脛かじり生活(願望)を堪能人生録~ゆるく楽しく生活していけるはずだよね?

ブラウン

文字の大きさ
198 / 294

197 俺達は今

しおりを挟む
 俺達は今厨房に来ている。あれから4人衆で行こうとしたらバレてちびっ子達も行くと泣きつかれ、全員でやってきたのだ。

 ちびっ子達と女の子、イザーク、レックスは危ないので火がないテーブルの方で侍女、護衛騎士達に厳重に見張らせ待機させた。

「料理長、ケビンだよ。今からね、肉まんとピザまんととる?とる?なんだっけ、巻いて食べるものを作るんだよ」

 レオン、また新しい用語でごめん。トルティーヤね。覚えにくいよね。名称をタコスにしてしまおうかな。両方新しい単語だな。同じか。

「初めまして、フォーゲリア伯爵家三男ケビンです。よろしくお願いします」

 挨拶は大事。恰幅の良い料理人だった。グリムに酷いことをした料理人達じゃないよね?

「レオンハルト様からお噂は予々お伺いしております。今日はどのような料理を作るのでしょうか?」

 怖い、怖いぞ。眼力が。たかだか伯爵家の小僧が王宮で料理だ!ふざけたことを言いやがってというような目だ。

「あの僕が作る料理は気軽に食べられるおやつのようなものなので大したものではないのです。王族の方々に出すようなものではないので気にしないでください」

「えー、ケビンのところで食べる料理やお菓子は本当に美味しいよ。この前、ここの料理人に作ってもらったんだけどなんとなく違ったんだ。ケビン、いつでも食べられるように作り方を教えて欲しいの」

 うちの料理長を連れてくればよかったよ。でも、料理人にもプライドが、特に王宮で働く料理人はプライドが高いから伯爵家の料理人に教わるなんてと思う人もいるだろう。

「薄力粉とオリーブオイルもしくは油、塩と水でトルティーヤの皮を作ります。具材は挽肉を炒めたものや、鶏肉を茹でたもの、あとはお野菜を千切りにしたもの、なんでも大丈夫です。味付けは僕がしますので曽於まで用意していただけますか」

 料理を刻んだりするのはお願いした。ちびっ子がいるので細かくしてもらった。
 
 俺は東地域でもらったエビでエビマヨを作ったり、シーフード、ソーセージ、チーズ、マヨネーズ、チリコンカンやサルサソースもどき、まだタバスコを作っていないから唐辛子でもどきを作ったのだ。

「ケビン様、これはなんですか?」

 シーフードを指していた。エビ以外は知らないかな?

「これはね東地域に行った時に獲ってきたエビ、イカ、タコだよ。他にも魚はあるけど、今回はこれら。美味しいから食べてみて。味見してみて。エビマヨ、美味しいよ。これは辛いソースだよ。口の中がヒーってしちゃうよ。ソーセージは知っているよね?これはひき肉を炒めたもの。みんな、この皮とこれらを巻いて食べるのがトルティーヤだよ。料理人さん達も一緒に食べよう!味が分からないと作れないからね。そうだあとは肉まんピザまんだ。ちびっ子達に手伝ってもらわないと」

 俺はちびっ子達、イザーク、レックスがいるテーブルで肉まんとピザまんの包み方を実演した。

「にぃに、ずぅーっとまえにとうさまたちとつくったにくまんとぴざまんだね。チーズがいっぱいのほうがいいなぁ」

「レオン、料理長、みなさん、子供達の補佐をお願いしたいです。こうやってパンだねを広げてその中にこの味付けした肉を入れてください。赤い方にはこのチーズを入れて、そしてここをぎゅっと具が溢れないように包んでください。できたら蒸し器で蒸します。これが道具です」

 俺はマジックバッグから蒸し器を出した。かなり驚かれてしまった。

「ジュリ、できそう?」

「うん!できるよ、ほら!」

 惜しい、包みが甘い。そこはそっと料理人達が手直ししてくれた。ありがたい。

 みんな真剣に包むことをしていた。そうだ、クッキーもこのままやってもらおう。生地は寝かせてマジックバッグにしまってある。

「ジュリ、みんな今度はクッキー作ろう。こうやって伸ばしたらこの型で形にして欲しいんだ」

 これはオズワルドさんに星、丸、四角、四葉のクローバー風、お花の型を作ってもらったのだ。料理人達に頼んでちびっ子の補佐してもらった。イザークとレックスも楽しんで作っている。慣れてくると自分の兄弟を手伝って楽しんでいた。

