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ザルノールの軍
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「報告! 東西の敵軍、我等に向かって突撃を仕掛けてきました!」
「何!? 血迷ったか!?」
「いや、奴らはもはや魔王軍単体では無い。諸王国連合軍であるが故に、優秀なスキルを持っている者もいるやもしれん。血迷ったと決めつけるには早いぞ」
ザルノールの軍は遠く離れた参謀本部にて報告を聞く。
フィアナとジョバンニがとった行動は偶然同じ行動であったが、敵を混乱させるには十分であった。
凡将であれば、このまま攻め続け、大打撃を受けたであろう。
だが、この軍には、本来ここに居ないはずの男がいた。
「皆落ち着け。数多くの報告で敵の兵の分布は分かった。敵の抵抗が激しさから南北には兵を置かず、東西に集中していると見える。このまま攻め続ければ確かにいずれ第一壁は突破出来るだろう。しかしそれでは兵の損耗は激しくなる。兵の数ではこちらが優位だが、敵の戦略に翻弄されこちらの被害も少なくない。撤退だ」
「な……ドルーガ殿!? 何を言って……」
この軍の総大将は、ドワーフ王国にいる筈のドルーガであった。
「全て儂の策の通りよ。まぁ、ドヴェルグを完全に掌握出来なかったのは誤算だが、当初の予定通りカレン・ノージリアがファレスにいる時に攻めることが出来た。本来ならばドヴェルグで軍師である佐切殿も仕留めたかったが……敵には優秀な軍師がいるようだ。当初の予定通り、王国の隠密のスキル『転移』を使ってここに戻ってきて正解だったな」
ドルーガはゴルンにドワーフ軍を任せて一人ザルノール軍に合流した。
ドルーガは予想外の敵の動きに熟考する。
(敵の動きは大胆かつ的確……佐切殿ならばさらに手強いが、佐切殿に迫る優秀な軍師がいると見て良いだろうな……。初戦で探りを入れておいて正解だったな。……ジョバンニか? あ奴ならば佐切殿の手ほどきでさらに軍略に磨きをかけたとしてもおかしくはない……)
すると、将の一人が一人の世界に入り込んだドルーガに声を掛ける。
「ドルーガ殿? いかがなさるのか!? 本当に撤退するのかはっきりしてくだされ!」
「む? おおすまん。撤退だ撤退。軍を編成し直す」
ドルーガは改めて指示を下す。
「一旦余力を残した状態で兵を退く。敵を勝利で油断させて、休息させる暇もなく攻める。夜分にな。それに加えて南北からも攻めさせる」
「南北からもですか……」
「うむ。敵は南北の門には殆ど兵を置いていないと見た。敵に再編成の時間も与えず、攻める。幸いにもこちらは兵の数が多く、戦っていない者も多い。初戦で前線に出ていた者は下がらせ、後方に居た者を前に出せ。無理に敵の思惑通りに戦う必要は無い」
「は!」
指示を受けた将はすぐさま動き出す。
佐切と同程度、もしくはそれ以上の指揮能力を持つドルーガと、佐切の弟子であるフィアナ。
どちらが優勢になるかなど、明らかであった。
(さて……魔王軍……いや、諸王国連合軍よ。どれほどの物か見せてもらうぞ)
「何!? 血迷ったか!?」
「いや、奴らはもはや魔王軍単体では無い。諸王国連合軍であるが故に、優秀なスキルを持っている者もいるやもしれん。血迷ったと決めつけるには早いぞ」
ザルノールの軍は遠く離れた参謀本部にて報告を聞く。
フィアナとジョバンニがとった行動は偶然同じ行動であったが、敵を混乱させるには十分であった。
凡将であれば、このまま攻め続け、大打撃を受けたであろう。
だが、この軍には、本来ここに居ないはずの男がいた。
「皆落ち着け。数多くの報告で敵の兵の分布は分かった。敵の抵抗が激しさから南北には兵を置かず、東西に集中していると見える。このまま攻め続ければ確かにいずれ第一壁は突破出来るだろう。しかしそれでは兵の損耗は激しくなる。兵の数ではこちらが優位だが、敵の戦略に翻弄されこちらの被害も少なくない。撤退だ」
「な……ドルーガ殿!? 何を言って……」
この軍の総大将は、ドワーフ王国にいる筈のドルーガであった。
「全て儂の策の通りよ。まぁ、ドヴェルグを完全に掌握出来なかったのは誤算だが、当初の予定通りカレン・ノージリアがファレスにいる時に攻めることが出来た。本来ならばドヴェルグで軍師である佐切殿も仕留めたかったが……敵には優秀な軍師がいるようだ。当初の予定通り、王国の隠密のスキル『転移』を使ってここに戻ってきて正解だったな」
ドルーガはゴルンにドワーフ軍を任せて一人ザルノール軍に合流した。
ドルーガは予想外の敵の動きに熟考する。
(敵の動きは大胆かつ的確……佐切殿ならばさらに手強いが、佐切殿に迫る優秀な軍師がいると見て良いだろうな……。初戦で探りを入れておいて正解だったな。……ジョバンニか? あ奴ならば佐切殿の手ほどきでさらに軍略に磨きをかけたとしてもおかしくはない……)
すると、将の一人が一人の世界に入り込んだドルーガに声を掛ける。
「ドルーガ殿? いかがなさるのか!? 本当に撤退するのかはっきりしてくだされ!」
「む? おおすまん。撤退だ撤退。軍を編成し直す」
ドルーガは改めて指示を下す。
「一旦余力を残した状態で兵を退く。敵を勝利で油断させて、休息させる暇もなく攻める。夜分にな。それに加えて南北からも攻めさせる」
「南北からもですか……」
「うむ。敵は南北の門には殆ど兵を置いていないと見た。敵に再編成の時間も与えず、攻める。幸いにもこちらは兵の数が多く、戦っていない者も多い。初戦で前線に出ていた者は下がらせ、後方に居た者を前に出せ。無理に敵の思惑通りに戦う必要は無い」
「は!」
指示を受けた将はすぐさま動き出す。
佐切と同程度、もしくはそれ以上の指揮能力を持つドルーガと、佐切の弟子であるフィアナ。
どちらが優勢になるかなど、明らかであった。
(さて……魔王軍……いや、諸王国連合軍よ。どれほどの物か見せてもらうぞ)
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