おにぎり日常

赤花雪夜

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おにぎり五個

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おにぎりよし!
   おかずよし!
   冷たいお茶よし!
   冷汁よし! 暑い日は冷汁に限る。うんうん。
   お弁当を持って川田がスマホで送ってくれた地図を見て川田のおばあちゃんのお店に向かう。
   お店の名前はおにぎり屋。シンプルと言うよりそのまんまの名前だった。それも商店街の中にあるらしく家からもさほど遠くない。帽子を被って家を出ると中々熱い。雲が少ない空は太陽を象徴するかのようにギラギラと熱さを感じさせる。一応保冷剤を入れておいて正解だった。自転車に乗って商店街まで漕いで行くがそれでも熱い。風が流れる汗に触れて少し涼しくなっても体に残る熱は今もまだ残っている。商店街に到着し自転車を下ろし押して商店街に通ると沢山のお店から涼しい風が流れ顔から背中から流れる汗が冷んやりと涼しくしてくれる。
   火照った体も段々冷えていく。
   自転車を押してようやくおにぎり屋に到着。
   お店はまだ空いておらず何処から入ったら良いか分からなかった。
「おっ昴早いな」
   川田! 何で此処に? 
「何でって、此処俺のおばあちゃんの店だぞ。それに友の最後を見届けなくては」
   最後って言うな!  
「そして俺もいるぞ!」
   山田まで!
「友の戦いを見届ける為に来た。昴!  頑張れよ!」
   応!
   僕と山田は拳をぶつけ新たに友情が深まった。
    そしておにぎり屋に入り川田のおばあちゃんといざ対面!
「おばあちゃん、昴が来たよー」
「おやおや、けいちゃんのお友達だね。ようきたようきた。外熱かったでしょう、麦茶と冷たいスイカがあるからお食べ」
「ばあちゃん、この歳でけいちゃんは止めてくれよ」
    ご親切にどうも。こちらつまらない物ですが。
「おや、コーンのツナマヨおにぎりにしそのつくねかい?」
    梅肉のソースも掛かっててさっぱりして夏には良いです。コーンとツナマヨおにぎりもコーンが甘くてマヨネーズがくどくなく食べやすくしてます。冷汁もどうぞ。
「けいちゃんがよく君のおにぎりの話をしててね。一度食べてみたかったんだよ。それじゃ頂きます」
   川田のおばあちゃんはおにぎりを一口食べた。
   僕は心臓バクバクで周りの音や声が聞こえない。
   いつしか目の前は真っ白で何も見えなくなっていた。
「ごちそうさま。とても美味しかったよ。本当におにぎり作るの上手なんだね。あぁ名乗り忘れていたね。私の名前は川田切子。好きなように呼んでおくれ」
「婆ちゃん、昴が魂抜けてる」
「あらあら」
「昴ー!」

   目を覚ますと僕は畳の上で寝ていた。川田のおばあちゃんが僕のおにぎりを食べている所までは覚えているがそれしか記憶にない。
   は!   つくねは、冷汁は、どうだったのだろか!
   そして僕は合格したのか!  僕は慌てて起き上がるとちゃぶ台の上置かれてあるおにぎりを美味しそうに食べてる川田と山田が目に映る。
「昴おはよう。お前も婆ちゃんのおにぎり食うか?」
「川田のおばあちゃんのおにぎりうめぇ~!  昴のおにぎりもうめぇけどこっちもうめぇ。塩むすびなのになんでこんなにうめぇんだ!」
    塩むすびを大量に食べる山田とその山田に脳天チョップをかます川田を見て僕は聞いた。
    僕は合格したの!  後、おにぎりは食べる。
「合格もなにも、元から試験なんてもんはねえよ」
「昴君、これ昴ちゃんのエプロン作ってみたんだけどちょっと丈合わせるからこっちおいで」
    川田のおばあちゃんこと切子さんは手招きして僕を呼んだ。
    え?  僕、合格ですか?
   思わず切子さんに聞いてしまう。声も震えて動揺が隠せない。
「合格?  私はけいちゃんからおにぎり大好きなお友達がうちで働きたいから雇ってみたらって言われたんだよ。でもけいちゃんが昴ちゃんのおにぎり美味しいって言ってたから私も食べてみたくなってね。それでおにぎりも食べてみたいから持ってきてほしいと伝えて欲しいってけいちゃんにお願いしたのだけどね」
   切子さんは自作のエプロンを僕の体の丈に合わせてサイズ調整してくれている。
   体を動かさず首だけをブリキのおもちゃみたいに動かし川田恵一を睨んだ。
「俺はそのまんま伝えただけだ。それを誤解してビクビクしてたのは昴だろ。まぁ結果婆ちゃんには高評価だったから良かったじゃねぇか」
    良かったけど良くないよー!
「おにぎり美味しかったよ。つくねはさっぱりしてお肉も柔らかくて食べやすかったし冷汁も冷たいけど冷た過ぎなくて美味しかった。暑い時期に良いね。また作ってくれるかい?」
「俺にも作って!」
   切子さんの言葉は嬉しかった。それにまた作ってくれるかい?  なんて言われたら作りたくなる!
   もちろん!  喜んで! そして山田、飲みたかったら百円払え!
   丈合わせも終わり僕はエプロンを試着してみる。
   サイズぴったり。おにぎり柄のエプロン。ちょっと可愛い。三角巾の柄もおにぎりだった。
   なんだかんだあったが無事切子さんからおにぎりの高評価も貰え僕はこのおにぎり屋のアルバイトが決定した。
   おにぎり作りに頑張るぞ!
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