転生令嬢は江戸っ子娘、悪役令嬢には程遠いのですが〜なぜか婚約者が溺愛してくるのです

ブラウン

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ビクっとして離れた

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 学園のことがさっぱり思い出せない。ホワイティスは興味がなかったのか?

 友達がいたのかどうかもわからない。仲が悪かった公爵令嬢とその取り巻きがいるらしい。面倒だなぁ。

「ホワイティス、すまなかった」

 ウィルが突然土下座の如く謝ってきた。なに?なに?どうしたの?好きな人ができたのか?

「ウィルどうしたの?好きな人でもできたの?」

「何言っているんだ!違うよ。クラバット男爵令嬢のことだよ」

 クラバット男爵令嬢?誰それ?

「あー、ホワイティス、あのホワイティスが前世の記憶を思い出した時に、俺が後ろに庇っていた令嬢だよ」

「あー、お蝶夫人のような縦ロールで、儚げにウィルの腕を取ってしなだれていた女性ね。生徒会で一緒なだけだよーと言っていた方ね」

 周りからブフッと笑いに耐えているような微かな声が聞こえてきた。

「お、おちょうふじん?はなんだかはわからないが、学園に行っていつも通りに生活していたけど、やはりクラバット男爵令嬢の距離が近いということに気づいたんだ。言われるまで気づかなかったことが残念な男だったと思い知らされた。やけに腕や体に触ってきたり、ホワイティスのことを悪く言ったり、自分はあなたのことを考えているのよ、というアピールをしているんだよ。確かに今までのホワイティスの行動は残念だったから、クラバット男爵令嬢の言葉を鵜呑みにしていたところもある。だが、その残念なホワイティスだってクラバット男爵令嬢の態度が媚びているような態度だったことを俺に教えてくれていたのに、聞く耳を持たずに、そして君を悪者にして婚約破棄だなんて言ってしまった。本当にすまなかった」

 私が休学している間もなんちゃら男爵令嬢はウィルに迫っているのね。あのパーティで婚約破棄だなんて言ったものだから、今度の婚約者は自分になるのではと考えたのかしらね。

「そのご令嬢はウィルに自分を婚約者にしてと言ってきたの?」

「いや、言葉には言わないが態度がそう言っているように感じるよ。私を選ぶでしょう?って態度。あんなことがあって、ホワイティスが休学しているのをいいことに、接近してくるよ。今は、距離を置いた節度ある態度をとっている。もう触られるのは嫌だよ。気づいてしまったら気持ち悪い。令嬢が自分アピールしていると思うと、一つ一つの行動が胡散臭く感じるようになった。俺はチョロい男だったのだな。浮気は絶対していないと断言するが、行動が浮気ではないかと取れるものだった。両親にも報告したし、精神的に弱いと思い、父上や騎士団長に稽古をつけてもらっているんだ。本当にすまなかった」

 まぁ、ホワイティスの行動も褒められたものではないし、逆に嫌われる要素ありだったから、男爵令嬢につけ入る隙を与えてしまったのかもしれない。

「ウィル、私たちはこれからよ。ウィルはあと一年弱で卒業してしまうし、その後は辺境領に戻ってしまうのでしょ?それまで王都の生活を満喫しましょう。その前に学園生活をなんとかしないといけない問題があるけど」

「ふふふっ、そうだな、王都の街を案内するよ。結構、お忍びで友達と散策しているからある程度は案内できるよ。色々楽しもう。勉強と魔法のことも協力するからさ。それに、辺境伯領地にも来て欲しい。辺境伯領も魔の森はあるが、自分の生まれた領地のことを絶賛するのもなんだがいいところだと思っている。ホワイティスにも色々紹介したい」

「ふふふっ、プロポーズ?」

「ひぇっ!プププププロポーズだなんて。ホワイティスが卒業したら、けっ、けっ、けっこんしよう・・」

 真っ赤な顔をして言葉尻が小さくなっていくウィル。

「私が学園卒業したらですね?楽しみですね」

 2人で手を取り合い、見つめ合い、顔の距離が近くなっていったところで、後ろからゴホン、と聞こえた。そう、ここは部屋の中。侍女、侍従がいたわね。

 ビクっとして離れた。

「そ、それでは学園のことを教えるよ」

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