

 
 思わずエルさんの胸をチラ見してから視線を外す。
 エルさんってもしかして男性要素があるから胸も生前の私より小さいのでは?

「アルム君、さらに失礼なこと考えていない??」

「い、いえぇ……」

 額にびっしりと脂汗を書きながら目を合わさないように横を向く。
 

 ビキッ!


「今絶対に私の胸が男より薄いとか、男性要素が多いからとか思ったでしょう! 違うからね! エルフの要因のせいなんだからね!! エルフだって異種族と一緒になって愛されまくればママみたいに胸大きくなるんだからね!! 私だってそのうちいい人見つかれば大きくなるんだもんッ!!」

 こめかみに怒マークを張り付けて、涙目でそう訴えるエルさん。
 これ、私にどうしろと?

 しかしわめき散らすエルさんをよそに外の様子を見ていたタフトが声をあげる。

「エル姉様、砦が見えてきましたよ!」

 その声に涙目ながらもエルさんは外の様子を見る。
 この辺は丘や林も多く、くぼんだ大地の近くに城壁が見えてきた。

 そこにはそこそこの規模の砦があった。


「あれがガレント王国の南の砦……」



 私はその古そうな砦を見るのだった。


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