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互いの狙い
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「ど、どういう事ですか? まだ始まってもいないのに負けだなんて……」
これには流石のフィアナも驚きを隠せていなかった。
本当ならばフィアナに気づかせてやるために自分で考えさせたいが時間がない。
一から説明させてもらうとしよう。
「まず、俺達は仕掛け矢や奇襲等で敵の勢いを削ぎ、少しでも時間を稼ぎ、敵の士気を落とす計画だった。しかし、それはジョバンニの策によって未然に防がれた訳だ」
「相手は気付いてそうしたのか?」
サナンの言葉に対し、首を横に振る。
「いいや、多分気づいてはいないだろう。まぁ、初戦で大量に輪を浴びせて来た事から、それに対処するためのあの陣形なのだろう。問題は、ジョバンニは俺達を倒すことでは無く、本来の任務を完遂することに重きを置いたんだ」
「それってつまり……」
フィアナがジョバンニの狙いに気が付く。
「そうだ。魔王軍が籠もるグンローグ要塞への到達。それが本来の任務のはずだ。それさえ果たせればジョバンニ達の目的は完遂される。つまり、サナンの言う通り、あれで強行突破するつもりだ」
「で、でもよ! 勇者を失った時点でスキル持ちは居ない筈だろ!? そんな状態で到達しても……」
「いいや、スキル持ちはいる」
慌てふためくサナンを落ち着かせ、話を続ける。
「勇者真田護には二人の仲間がいた。それぞれスキル持ちだ。『斬撃』のスキルを持つゴルドーと、『ファイアー』のスキルを持つソフィアだ。この二人が真田護と行動を共にしている事はカルラの情報で裏が取れている」
そう、スキル持ち自体はいるのだ。
然程優秀なスキルではないにせよ、攻撃スキルを持った者が。
「恐らくジョバンニの与えられた命令は、勇者に与えられた任務、『シールド』で攻撃スキルを持つ者を護衛し、グンローグ要塞へ向かえ、という任を第六騎士団をもって補佐せよ、だろう」
「……じゃあ、敵の勝利条件は最初から私達を倒すことでは無く……」
キサラの言葉に頷く。
「あぁ。スキル持ちを要塞へ送り届けること」
眼下の敵軍を見る。
「敵がああやって部隊を複数に分けて前進しているのは何処にスキル持ちを隠しているのかを分からなくする為だ。あれに矢を放っても無意味。唯一の弱点は白兵戦だが……」
「……成る程、わかったぞ」
すると、珍しくサナンが理解を示す。
「片っ端から攻撃するとしてもこちらの兵力は五百。当たりを引く前にこっちが兵が少ないというのがバレて簡単に殲滅させられてしまうってことか。スキルを持っている奴等と真正面から、それに寡兵で戦わなくちゃならなくなるのか……」
「あぁ。当たりを引ければその心配は無くなるが、リスクが大きすぎる。取り敢えず、現状打つ手が無いんだ」
そう言うと、場に沈黙が流れる。
どうやら状況を理解してもらえたようだ。
「だが、あの陣形には短所がまだある」
「そ、それは?」
キサラが食い気味に聞いてくる。
魔王にこの場を任された以上、どうにかしたいのだろう。
「進軍速度が遅いと言うこと。歩いて二日はかかる道のりをあの調子で進めば何日かかるだろうな? それに、常にいつ襲われるか分からない緊張は、兵を疲弊させる」
そして、弱点を示した上で次の策を示す。
「つまり、俺達の当初の目的、時間を稼いで敵の士気を落とすという作戦は、何もせずとも達成されたんだ。被害は与えられなかったがな。後は、予め進めてしいた第三局面の準備をさらに完璧なものにするだけだ。さぁ、急ぐぞ!」
この第二戦は譲ろう。
しかし、次の局面が最後だ。
第三戦、最終局面は譲らないぞ、第六騎士団団長、ジョバンニ。
これには流石のフィアナも驚きを隠せていなかった。
本当ならばフィアナに気づかせてやるために自分で考えさせたいが時間がない。
一から説明させてもらうとしよう。
「まず、俺達は仕掛け矢や奇襲等で敵の勢いを削ぎ、少しでも時間を稼ぎ、敵の士気を落とす計画だった。しかし、それはジョバンニの策によって未然に防がれた訳だ」
「相手は気付いてそうしたのか?」
サナンの言葉に対し、首を横に振る。
「いいや、多分気づいてはいないだろう。まぁ、初戦で大量に輪を浴びせて来た事から、それに対処するためのあの陣形なのだろう。問題は、ジョバンニは俺達を倒すことでは無く、本来の任務を完遂することに重きを置いたんだ」
「それってつまり……」
フィアナがジョバンニの狙いに気が付く。
「そうだ。魔王軍が籠もるグンローグ要塞への到達。それが本来の任務のはずだ。それさえ果たせればジョバンニ達の目的は完遂される。つまり、サナンの言う通り、あれで強行突破するつもりだ」
「で、でもよ! 勇者を失った時点でスキル持ちは居ない筈だろ!? そんな状態で到達しても……」
「いいや、スキル持ちはいる」
慌てふためくサナンを落ち着かせ、話を続ける。
「勇者真田護には二人の仲間がいた。それぞれスキル持ちだ。『斬撃』のスキルを持つゴルドーと、『ファイアー』のスキルを持つソフィアだ。この二人が真田護と行動を共にしている事はカルラの情報で裏が取れている」
そう、スキル持ち自体はいるのだ。
然程優秀なスキルではないにせよ、攻撃スキルを持った者が。
「恐らくジョバンニの与えられた命令は、勇者に与えられた任務、『シールド』で攻撃スキルを持つ者を護衛し、グンローグ要塞へ向かえ、という任を第六騎士団をもって補佐せよ、だろう」
「……じゃあ、敵の勝利条件は最初から私達を倒すことでは無く……」
キサラの言葉に頷く。
「あぁ。スキル持ちを要塞へ送り届けること」
眼下の敵軍を見る。
「敵がああやって部隊を複数に分けて前進しているのは何処にスキル持ちを隠しているのかを分からなくする為だ。あれに矢を放っても無意味。唯一の弱点は白兵戦だが……」
「……成る程、わかったぞ」
すると、珍しくサナンが理解を示す。
「片っ端から攻撃するとしてもこちらの兵力は五百。当たりを引く前にこっちが兵が少ないというのがバレて簡単に殲滅させられてしまうってことか。スキルを持っている奴等と真正面から、それに寡兵で戦わなくちゃならなくなるのか……」
「あぁ。当たりを引ければその心配は無くなるが、リスクが大きすぎる。取り敢えず、現状打つ手が無いんだ」
そう言うと、場に沈黙が流れる。
どうやら状況を理解してもらえたようだ。
「だが、あの陣形には短所がまだある」
「そ、それは?」
キサラが食い気味に聞いてくる。
魔王にこの場を任された以上、どうにかしたいのだろう。
「進軍速度が遅いと言うこと。歩いて二日はかかる道のりをあの調子で進めば何日かかるだろうな? それに、常にいつ襲われるか分からない緊張は、兵を疲弊させる」
そして、弱点を示した上で次の策を示す。
「つまり、俺達の当初の目的、時間を稼いで敵の士気を落とすという作戦は、何もせずとも達成されたんだ。被害は与えられなかったがな。後は、予め進めてしいた第三局面の準備をさらに完璧なものにするだけだ。さぁ、急ぐぞ!」
この第二戦は譲ろう。
しかし、次の局面が最後だ。
第三戦、最終局面は譲らないぞ、第六騎士団団長、ジョバンニ。
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