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ジョバンニの目的
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「……動いたな」
スキル『俯瞰』によって、敵の動きは丸見えである。
ジョバンニ達は兵を再編成し、再度攻めてくる動きを見せていた。
単純な戦力差で言えばこちらは完全に劣っているが、ジョバンニ達にはそれは気付かれていない筈。
敵は慎重に動かざるを得ないが、こちらがスキル『俯瞰』で見ていることは重々承知の上で動いているのだろう。
状況を見たキサラが口を開く。
「この盆地に向かって来ていますね……」
「……この盆地に至る道は隘路となっている。そして、魔王軍の主力が籠もる要塞に行くにはこの盆地を通る一本道しかない……強行突破するつもりか?」
サナンの推測の通り、数に任せて無理やり進めばそれも可能かもしれない。
向こうは数的不利があると錯覚している。
そんな事をせずとも正攻法でやればこちらは簡単に敗れてしまう。
「じゃ、例の通りに行こうか」
現地につき、敵の動きを直接この目にして、少し驚いた。
「……あれは……亀甲陣……テストゥドか? こちらの攻撃に対応する為に偶然にもそうなったのか……」
ジョバンニ達第六騎士団は全隊を盾で覆いながら前進する。
それはさながらローマ帝国が用いた陣形、テストゥドに似ていた。
第六騎士団は前後左右、そして上も盾で覆いながら前進していた。
それらの部隊が二十以上あり、それぞれ列をなして前進していた。
スキルの『俯瞰』だけでは分からなかったのだ。
「五千の敵だから……一つの部隊は二百五十程でしょうか」
即座に数えたフィアナがそう言う。
この世界でも元の世界の過去でもそうだが、算術という物は一般庶民にまで知れ渡るものでは無い。
やはりフィアナは才能がある。
「あぁ。流石だな。それにしてもよく考えついたな……あれは俺のいた世界でローマ帝国……まぁ、超強かった帝国がよく使っていた陣形だ」
「ほぉ……成る程ね」
その会話を聞いていたサナンが敵陣を見つつ口を開く。
「あれなら飛び道具は無意味だな……進軍速度は遅いが、これで突破するつもりか?」
「……いや、ジョバンニさんがそんな安直な考えを示すとは考えにくい。どちらにせよ、これで仕掛け矢は意味がなくなった」
今回の戦でも勿論仕掛け矢を大量に仕掛けていた。
しかし、あの陣形は飛び道具にめっぽう強い。
つまりは下準備は無駄となったのだ。
こちらの予定が狂い、少し不安になったのか、キサラが聞いてくる。
「どうしますか?」
「……取り敢えずいつでも仕掛け矢を放てるように準備はしておいて下さい……あの陣形、気になるな……」
ジョバンニは恐らく何かを狙っている。
あの陣形の弱点は白兵戦に弱いということ。
あまりにも密集した隊形は乱戦には適していないのだ。
しかし、それを理解していないとも考えにくい。
「……数的不利に立たされた状態で一体何を狙ってる……反対の立場で……戦略というものが発達していないこの世界で考えろ……」
そして、とある考えに至る。
この状況、それしか考えつかない。
「……はは」
思わず、笑みがこぼれてしまう。
その様子を見たフィアナが不思議そうに顔をのぞく。
「佐切様?」
「してやられたな……」
全てを理解し、皆に状況を告げる。
「……皆、この第二戦は負けだ。俺の力不足だ。すまない」
そして、頭を深く下げた。
スキル『俯瞰』によって、敵の動きは丸見えである。
ジョバンニ達は兵を再編成し、再度攻めてくる動きを見せていた。
単純な戦力差で言えばこちらは完全に劣っているが、ジョバンニ達にはそれは気付かれていない筈。
敵は慎重に動かざるを得ないが、こちらがスキル『俯瞰』で見ていることは重々承知の上で動いているのだろう。
状況を見たキサラが口を開く。
「この盆地に向かって来ていますね……」
「……この盆地に至る道は隘路となっている。そして、魔王軍の主力が籠もる要塞に行くにはこの盆地を通る一本道しかない……強行突破するつもりか?」
サナンの推測の通り、数に任せて無理やり進めばそれも可能かもしれない。
向こうは数的不利があると錯覚している。
そんな事をせずとも正攻法でやればこちらは簡単に敗れてしまう。
「じゃ、例の通りに行こうか」
現地につき、敵の動きを直接この目にして、少し驚いた。
「……あれは……亀甲陣……テストゥドか? こちらの攻撃に対応する為に偶然にもそうなったのか……」
ジョバンニ達第六騎士団は全隊を盾で覆いながら前進する。
それはさながらローマ帝国が用いた陣形、テストゥドに似ていた。
第六騎士団は前後左右、そして上も盾で覆いながら前進していた。
それらの部隊が二十以上あり、それぞれ列をなして前進していた。
スキルの『俯瞰』だけでは分からなかったのだ。
「五千の敵だから……一つの部隊は二百五十程でしょうか」
即座に数えたフィアナがそう言う。
この世界でも元の世界の過去でもそうだが、算術という物は一般庶民にまで知れ渡るものでは無い。
やはりフィアナは才能がある。
「あぁ。流石だな。それにしてもよく考えついたな……あれは俺のいた世界でローマ帝国……まぁ、超強かった帝国がよく使っていた陣形だ」
「ほぉ……成る程ね」
その会話を聞いていたサナンが敵陣を見つつ口を開く。
「あれなら飛び道具は無意味だな……進軍速度は遅いが、これで突破するつもりか?」
「……いや、ジョバンニさんがそんな安直な考えを示すとは考えにくい。どちらにせよ、これで仕掛け矢は意味がなくなった」
今回の戦でも勿論仕掛け矢を大量に仕掛けていた。
しかし、あの陣形は飛び道具にめっぽう強い。
つまりは下準備は無駄となったのだ。
こちらの予定が狂い、少し不安になったのか、キサラが聞いてくる。
「どうしますか?」
「……取り敢えずいつでも仕掛け矢を放てるように準備はしておいて下さい……あの陣形、気になるな……」
ジョバンニは恐らく何かを狙っている。
あの陣形の弱点は白兵戦に弱いということ。
あまりにも密集した隊形は乱戦には適していないのだ。
しかし、それを理解していないとも考えにくい。
「……数的不利に立たされた状態で一体何を狙ってる……反対の立場で……戦略というものが発達していないこの世界で考えろ……」
そして、とある考えに至る。
この状況、それしか考えつかない。
「……はは」
思わず、笑みがこぼれてしまう。
その様子を見たフィアナが不思議そうに顔をのぞく。
「佐切様?」
「してやられたな……」
全てを理解し、皆に状況を告げる。
「……皆、この第二戦は負けだ。俺の力不足だ。すまない」
そして、頭を深く下げた。
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