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探り合い
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「第二壁に入ったものから壁上に登り応戦の準備をせよ!」
「負傷者はこちらへ! ノージリア女王、カレン・ノージリア直々に手当てしてあげます!」
第二壁内へ第一壁から撤退した部隊が続々と入っていた。
ノージリア国女王であるカレンまでもが出て来て負傷者の手当てを行なっていた。
すると、第二壁に殿の役目を勤め上げたザイル率いるファレス騎士団のスキル使い達が戻ってくる。
「ザイル殿! お怪我は!?」
「いえ、ありませぬ。思いの外簡単に行きましたな」
「いえ、貴方がたのおかげでほとんどの兵を引かせられました。さ、向こうで皆に手当てを」
怪我はないとは言っていたが、疲労困憊の様子。
それを見たジョバンニはすぐさま休むように、カレンの方を差した。
「あ、爺! こっちこっち!」
「カ、カレン様!? こんな所で何を!」
「何って治療よ治療。私だって役に立ちたいの。それに、兵達の士気も上がるでしょう?」
「そ、それは確かにそうですが……だからといって前線には立たないで頂きたい! 御身の事を……」
「嫌よ」
「カレン様!」
すると、そんなわがまま女王と爺の口論を知ってか知らずか、間に割って入る者がいた。
「皆さん! 唐突で申し訳ないですが、第二壁は捨てます! 本丸へ急いで下さい!」
「捨てる!? 一体どうして? 帰ってきたばっかりだけどみんなまだまだ戦えるわよ!」
「それは前線に立っているものの言葉ですぞ。されどカレン様の言う通り。第二壁を捨てるのは時期尚早では?」
「……いや、フィアナ殿の言う通りにしよう。何か考えがあるんだな?」
「はい。敵はとても優れた将です。だからこそその思考も読みやすい。サナンさんの復帰で東門でも優勢は取れましたが、いずれ突破されるでしょう。相手は勝っているからといって油断するような優しい相手ではありません。それを逆手に取ります」
「ドルーガ様! 前線の部隊より報告が!」
「どうした? 第二壁は陥落したか?」
「い、いえ……それが……」
「どうした。早く言わぬか」
ドルーガの元へ慌てた様子の伝令が駆け込んできた。
伝令は少し考えた後、報告する。
「第二壁、門を開けております! 城壁や城内に敵は見当たりません!」
「……何?」
その報告に、ドルーガはこの戦初めての初めての動揺を見せる。
椅子から立ち上がり、ファレスを見る。
「……一体どういう……」
「奴らめ、我々に恐れをなして逃げ出したか!」
「所詮烏合の衆よ!」
「ドルーガ殿……このまま攻めますか?」
「……さては、罠か。全軍に停止命令を出せ!」
ドルーガの指示ですぐに太鼓の大きな音が鳴り響く。
その音は、全軍停止を意味するものであった。
「よ、よろしいので?」
「あぁ。何の意味もなく城門を開け放つとは思えない。しかしあからさますぎる……罠と見せかけて……しかし確証は無い……か。……ふ」
すると、ドルーガは大きく笑い出す。
「ふはははは! 相手はかなりの策士だな!」
「ド、ドルーガ様?」
「良いか? お主らに説明してやろう。奴らの戦い方は徹して時間を稼ぐものだった。その時間があれば大量の罠等を仕掛け、防衛の準備を万全に整える事が出来ただろう。つまりこの先罠のある可能性が非常に高い。しかしあからさま過ぎる。我等の進軍を躊躇わせるための策とも取れるが、あの先に罠が無いとは限らん。甚大な被害を被るやもしれん。なんにせよ、罠が無いことを確かめるまで我らは動けん」
「な、成る程……しかし、数に物を言わせて突破してしまえば宜しいのでは?」
「ふむ……悪くはない。人海戦術というやつだな。しかしそれでは無駄に被害を増やす事になる。せっかく勝利で士気が高くなっている所にそれではマズイ。やはり、時間をかけてでも安全策が一番よ」
ドルーガは結局動かなかった。
斥候を放ち、罠が無いことを確かめられたのは、一日後の事である。
城門に罠が無かったとしても市街地に潜伏し、ゲリラ戦を仕掛けてくる可能性を考慮し、完全に安全を確かめたのである。
第二壁は何の損害を出すことも無く攻略された。
