死を視る俺と異能力者達

青薔薇

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兄の気持ち妹知らず

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俺にはわからないことがあった。
それは娘のいる父親の気持ちだ。
というのも、よくドラマなどで見る、娘が彼氏を連れてきて婚約の許可を得るときに父親が堂々と断るというシーン。俺はあれを見て、娘が選んだ相手なのだから父親が口出しするようなことではないんじゃないのか?と思ったことが何回もあった。
ちなみに俺はこれを世界七不思議の一つと思っていた ● ● ● ● ● 
何故俺がこんな話をしたのかと言うと┃┃



これは遡ること数時間前、今日は《特務》の連絡がないし、おまけに仕事まで休みかぁなんて思いながら、俺は一人で家へと向かっていた。
が、そのとき俺は見てしまったのだ。
俺のマイエンジェル月子が見知らぬ男子と、あろうことか笑顔で喋りながら歩いているところを。
それは焦ったさ。それは疑ったさ。
異能力の使いすぎで目か悪くなったのではないかと何回も何回も目を擦った。
夢なのではないかと何回も何回も頬をつねった。
しかし目は悪いどこかすごぶるよく、決して夢として覚めることもなく、俺は冷たい現実を突き付けられたのだ。
俺は月子とその野郎が別れた後月子との間を一気に詰めた。ちなみにこれは縮地を応用したものだ。
「月子…」
俺が月子の肩に手を置くと月子の背中がビクンッと弓の様に張った。
「に、兄さん?」
「今の男は誰だ?」
「…え?なな、何のこと?」
月子は誤魔化そうとするが、目が泳ぎすぎている。目がバタフライをしていると言ってもいいだろう。
「俺はしっかりとこの双眼で捉えていたぞ、あの男と月子が楽しそうに喋っているのを」
「うぐっ!?」
「さぁ言うのだ、いったいあいつはどこの馬の骨だ!豚骨スープならぬ馬骨スープにしてやるっ!!」
「に、兄さんには関係無いからほ、ほっといてよ!」
そう言うと月子は家の中へ足早に入っていった。
ガーンガーンガーン…
「かんけい、なひ…?」
俺その場に膝から崩れ落ちてしまった。

と、まぁこんなことがあったのだ。
俺はあまりにも落ち込み、家に帰った後着替えたらすぐに家を出て今、こうして近場のカフェで項垂れているのだ。



ちょっと、言い過ぎたかな…。
さっき兄さんに追求されつい出てしまったトゲのある言葉。

に、兄さんには関係無いからほ、ほっといてよ!

「はぁ…こんなんじゃダメなのになぁ…」
あの言葉を放った後の兄さんの顔が頭に浮かぶたびに罪悪感に見舞われる。
「関係無くなんかないのに…はぁ」
また一つ溜め息が虚空に消える。
「兄さん…」
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