死を視る俺と異能力者達

青薔薇

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世界七不思議の一つ、やはり家は広い方がいいですか?

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俺は昔から謎に思っていることがある。
それは、何故金持ちやお偉いさんは自分の家を広くしたがるのだうろか。掃除するのも移動するのも大変だろうに。
これを俺は世界の七不思議の一つと思っている。
何故こんなことを考えたというと、現在その大きい家、という所にいるからだ。
というのもこの間の一件の後、極東政府の【組織】から連絡があった。
その内容はというとあの男が何故俺を狙ったのか、ということだ。
どうやら俺の行っている【特務】をたまたま目撃されいずれ自分もこうなると思って襲ったらしい。
今日はその事について【組織】の、まさしくお偉いさんに呼ばれた、という訳だ。
「待たせたね、紗那君」
この人は内閣の防衛省トップ、風間かざま 技凌ぎりょうさん。
「お久しぶりです風間さん」
風間さんは極東政府の中でも信頼が出来る数少ない人だ。
「で、用件とはいったい何ですか?」
「まぁ座りなさい」
俺が促すと風間さんの顔が真剣なものになった。防衛省トップの顔だ。
「先日の君と更科君が夜道で襲われた件、犯行理由は聞いたね?」
「はい、機密回線の方で」
「犯人は単独での行動だったらしい。上層部ではバックには何も付いていない、そういう結論に至った」
「そうですか…」
はっきり言ってそれが一番気になっていたことだ。
というのも俺が襲われる分にはまだいいが、真白ちゃんは顔を見られているのでもし集団での犯行だった場合、俺を誘い出すため人質として今度は真白ちゃんだけが狙われる、ということもあるわけだ。それだけは絶対に避けなければやらない。
「しかしこの件でもう一つ決定があった」
「もう一つ、ですか?」
「あぁ、それは君の《特務》の際の変装だ。今回の件は素顔が知られていたということで狙われた。これからも多分君の生活にも支障をきたすことになるだろう、ということでこの決定が下された」
すると風間さんはアタッシュケースを持ってきた。
「開けてみたまえ」
俺はコクリと頷くとアタッシュケースを開けた。
「これが、ですか?」
「あぁ」
そこには舞踏会で使いそうなマスクのような黒いバイザーと漆黒マント、そして白銀の長いウィッグ(仮)がキレイに入っていた。
「えぇ…と」
「デザインは私だ」
いやあんたかよ。口に出そうなのをグッとこらえた。
「これを着て《特務》に挑めと」
「あぁ、そういうことだ」
動きづらそうだ…慣れたら気にならなさそうなのだがその慣れるまでが大変そうだ。

結局断れずに譲り受けてしまった俺は、マイエンジェルのいる家へと帰ることにした。



「ただいま~」
俺がそう言うも、家の中はシンと静まり返っている。
「あれ?月子~?」
出掛けたのかな?
ガチャッ
「月子?」
洗面所の扉を開けるとそこに月子はいた。
しかし返事をしないので覗き込んでみると布に顔を埋めていた。あれは俺の服か?
「おーい月子~」
返事がない。
「月子~」
「兄さんの匂い…(ボソッ)」
なにか聞こえたような…気のせいか?
「つーきーこー」
背中をつつきながら言うと月子がこっちに気づいた。
「に、ににに兄さんっ!?い、いつからそこにっ!?」
動揺しすぎだろ…。
「よっ、ただいま。俺はさっきからいたぞ?」
すると月子は少し固まりまた口を開いた。
「・・・さっきの見てた?」
「さっきのって…あぁ、俺の服に顔埋めてたやつ?」
「うえあぁぁぁっ!!」
「ど、どうした?俺の服が臭くないかってのを調べてただけだろ?俺って加齢臭とかすんのかな…」
それだったら結構マジでへこむぞ…。
「あぁぁぁ…ってえ?調べる?」
「なんで疑問形なんだよ…もしかして違ったか?」
すると月子の顔がパアァっと明るくなった。
「そ、そうよ?ただ調べてただけで別に好き好んで匂いを嗅いでたわけじゃないからね?」
「わかってるって…」
さっきまで気を張っていたせいか、このやりとりで一気に肩の力が抜けた。
グ~
「あ、すまん」
俺のお腹が鳴ってしまった…。
結構恥ずかしいものだ。
「じゃあご飯にする?」
「あぁ」
さて、今日の昼ご飯はなにかな?なんて考えていると、やはり平和だな、と思う俺だった。




…………………………………………………………………………………………………

あとがき(仮)

《死を視る俺と異能力者達》を分割して読んでいただいているありがたい方はお久しぶりです。一気にまとめて読んでいただいたありがたい方は初めまして。
図書館などでリア王が置いてあるとリア充に見えてしまう青薔薇というものです。

ではまず謝辞から、「文章が短いのに更新が遅くねぇか?」と思った方、ごめんなさい。
作品紹介の方に書かせていただいた諸事情により遅くなってしまいました。

これからも更新が長引くことがあるとは思いますが、何卒よろしくお願い致します。
そして最後に、この作品を読んでいただいた方々、お気に入り登録していただいた方々、に最大最高の感謝を申し上げたいと思っております。
作品に対する感想もお待ちしております。
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