歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

準備完了

「よし……皆揃ったな」
　
　数日後、改めて皆を揃えて軍議を始める。
　皆のおかげで全ての準備は整い、最終確認を残すのみとなった。
　
「皆のおかげで準備は整った。後は行動を開始するだけだ。」
　
　あの後、ロームと俺はファレス攻略の為、奴隷市場を全て手中に収めた。
　結局、所々穏便なやり方では済まなかったが、然程騒ぎにならずに確保出来たのだ。
　そして、サナン達の準備も完了し、万全の態勢が整った。
　
「キサラからも連絡があって、本隊も準備は完了したとのことだ。作戦開始は予定通り明日の昼。その頃に標的の管理官の演説がある。ですね？　カルラさん」
「あぁ。そうだ。残念ながら管理官の詳しい情報は得られなかった。相手も徹底して隠しているようだ。だが、明日広場で演説がある事は分かっている。その日そこに管理官が現れ、皆の前に姿を晒すのは確かだ」
　
　相手の能力や素性が探りきれなかったという不安要素は残っているが、それは俺が現地で臨機応変に対処するしか無い。
　
「明日、管理官を確保する人員は俺とロームさん。そしてジョバンニさんとサナンだ。主な流れは管理官が一人になる時を狙ってロームさんの『神速』で無力化してもらう。他の面々は不確定要素が多い事から予備の人員だ」
「フィアナの嬢ちゃんとレナは本部となる娼館で指揮、ね。俺達魔王派は予定通りの行動をするぞ」
「あぁ。サナン、皆にはお前から頼んだ」
　
　魔王派の皆にはそれぞれ任務を伝えている。
　だが、彼等は頭を使うタイプではないので、サナンから改めて徹底してもらう。
　
「そして、ファレス攻略作戦の第二段階である管理官を無力化したら外にいるキサラに連絡して本格的に攻め込んでもらう。そして、抜け道に潜ませている奴等も街の中に攻め込んでもらう。目標は城門だ。内側から開ければ雪崩込める。そして、第三段階防衛隊の無力化を行う」
「それに加えて例の策だな？　さっすが軍師殿。完璧な策だな」
　
　サナンがこれ見よがしに褒めてくる。
　いい加減慣れてきたがそろそろやめてほしい物だ。
　
「……当初の予定通り敵は殲滅しない。その後の策のためにも現地住民に対して略奪行為は禁止とする。捕虜も手荒な扱いはよしてくれ」
「その……今後の策というのを聞いてもよろしいですか？」
　
　フィアナが口を開く。
　彼女も既に立派な軍師だ。
　気になるのも無理はない。
　そこまでは説明していなかった。
　
「……そうだな……まだ上手くいくか分からんし先の事だからもう少し詰めてから話そうと思ってたんだが……そうだな。意見を募るのも良い」
　
　あまり不確定な事を大々的に宣言するのは出来る限り避けている。
　それは、不測の事態を避けるためでもあった。
　
「魔王軍は人類の敵ではないと宣言するんだ。あくまでスキル至上主義を認めず、反スキル至上主義を掲げていると喧伝するんだ。そして、奴隷解放を掲げるんだ。全ての人間の味方であると喧伝する為に」
「成る程……奴隷市場を確保していたのはそのためですか」
　
　俺は頷いた。
　
「あぁ。そうすれば敵の本国で奴隷の反乱を招くことができるかもしれない。あわよくば、他国の援助も得られるかもしれないからな」
「そこまで考えて……流石です」
「いいや、まだまだ詰めきれてない所だ。これはあくまで希望的観測の一つだと思ってくれ」
　
　俺は改めて指示を出す。
　
「よし……各々、作戦の開始に備えて休んでくれ！」