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第2話 幸せの日々
あれから3年、17歳になり、ルルーナ師匠の元で薬師として、生活していた。時々、医者のドリル先生に看護の手伝いを依頼されれば、診療所に赴く、そんな毎日を過ごしていた。
「ルルーナ師匠、薬草をとってきました。」
「ご苦労様、使うので、そこの水に浸しておいてちょうだい」
「今日は、魚が大量だったみたいなので、安かったですよ。今お昼作りますね」
「リリの料理は美味しいから、私は他の場所には行きたくないよ。出張も遠征もしたくない」
「何言っているのですか、師匠。マジックバックに料理をいっぱい詰めているじゃないですか。マジックバック持っていけば大丈夫です」
「何だい、リリ、私を追い出したいのかい」
「師匠、そんなこと言ってないですよ。ほらほらご飯食べましょう」
「リリ、今度のポーション多めに作っておくれ。それに、ハイポーションも多めに頼む。お前の作るポーションはすごい効くと評判だ。お前が作ったと言えないのが残念なのだが」
「いいのです、私が作ったと言いたくないのです。連行されて、強制的に作るのは嫌ですから。、あー怖い怖い」
「まったく、それはどこからの情報だい、そんなのあるわけないだろう」
いや、ラノベで、ドナドナされる話を聞くぞ。静かーに過ごしていたほうが無難。
ルルーナ師匠を盾にして、人身御供?として、私は裏方に徹する。これが1番。処世術よ。
この街は海に面した土地。気候も良くて住みやすいところである。領主さまであるキャノール辺境伯が治めるこの土地は活気がある。台風のような暴風雨になることはあるが、備えがあるので大きな被害はないということだ。いい街だなぁ。
時々キャノール辺境伯が魔獣の討伐に向けて出征する時にポーションが大量に必要になることがあり、ルルーナ師匠も同行する時がある。今度の遠征もルルーナ師匠は同行するらしい。
今日はハイポーションを作るための少し遠めにある薬草を採取に来た際、異様な光景に出会した。
「な、なにこれ。人が倒れている」
争った形跡と、人が血だらけで倒れていた。息のある人を探し出し、止血し、ポーションを飲ませ、魔法鳥で応援を頼んだ。
しばらくして、ルルーナ師匠とドリル先生、冒険者たちが来て、生存者の治療と亡くなった方の移動をした。
生存者は1人。亡くなった方々は、この人を守るために戦ったのだろう。
数日が経った。
「ン?こ、ここは?」
しゃがれた小さな声が聞こえた。
「お目覚めになられましたか?喉乾きましたよね。今、お水お持ちします」
「ここはどこなのだ。私はいったい??」
あの女の子は誰だ?ここはどこだ?私は、なぜここにいる?全く記憶がない。
私は誰だ⁉︎
「お水持ってきました。傷の方はポーションでだいぶ良くなりました。ゆっくり起き上がれますか」
介添いし、飲めるぐらいに体を起こした。
「す、すまない。ありがとう。ここはどこなのだ」
「キャノール辺境伯領のドレスデンという街です」
「キャノール?ドレスデン?なぜ私はここにいるのだろう?」
「大丈夫ですか。切り傷から毒が体に回ってしまっていたので、ポーションでなんとか直しました。まだ、体調が優れないと思うので無理しないでくださいね」
「どうだい、坊ちゃんの容態は」
「今、目が覚めました」
「後遺症などなさそうだね。ところで、あんた、誰だい?こんなところに刺客に狙われるような身分かい?護衛したものたちはみんな死んだよ」
「ちょ,ちょっと師匠。まだ起きたばかりの人にそんなことを言うのは、辛いですよ」
「現実を早く受け止めた方がいいんだよ。で、あんたは誰だい?」
「私は、私は誰なのかわからないのだ。ここになぜいて、自分が誰なのかわからない」
「ふぅ、記憶喪失か。参ったね、こりゃ。まぁ、追い出しはしないから、ゆっくり休むといい。徐々に思い出していくだろう」
