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恭順の意
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「……来たか。あなたが城塞群の大将という認識で良いんですね?」
「えぇ。それで大丈夫です」
将は一人の男とともに、魔王連合軍の陣を訪れた。
もう一人の男の顔は知っている。
「よぉ佐切! 久しぶりだな!」
「……柴田か……」
確か、柴田のスキルは『武器召喚』。
好きな時、好きな武器を召喚することが出来る。
条件は、手の中でだけと言うこと。
その手から生み出された武器は決して消える事もなく、欠けることもない。
しかし使いようによっては暗殺に向いているスキルで、ゼロ距離で召喚すれば、そのまま相手の内部に武器が生成される。
生成される武器が槍や薙刀、長物であるならば、体を貫通し死は免れないだろう。
柴田勝彦は非常にずる賢い性格をしており、このスキルの価値にいち早く気付いたであろう。
「……俺には再会を懐かしむつもりはない」
「そうか。まぁ、仕方無いよな。俺とお前、あまり接点はなかったとはいえ、いい印象は持たれて無いだろうし……まぁ、俺はお前たちに降伏することに代わりはない。仲直りの握手と行こうや」
柴田は右手を差し出す。
狙いは分かっている。
俺がスキルを覚えているかどうかも知らずに、見え見えの罠を使う。
……ザルノールは何故この局面でこの男をここに配置した?
本当なら対軍スキルを持つものを配置するのが最善だと思うが……。
俺の……魔王連合軍の主要人物の暗殺を優先したのか?
だとすれば隠密系のスキル持ちも同行させるべきだ。
俺が降伏を勧めるかどうかなんて分かるはずが無いのに……。
いや、まさかこの状況になることをわかっていた?
まさかな……。
「どうした?」
「……いや、何でもない」
そこで、ふと我に返り柴田の後ろにいる将に目をやる。
「そう言えば、恭順の意の示し方、ご覧になられましたか?」
「っ……」
「ん? なんだ? どうすれば良いんだ? 俺が読んだ文にはそんな物……」
柴田はずっとこちらを見ている。
すると、ザルノールの将は柴田に気付かれないように剣を抜いた。
「……すまん!」
将は思い切り、柴田の背を貫く。
「な……かはっ……て……めぇ……」
剣は肺を貫いており、噴き出した血が近くにいた俺の顔にかかる。
血を拭い、力無く崩れ落ちる柴田を後にし、将の元へ近寄る。
「よくぞご決断下さった。約束通り、ザルノールの財宝一割と、新体制下での確固たる地位をお約束します」
「……城塞群指揮官、オルテガ。これより魔王様へお味方します」
グンドは跪き、魔王への忠誠を誓った。
「ならば、この男の息の根を止めてください」
「……は」
オルテガは、確実に心臓を貫いた。
その様子を遠く見ていたカルラの視線は、俺ではなく、その側にいるキサラへと向けられていた。
キサラは、それに気づいてかその場を去った。
「……」
「カルラさん?」
「いや、あんたは気にしないでいいよ。サナン」
「はぁ……」
何処か、不穏な空気を抱えながら、事態は進展していくのであった。
「えぇ。それで大丈夫です」
将は一人の男とともに、魔王連合軍の陣を訪れた。
もう一人の男の顔は知っている。
「よぉ佐切! 久しぶりだな!」
「……柴田か……」
確か、柴田のスキルは『武器召喚』。
好きな時、好きな武器を召喚することが出来る。
条件は、手の中でだけと言うこと。
その手から生み出された武器は決して消える事もなく、欠けることもない。
しかし使いようによっては暗殺に向いているスキルで、ゼロ距離で召喚すれば、そのまま相手の内部に武器が生成される。
生成される武器が槍や薙刀、長物であるならば、体を貫通し死は免れないだろう。
柴田勝彦は非常にずる賢い性格をしており、このスキルの価値にいち早く気付いたであろう。
「……俺には再会を懐かしむつもりはない」
「そうか。まぁ、仕方無いよな。俺とお前、あまり接点はなかったとはいえ、いい印象は持たれて無いだろうし……まぁ、俺はお前たちに降伏することに代わりはない。仲直りの握手と行こうや」
柴田は右手を差し出す。
狙いは分かっている。
俺がスキルを覚えているかどうかも知らずに、見え見えの罠を使う。
……ザルノールは何故この局面でこの男をここに配置した?
本当なら対軍スキルを持つものを配置するのが最善だと思うが……。
俺の……魔王連合軍の主要人物の暗殺を優先したのか?
だとすれば隠密系のスキル持ちも同行させるべきだ。
俺が降伏を勧めるかどうかなんて分かるはずが無いのに……。
いや、まさかこの状況になることをわかっていた?
まさかな……。
「どうした?」
「……いや、何でもない」
そこで、ふと我に返り柴田の後ろにいる将に目をやる。
「そう言えば、恭順の意の示し方、ご覧になられましたか?」
「っ……」
「ん? なんだ? どうすれば良いんだ? 俺が読んだ文にはそんな物……」
柴田はずっとこちらを見ている。
すると、ザルノールの将は柴田に気付かれないように剣を抜いた。
「……すまん!」
将は思い切り、柴田の背を貫く。
「な……かはっ……て……めぇ……」
剣は肺を貫いており、噴き出した血が近くにいた俺の顔にかかる。
血を拭い、力無く崩れ落ちる柴田を後にし、将の元へ近寄る。
「よくぞご決断下さった。約束通り、ザルノールの財宝一割と、新体制下での確固たる地位をお約束します」
「……城塞群指揮官、オルテガ。これより魔王様へお味方します」
グンドは跪き、魔王への忠誠を誓った。
「ならば、この男の息の根を止めてください」
「……は」
オルテガは、確実に心臓を貫いた。
その様子を遠く見ていたカルラの視線は、俺ではなく、その側にいるキサラへと向けられていた。
キサラは、それに気づいてかその場を去った。
「……」
「カルラさん?」
「いや、あんたは気にしないでいいよ。サナン」
「はぁ……」
何処か、不穏な空気を抱えながら、事態は進展していくのであった。
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