騎士団長の溺愛~一途な思い

ブラウン

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生誕祭

 私は今、生誕祭の祭りに来ている。街娘風の装いだ。隣にはレオナルド様がいる。シャツ、トラウザーにロングブーツ。胸板が厚く、袖まくりした腕の筋肉、かっこいい。

 もちろん、私たちの前にはランス副団長と最近恋人になったという子爵令嬢がいる。

 シャーロット様という1度結婚したが、相手が浮気をし、相手女性に子供が出来たため、離縁したということだった。もともと政略結婚だったため、愛情はないのですぐ離縁に応じたということだ。幸いなことに家族は優しく戻ることを受け入れてくれた。受け入れてもらえないと平民となり自分で働き生活していくか修道院へ行くか老齢の男に嫁ぐことになる。女性の立場は弱い。特に離縁後は家族が受け入れてくれなければ悲惨だ。だから離縁しないように旦那様の言いなりにならざるを得ない。自分は恵まれた環境だったと言っていた。ランス副団長と出会って今は幸せだと言っていた。

 ランス副団長が一緒に生誕祭に行かないかと誘ってくれた。レオナルド様と一緒に。

 私は王都の生誕祭に小さい時、昼に行ったっきり、王子妃候補になってしまったので行ったことがなかった。レオナルド様が誘ってくれないかなあという願望はあったが、ランス副団長が一緒に誘ってくれたのでうれしかった。最近、レオナルド様は目と目を合わせて話をしてくれるようになった。進歩だ。

 隣にいるレオナルド様はあたりを警戒しながら、私を守るように歩いてくれた。そして、香ばしいいい匂いがしてきた。肉を焼いている匂いだ。匂いがする方に目がいってしまった。

「ふふっ、ルイーザはお肉が食べたいのか?買ってこようか?」

 バレてしまった。でも食べたい。

「おいおい、レオ、ルイーザ嬢に肉を進めるのか?かぶりつかないと食べられないぞ」
  
 ランス副団長は、淑女が串に刺さった肉をかぶりつけないと思っているらしいが、私は食べるわよ。

「ランス様、私、肉かぶりつきますわよ。こんな経験ないですから。楽しみです」

「じゃあ、買ってくるよ。ランス、お前は女性の警護を頼む」

「ああ、お前の好きな店で買ってくるのか。頼むよ」
 
 レオナルド様は颯爽といなくなってしまった。早い。


「シャーロットはこの前かぶりついて食べたからな。慣れたものだろう」

「いやだわ、ランス様。ルイーザ様の前で暴露しなくていいじゃないですか。もう酷いわ。ルイーザ様、毎回かぶりついているわけではないですわ。時々ですわ」

「シャーロット様、私はかぶりついたり、立ち食いしたり、買い食いしたり色々経験がしたいのです」

「あはは、ルイーザ嬢、全部食べ物のことを言っているけど、お腹すいている?」

「あら、やだわ。食べ物のことばかりですわね。でもスィーツも食べたいです」

「多分、レオはいろいろ買ってきてくれるよ」

 それから、レオナルド様は串肉、ワッフル、フルーツなどを買ってきた。

「ここで食べるのか?座れるところを探そう」
 レオナルド様は女性が立って食べることはしないと思っているのだろうか、座るところを探そうとしていた。

 私はここですぐ食べようと言った。びっくりしていた。でも熱いうちに食べたい。
「温かいうちに食べたいので、お肉が硬くなってしまいますからここで食べましょう?」

 それから、串肉を齧りついた。塩加減がいい具合だ。

「おいしい。あ、あのレオナルド様、そんなに食べるところを見られると恥ずかしいです」

「す、すまない。おいしそうに頬張っていたのがかわいくて見入ってしまいました」

「か、かわいい?」

「あ、いや、どうですか、個々の屋台の肉はおいしくていつも買ってしまうのです」

「おいしいです。これなら何本でも食べられそうですね」

 後ろでランス様とシャーロット様が笑っていた。

「いやあ、微笑ましいなあと思って」

「「ほほえましい・・」」
 二人で俯いてしまった。

「ほらほら照れてないで、食べよう食べよう」

 私は恥ずかしいが肉を頬張った。ワッフルやフルーツも食べた。大満足していた。

「ルイーザ、頬にクリームがついているよ」
 レオナルド様が自分の手でクリームを取り除きそのままクリームを舐めた。私の頬についたクリームを舐めた。
 ぴょえーーーーーー。その後レオナルド様のハンカチで頬を拭いてくれた。

 その時、見覚えのあるハンカチのイニシャルが見えた。

 えっ?あのハンカチのイニシャルは私が王子妃教育が始まり、あまりにも辛く泣いていた時に、花束をまとめるために縛っていたハンカチと同じ?その後ハンカチではなくリボンになった。

 あの時の花束の人?まさか。

 泣いていることが恥ずかしく場所を変えて泣いていたが、なぜかいつも花束が置かれていた。

 小説にはない、この子の記憶にある出来事。ハンカチやリボンは大切に保管している。しばらくすると、その行為はなくなってしまった。寂しかったが、自分は王子妃・王妃教育をしているもの。弱みを見せてはいけないと泣くことをしなくなった。あの人は誰だったんだろうと思っていた。イニシャルを見ても全く分からなかったが、心の拠り所になっていた。いまでも持っているハンカチ。

 まさか?

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