1ヶ月過ぎても、記憶を思い出すことはなかった。
体が動けるようになり、薬草採取を手伝いをしたり、街の手伝いをするようになった。
「名前がないのが不便なので、リリがつけてくれないか」
「え?私があなたの名前をつけるのですか?いやいや無理ですよ。師匠かキャノール辺境伯につけてもらいましょう。私には無理です」
「リリ、君につけて欲しいんだ。頼むよ」
「えー、うーん、うーん(前世、船の映画を、10回見ては泣いていた。レオ様が好きだったから、よし)レオナルドよ。愛称はレオよ、どう?」
「レオナルド?レオ。ふーん、やけるな。レオナルドというのが好きなんだ」
何だ、このタラシ的言い方は。あぶないあぶない。師匠にも素性がわからない男だから、本気にするなと言われている。いつどこで、記憶が戻り捨てられるぞと。
そりゃそうだ、記憶をなくした男だ、と言い聞かせているが、トキメキもある。イケメンに耐性がない。困ったもんだ。
「さぁ、レオ、薬草もいっぱい摘んだので帰りましょう」
「ああ、荷物持つよ」
はぁ、さりげなく荷物を持ってくれたり、意識してしまう。ダメだダメだ。この気持ちは封印しないと、いつかはいなくなる人だ。
「ただいま、師匠、ご飯に作るね。そうだ、レオに名前をつけたの」
「名前だって?レオナルドかい?ふーん。レオだね。今後そう呼ぶよ」
「名無しでは、おいとか、そこのお前としか呼ばれないから、名前をつけてもらったのだ。これからレオナルド、レオと呼んでほしい」
「まったく、ふぅ、レオ、お前はこれからどうしたい。お前の素性を知るためには王都にでも行かないとわからないかもしれない。どうする。早めに行った方がいいのではないか」
「いや、俺はここで生活していくよ。王都へは行かない」
「そうかい。じゃ、ここで、みっちりと働いてくれ」
「そうするよ」
私が料理を作っている間に、話は終わったみたいだが、何を話していることやら。
「ご飯できたよ」
「「あいよー(はい)」」
ルルーナ師匠がキャノール辺境伯の遠征のお供をするために長期不在になる。魔獣討伐である。半年に1回の割合で、遠征について行く。
「お前、私がいないことをいいことに、リリに絶対手を出すなよ。わかっているか?
お前は大の大人だ。記憶をなくしている素性のわからない男だ。そこを十分理解し、手を出すなよ。最近のお前はリリに近すぎる」
「十分わかっているよ。俺は記憶をなくして、自分でもわからない男だ。犯罪者かもしれないし、よくわからない。そんな状況でリリを巻き込みたいないのは俺だってわかっている」
「わかっていればいいんだよ。私がいない間、留守頼むぞ」
「了解」
師匠が遠征に行ってからも日常は続いていく。
「リリ、この薬草こっちに置いておくよ。ポーションは向こうか」
「ありがとう。なんだかんだ師匠がいなくて、バタバタしてしまうわね」
「いや、リリは良く頑張っているよ」
「ありがとう。このポーションをギルドに持っていって欲しいの」
「わかった。これから行ってくる」
「街に行ったら、魚と香辛料を買ってきて欲しいの。メモ置いておくわね」
「了解」
ガタッガタッ。強い風が吹いてきた。空を見上げると、雲行きが怪しい。
しばらくすると、雷と雨が降ってきた。
「レオ、大丈夫かしら。街で待機していてくれればありがたいけど。大丈夫かしら」
ピカッ、バリバリバリと近くに雷が落ちた音がする。
私は前世の空襲を思い出してしまっていた。爆音と火災、火の手が親子を襲う。助けなければ、しかし爆撃が続き、逃げるしかなかった。泣き叫ぶ子どもの声、赤ちゃんの鳴き声、逃げ惑う人たちの怒号、助けてと呻く声。あぁ、どうして、この世には戦争があるのだろう。平和ならあの子たちも明るく、楽しく笑い合う生活ができているのにと、胸が苦しくなる。
うずくまってしまい、泣いていた。
「リリ?リリ、大丈夫か?