「にぃに、おはなのくっきーができるの?かわいい。こんどドラゴンさんのかたちがいいなぁ」

 いや、それは難しいのではないか?でも言えない。

「そうだね、オズワルドさんに色々な形を作ってもらおう」

「うん!」

 かわいいぞ、ジュリ。他の子達も一生懸命に作っていた。

「ケビン、何しているのだ!どこにいるかと思ったらなぜ厨房に」

 あちゃー、兄様達がきてしまったよ。

「えーと、調理実習の時間です」

 なんだよ、その調理実習の時間って。わけわかんないだろうなぁ。キョトンとされているよ。

「みんなで作る喜びを分かち合う時間です。自分でやることの喜びを知ってもらおうと?かな?」

 胡散臭い目で見られている。

「あははは、ケビン、レオンハルトが言ったのであろう。この前一緒に作ったのだが、ケビンのところで食べたものとなんとなく違うのだよ。だからうちの料理人に教えてほしくてこんなことを言ったのだろう」

「兄上、やっぱりケビンの料理は美味しいよ。味と肉まんのふわふわ感が違うんだよ!」

 レオン?もう食べたのか!口の周りにマヨネーズがついているよ。

「レオンハルト、みんなで一緒に食べなければダメじゃないか!口にマヨネーズがついているよ!」

「これは味見だよ!」

 ものはいいよう。

「どうだ、ネルド。今後作れそうか?」

 ネルドさんというのか。

「味は覚えました。それに近く、いえ、これより美味しく作れるようにします。しかしこの辛いソースは分かりません。この辛いソースはクセになります。ケビン様、恥を忍んでお願いいたします。レシピを教えていただきたいです」

「うちの料理長に教わるのはダメ?プライドがあるのかな?うちの料理長は美味しく作るんだよ」

「まだトーマス様がいらっしゃいますか?メルシー様のご結婚の時に王宮料理人を辞してメルシー様に付いていきましたから」

 えっ!そうなの?料理長、王宮の料理人だったの?えーーー!

「確かケンドリック様がご配慮したと思います」

 兄様達もびっくりしていた。貧乏でも少ない食材で栄養のある料理を作れるとは思っていたがケンおじちゃんのそんな配慮があったなんて知らなかった。

「トーマス様に教わりたいです。よろしくお願いします」

 ネルドさんが頭を下げている。やめて、うちに来てくれないかなあ。そうすれば再会と料理のレシピを教えられるよね。

「今度うちに遊びに来てください。いろいろ料理を作りましょう。頭を上げて欲しいです」

「あら、私が連れてきてあげるわ、さぁ行くわよ、ケビン」

 えー、クルさん、なぜすぐ行くの?

 それからさっと行って、さっと連れて帰ってきた俺達。それからうちの料理長トーマスと副料理長ランドル兄弟を連れて戻ってきたのだ。単なる自分の好きなものを食べたいだけじゃないか。ここでは遠慮して言えなかったのよ、これで作ってもらえるわと言っている。もう食いしん坊め!

 料理長とネルドさんと再会を喜んでいた。それからはいろんな料理を教えていた。

 結局兄様達も一緒に作り兄弟助け合い、笑い合いながら作った。食べるのは厨房ではなく部屋に戻った。厨房では食べられないよね。

 部屋に戻り、トルティーヤを自分で包んで食べるという初めての試みを実施。ちびっ子達は兄弟達にこれとこれを入れて包んでとお願いして楽しく食べていた。ちびっ子達の口の周りにソースがついているのを拭き取る兄達。甲斐甲斐しく世話をしている。ありがとと言って食べる弟達にメロメロだ。

 そして兄達はなぜかサルサソースにハマっていた。特に隣国のフィルズ様はお気に入りになっていたようだ。そしてフィルズ様宅の料理人がうちにくる?アルバート様が王宮でしようとなったのはいうまでもない。

 で?で?料理人さんは何処にいらっしゃいますか?当然隣国に、え?どうするの?

「そんなの私がいればあっという間よ」

 いえいえ、怖いからやめようよ、クルさん。転移門とかできないの?どこでも扉はできないの?これは保護者相談案件です!俺は怖いから無理です!いくら俺でもそこは強く拒否するよ。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!

naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。 そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。 シオンの受難は続く。 ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。 あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。

恋人が聖女のものになりました

キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」 聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。 それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。 聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。 多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。 ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……? 慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。 従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。 菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。 小説家になろうさんでも投稿します。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

わたし、不正なんて一切しておりませんけど!!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
書類偽装の罪でヒーローに断罪されるはずの侍女に転生したことに就職初日に気がついた!断罪なんてされてたまるか!!!

処理中です...