死を視る俺と異能力者達

青薔薇

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獣という名の便利屋

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俺は今、とある建物の前に立っていた。
極東政府直属警視庁第666特殊課対能力者通称BEAST活動拠点。
それがこの建物の名前だ。
何故俺がここにいるのかというと、この建物の所有権を持つ極東政府(中略)BEASTのメンバーだからである。
こんな堅苦しい名前なのだから、きっと怖いお兄さんや筋骨隆々のおじさんだらけなのだろう、そう思う人がいるかもしれないがそれが全然で、先程の萌木先輩を含む女の子三人と俺、そして所長の女性一人の合計五人で構成されている。
そしてよく見てみると建物の看板には《び~すと》と書かれており、挙げ句の果てにはよくわからないマスコットキャラクターまで描かれている始末だ。
はっきり言うと、俺はこの建物に入るのがいつも恥ずかしくてしょうがない。
俺は人通りが少なくなるのを見計らって、一気に中に入った。



ガチャッ
「どーも」
俺が活動拠点の中にある事務所の扉を開けるとすでに全員が揃って…て、あれ?何で俺よりあとに出た萌木先輩が平然と座ってるんだ?
色々と謎な人である。
「紗那遅いぞー」
事務椅子に逆向きに腰を掛けて俺に不満を投げ掛けてきたこの人はこのBEASTの所長を務める冴華さんだ。
いい大人なのになんて行儀の悪いんだ。これでもあの橘先生と旧友らしい。
「せ、先輩は何か用事があったんですよね?だから遅れただけなんですよね?」
続いて俺のフォローをしてくれたのは、このBEASTに所属している永久社学園中等部の三年生の真白ちゃん。普段は物静かで引っ込み思案な性格だがBEASTのメンバー、特に俺にはよく話しかけてくれる。
「あ、あはは…」
その隣の席で苦笑いをしているのがBEASTに所属している永久社学園高等部の二年生の雅。まだBEASTに所属したばかりでこの空気に慣れていないらしい。
「どうせ道草でも食っていたのでしょう」
そして地味に毒を吐いたのはやはりあの人、例の如く萌木先輩だ。この人もBEASTに所属しているのだ。あと忘れていたが学校では猫を被っている。
と、まぁこの四人と俺を合わした五人で活動している訳だ。
「てかもういいでしょう俺の遅れた理由なんて…」
俺が話題を打ち切ると冴華さんが事務椅子から立ちホワイトボードの前に立った。
「萌木、今日の依頼は何がある?」
すると切り替えの早い萌木先輩は束ねられたコピー用紙に目をやる。
「三丁目の田中さんの猫の捜索、二丁目の佐々木商店のお店の手伝い、それと…」
「わかった、もういい…」
冴華さんそう言うと頭をワシャワシャと掻く。
「あぁ~、なんで警視庁って付いてしかも対能力者部隊って言ってのんにこんな便利屋みたいな仕事ばかりまわされるんだよぉ~」
ガックリ項垂れている。
でもその気持ちはわかるかもしれない。
「項垂れていても何も始まりません、成果を上げればそのうちちゃんとした仕事が回されますよ」
雅が冴華さんを説得する。
雅は冴華さんよりよっぽど大人だということを、こういう所でよく思い知らされる。



『お疲れ様でしたー』
俺達はあの後、田中さん家の猫の捜索をした。
思っていたよりも早く見つかったため、今回の捜索は一日で終わった。
ついでに言うと、その田中さんにお礼の印としてお菓子をもらったため鞄の中が一杯だ。
そして今は夕日に染まる街を一人歩いてる。
綺麗な街並みだ。人通りも昼に比べたら少なくなっている。
テロリン♪
「何だこの音?って、俺のケータイのメール受信音か」
そう呟くと俺はケータイのメールを立ち上げる。

差出人:非表示

件名:《特務》のお知らせ

内容:本日八時零々分より指定の場所にて┃┃


さて、今日は少し、長い夜になりそうだ。
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