「レオ?レオ」
レオにしがみつき泣いた。
「ごめんなさい。レオ、この雨と雷でよく帰ってきたわね。街で避難していたものよかったのに」
「リリが心配で馬で帰ってきた」
「ありがとう。レオ、濡れているじゃないの?早くお風呂に入って着替えて。その間にスープ温めておくわ」
「ああ、そうするよ」
お互い抱き合っていたことを意識していたが、体を離した。
熱った頬を押さえ、深呼吸をし気持ちを落ち着かせた。
まだ、嵐は続いていた。
コンコンとドアを叩く音が聞こえた。
「リリ、大丈夫か。雷が怖いのではないか」
雷は怖くないけど、空爆を思い出すことが嫌なのだ。
「大丈夫です。あの時は思い出すことがあって」
レオに抱きしめられた。温かい。温もりが体全体に広がっていく。
「俺がリリを守っていくよ。愛している。リリ」
「レオ。私も愛している」
お互いぎゅっと抱きしめ合い、見つめ合い、そして、体が重なり合った。
朝日が目に入った。
体が重い。2人は愛し合った。
はぁ、記憶をなくした人と愛し合ってしまった。後悔はない。
隣を見ると、レオはいなかった。
ガチャ。
「リリ、起きたか。朝食を作ってきたよ。起き上がれるかな。食べさせてあげるよ」
雛のように、全て食べさせてもらっている。足腰力が入らないので、お風呂も一緒に入り、されるがままだった。
そしてベットに寝かされた。
「リリ、無理をさせてすまない。リリが可愛かったから、無理された。ごめん」
「フフフッ」
「何だよ、リリ。はぁ、可愛すぎる」
「な、なに言っているのよ」
「リリ、結婚しよう。以前の記憶はないが、今がある。リリ、愛している。この気持ちは本物だ。いま、こうして生きている。ルルーナはいないが、体が動けるようになったら教会へ行こう。ルルーナが帰ってきたら報告しよう」
「は、はい。私もレオを愛しています。あなたが誰であろうと愛していきます」
こうして私とレオナルドは結婚の宣誓を教会でした。街の人たちは祝福をしてくれた。街の人たちはウェディングドレスを貸してくれて、ブーケを作ってくれた。簡易な結婚式だったが、幸せだった。
幸せな時間が続き、妊娠した。レオはすごく喜び、より一層、大事にされた。重いものは持ってはいけないなど過保護である。
ルルーナ師匠はまだ帰ってこない。遠征が長引いている。手紙でレオと結婚し子供ができることを伝えた。お小言と共に祝福の手紙が来た。
そして出産。前世と今世初めての出産である。甥と姪は抱っこしたことがあるが、初めての出産と子育て。妹たちは出産がこんなに大変だったのかとしみじみ思った。
無事、男の子が生まれた。レオに似た紺色の髪色に私のアメジストの瞳。イケメンだ。かわいい。名前は、お母さまから、夭折した弟の名前を、いつかつけて欲しいと言われていたので、カイルと名付けた。
カイルを2人で育てていく。そんな幸せな日々だった。
「ルルーナ師匠、薬草をとってきました。」
「ご苦労様、使うので、そこの水に浸しておいてちょうだい」
「今日は、魚が大量だったみたいなので、安かったですよ。今お昼作りますね」
「リリの料理は美味しいから、私は他の場所には行きたくないよ。出張も遠征もしたくない」
「何言っているのですか、師匠。マジックバックに料理をいっぱい詰めているじゃないですか。マジックバック持っていけば大丈夫です」
「何だい、リリ、私を追い出したいのかい」
「師匠、そんなこと言ってないですよ。ほらほらご飯食べましょう」
「リリ、今度のポーション多めに作っておくれ。それに、ハイポーションも多めに頼む。お前の作るポーションはすごい効くと評判だ。お前が作ったと言えないのが残念なのだが」