しかしこの一日の猶予は、諸王国連合軍が万全の態勢を整えるのには充分過ぎる時間であった。
決戦が、迫っていた。
「負傷者はこちらへ! ノージリア女王、カレン・ノージリア直々に手当てしてあげます!」
第二壁内へ第一壁から撤退した部隊が続々と入っていた。
ノージリア国女王であるカレンまでもが出て来て負傷者の手当てを行なっていた。
すると、第二壁に殿の役目を勤め上げたザイル率いるファレス騎士団のスキル使い達が戻ってくる。
「ザイル殿! お怪我は!?」
「いえ、ありませぬ。思いの外簡単に行きましたな」
「いえ、貴方がたのおかげでほとんどの兵を引かせられました。さ、向こうで皆に手当てを」
怪我はないとは言っていたが、疲労困憊の様子。
それを見たジョバンニはすぐさま休むように、カレンの方を差した。
「あ、爺! こっちこっち!」
「カ、カレン様!? こんな所で何を!」
「何って治療よ治療。私だって役に立ちたいの。それに、兵達の士気も上がるでしょう?」
「そ、それは確かにそうですが……だからといって前線には立たないで頂きたい! 御身の事を……」
「嫌よ」
「カレン様!」
すると、そんなわがまま女王と爺の口論を知ってか知らずか、間に割って入る者がいた。
「皆さん! 唐突で申し訳ないですが、第二壁は捨てます! 本丸へ急いで下さい!」
「捨てる!? 一体どうして? 帰ってきたばっかりだけどみんなまだまだ戦えるわよ!」
「それは前線に立っているものの言葉ですぞ。されどカレン様の言う通り。第二壁を捨てるのは時期尚早では?」
「……いや、フィアナ殿の言う通りにしよう。何か考えがあるんだな?」
「はい。敵はとても優れた将です。だからこそその思考も読みやすい。サナンさんの復帰で東門でも優勢は取れましたが、いずれ突破されるでしょう。相手は勝っているからといって油断するような優しい相手ではありません。それを逆手に取ります」
「ドルーガ様! 前線の部隊より報告が!」
「どうした? 第二壁は陥落したか?」
「い、いえ……それが……」
「どうした。早く言わぬか」
ドルーガの元へ慌てた様子の伝令が駆け込んできた。
伝令は少し考えた後、報告する。
「第二壁、門を開けております! 城壁や城内に敵は見当たりません!」
「……何?」
その報告に、ドルーガはこの戦初めての初めての動揺を見せる。
椅子から立ち上がり、ファレスを見る。
「……一体どういう……」
「奴らめ、我々に恐れをなして逃げ出したか!」
「所詮烏合の衆よ!」
「ドルーガ殿……このまま攻めますか?」
「……さては、罠か。全軍に停止命令を出せ!」
ドルーガの指示ですぐに太鼓の大きな音が鳴り響く。
その音は、全軍停止を意味するものであった。
「よ、よろしいので?」
「あぁ。何の意味もなく城門を開け放つとは思えない。しかしあからさますぎる……罠と見せかけて……しかし確証は無い……か。……ふ」
すると、ドルーガは大きく笑い出す。
「ふはははは! 相手はかなりの策士だな!」
「ド、ドルーガ様?」
「良いか? お主らに説明してやろう。奴らの戦い方は徹して時間を稼ぐものだった。その時間があれば大量の罠等を仕掛け、防衛の準備を万全に整える事が出来ただろう。つまりこの先罠のある可能性が非常に高い。しかしあからさま過ぎる。我等の進軍を躊躇わせるための策とも取れるが、あの先に罠が無いとは限らん。甚大な被害を被るやもしれん。なんにせよ、罠が無いことを確かめるまで我らは動けん」
「な、成る程……しかし、数に物を言わせて突破してしまえば宜しいのでは?」
「ふむ……悪くはない。人海戦術というやつだな。しかしそれでは無駄に被害を増やす事になる。せっかく勝利で士気が高くなっている所にそれではマズイ。やはり、時間をかけてでも安全策が一番よ」
ドルーガは結局動かなかった。
斥候を放ち、罠が無いことを確かめられたのは、一日後の事である。
城門に罠が無かったとしても市街地に潜伏し、ゲリラ戦を仕掛けてくる可能性を考慮し、完全に安全を確かめたのである。
第二壁は何の損害を出すことも無く攻略された。
しかしこの一日の猶予は、諸王国連合軍が万全の態勢を整えるのには充分過ぎる時間であった。
決戦が、迫っていた。
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