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ファレス籠城戦 開戦
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「来ます! 盾を掲げて!」
明後日。
諸王国軍が守る東門にザルノール軍が攻撃を仕掛ける。
ザルノール軍は手始めに矢を一斉に放つ。
兵達の盾に矢が突き刺さる。
「く……損害報告!」
東門を指揮するのはフィアナ自身である。
西門に精鋭を集め、東門には三万五千を集めたが、統率が取れていない、言わば烏合の衆であった。
それをまともに戦えるようにする為、フィアナ自身が指揮を執っていた。
各国の将兵には指示に絶対従うようにと伝えてあった。
「各部隊損害軽微! 戦闘続行に支障なし!」
「ではこちらも弓を放って下さい! 一斉射では無く、準備の出来た者から放って下さい! 間断無く、相手に休む暇を与え無いで!」
フィアナの指示で弓が放たれる。
しかし敵は矢に怯まず、ある程度の陣形を維持したままジリジリとにじり寄ってくる。
その陣形には見覚えがあった。
かつて搦手砦でジョバンニ達が見せた亀甲陣だ。
「くそ! 何だあの陣形!」
「矢が通らねぇ!」
「問題ありません! 私達の目的は時間稼ぎ! あの陣形は確かに防御力に優れてますが、見ての通り足は遅い!」
しかしフィアナの不安は拭いきれていない。
(あの盾の内側……恐らく破城槌、もしくは城門を破壊出来るスキル持ちか何かがある。城門まで到達されれば非常にまずい……)
そして、決断を下す。
「白兵戦で敵の陣形を乱します! 各部隊は編成を急いで下さい! 敵との距離はまだあります!」
「は、白兵戦!?」
「そんな事、危険過ぎないか!?」
「最初に決めたルールを忘れましたか!? 指示に従って! 嫌なら結構! ここに残って弓で援護してください!」
「く……分かった!」
各将は白兵戦の出来る人選を選んでいく。
準備が整うと、フィアナは自ら兵を率いて城門へ向かう。
閉ざされた扉を前に、意を決して刀を抜く。
「城門開け!」
フィアナの号令で門が開く。
敵も白兵戦を挑んでくると分かったようだったが、弓兵の援護のおかげで亀甲陣は崩していない。
最大のチャンスである。
「突撃!」
「ふむ……魔王派もこれだけ増えたか……」
「元剣闘士奴隷や志願者を募って数を増やしましたからね。その数二千。我々魔王軍にも迫る勢いです。そして、既存の魔王派の方々の熱烈な指導のおかげで、その熟練度は古参の方と並びました。精鋭中の精鋭と言えましょう」
キサラは目の前に広がる精鋭たちを見て言う。
そして、その精鋭達の前には敵軍七万。
精鋭達五千は城門の外にいたのだ。
「ファレス騎士団一万に壁上から援護してもらいつつ城門の外で敵の数を削る。こちらは五千で戦わなくてはならんが、意表はつける。敵はまさかこちらが積極策に出るとは思わんだろうからな」
「えぇ。かなり大胆な策。フィアナさんの度胸には恐れ入ります」
ジョバンニは陣頭に立ち剣を抜く。
「皆聞け! お主らの主、サナン殿はまだ目を覚まさない! 軍師、佐切殿も不在! しかしフィアナ殿は諸君らを信頼し、ここを託した! 敵は烏合の衆! それに加えて敵の内情を知り尽くしたこのジョバンニもいる! 今こそ我らの力を見せる時だ!」
ジョバンニは剣を敵陣に向ける。
「突撃! 我に続け!」
明後日。
諸王国軍が守る東門にザルノール軍が攻撃を仕掛ける。
ザルノール軍は手始めに矢を一斉に放つ。
兵達の盾に矢が突き刺さる。
「く……損害報告!」
東門を指揮するのはフィアナ自身である。
西門に精鋭を集め、東門には三万五千を集めたが、統率が取れていない、言わば烏合の衆であった。
それをまともに戦えるようにする為、フィアナ自身が指揮を執っていた。
各国の将兵には指示に絶対従うようにと伝えてあった。
「各部隊損害軽微! 戦闘続行に支障なし!」
「ではこちらも弓を放って下さい! 一斉射では無く、準備の出来た者から放って下さい! 間断無く、相手に休む暇を与え無いで!」
フィアナの指示で弓が放たれる。
しかし敵は矢に怯まず、ある程度の陣形を維持したままジリジリとにじり寄ってくる。
その陣形には見覚えがあった。
かつて搦手砦でジョバンニ達が見せた亀甲陣だ。
「くそ! 何だあの陣形!」
「矢が通らねぇ!」
「問題ありません! 私達の目的は時間稼ぎ! あの陣形は確かに防御力に優れてますが、見ての通り足は遅い!」
しかしフィアナの不安は拭いきれていない。
(あの盾の内側……恐らく破城槌、もしくは城門を破壊出来るスキル持ちか何かがある。城門まで到達されれば非常にまずい……)
そして、決断を下す。
「白兵戦で敵の陣形を乱します! 各部隊は編成を急いで下さい! 敵との距離はまだあります!」
「は、白兵戦!?」
「そんな事、危険過ぎないか!?」
「最初に決めたルールを忘れましたか!? 指示に従って! 嫌なら結構! ここに残って弓で援護してください!」
「く……分かった!」
各将は白兵戦の出来る人選を選んでいく。
準備が整うと、フィアナは自ら兵を率いて城門へ向かう。
閉ざされた扉を前に、意を決して刀を抜く。
「城門開け!」
フィアナの号令で門が開く。
敵も白兵戦を挑んでくると分かったようだったが、弓兵の援護のおかげで亀甲陣は崩していない。
最大のチャンスである。
「突撃!」
「ふむ……魔王派もこれだけ増えたか……」
「元剣闘士奴隷や志願者を募って数を増やしましたからね。その数二千。我々魔王軍にも迫る勢いです。そして、既存の魔王派の方々の熱烈な指導のおかげで、その熟練度は古参の方と並びました。精鋭中の精鋭と言えましょう」
キサラは目の前に広がる精鋭たちを見て言う。
そして、その精鋭達の前には敵軍七万。
精鋭達五千は城門の外にいたのだ。
「ファレス騎士団一万に壁上から援護してもらいつつ城門の外で敵の数を削る。こちらは五千で戦わなくてはならんが、意表はつける。敵はまさかこちらが積極策に出るとは思わんだろうからな」
「えぇ。かなり大胆な策。フィアナさんの度胸には恐れ入ります」
ジョバンニは陣頭に立ち剣を抜く。
「皆聞け! お主らの主、サナン殿はまだ目を覚まさない! 軍師、佐切殿も不在! しかしフィアナ殿は諸君らを信頼し、ここを託した! 敵は烏合の衆! それに加えて敵の内情を知り尽くしたこのジョバンニもいる! 今こそ我らの力を見せる時だ!」
ジョバンニは剣を敵陣に向ける。
「突撃! 我に続け!」
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