「いいのです、私が作ったと言いたくないのです。連行されて、強制的に作るのは嫌ですから。、あー怖い怖い」
「まったく、それはどこからの情報だい、そんなのあるわけないだろう」
いや、ラノベで、ドナドナされる話を聞くぞ。静かーに過ごしていたほうが無難。
ルルーナ師匠を盾にして、人身御供?として、私は裏方に徹する。これが1番。処世術よ。
この街は海に面した土地。気候も良くて住みやすいところである。領主さまであるキャノール辺境伯が治めるこの土地は活気がある。台風のような暴風雨になることはあるが、備えがあるので大きな被害はないということだ。いい街だなぁ。
時々キャノール辺境伯が魔獣の討伐に向けて出征する時にポーションが大量に必要になることがあり、ルルーナ師匠も同行する時がある。今度の遠征もルルーナ師匠は同行するらしい。
今日はハイポーションを作るための少し遠めにある薬草を採取に来た際、異様な光景に出会した。
「な、なにこれ。人が倒れている」
争った形跡と、人が血だらけで倒れていた。息のある人を探し出し、止血し、ポーションを飲ませ、魔法鳥で応援を頼んだ。
しばらくして、ルルーナ師匠とドリル先生、冒険者たちが来て、生存者の治療と亡くなった方の移動をした。
生存者は1人。亡くなった方々は、この人を守るために戦ったのだろう。
数日が経った。
「ン?こ、ここは?」
しゃがれた小さな声が聞こえた。
「お目覚めになられましたか?喉乾きましたよね。今、お水お持ちします」
「ここはどこなのだ。私はいったい??」
あの女の子は誰だ?ここはどこだ?私は、なぜここにいる?全く記憶がない。
私は誰だ⁉︎
「お水持ってきました。傷の方はポーションでだいぶ良くなりました。ゆっくり起き上がれますか」
介添いし、飲めるぐらいに体を起こした。
「す、すまない。ありがとう。ここはどこなのだ」
「キャノール辺境伯領のドレスデンという街です」
「キャノール?ドレスデン?なぜ私はここにいるのだろう?」
「大丈夫ですか。切り傷から毒が体に回ってしまっていたので、ポーションでなんとか直しました。まだ、体調が優れないと思うので無理しないでくださいね」
「どうだい、坊ちゃんの容態は」
「今、目が覚めました」
「後遺症などなさそうだね。ところで、あんた、誰だい?こんなところに刺客に狙われるような身分かい?護衛したものたちはみんな死んだよ」
「ちょ,ちょっと師匠。まだ起きたばかりの人にそんなことを言うのは、辛いですよ」
「現実を早く受け止めた方がいいんだよ。で、あんたは誰だい?」
「私は、私は誰なのかわからないのだ。ここになぜいて、自分が誰なのかわからない」
「ふぅ、記憶喪失か。参ったね、こりゃ。まぁ、追い出しはしないから、ゆっくり休むといい。徐々に思い出していくだろう」
1ヶ月過ぎても、記憶を思い出すことはなかった。
体が動けるようになり、薬草採取を手伝いをしたり、街の手伝いをするようになった。
「名前がないのが不便なので、リリがつけてくれないか」
「え?私があなたの名前をつけるのですか?いやいや無理ですよ。師匠かキャノール辺境伯につけてもらいましょう。私には無理です」
「リリ、君につけて欲しいんだ。頼むよ」
「えー、うーん、うーん(前世、船の映画を、10回見ては泣いていた。レオ様が好きだったから、よし)レオナルドよ。愛称はレオよ、どう?」
「レオナルド?レオ。ふーん、やけるな。レオナルドというのが好きなんだ」
何だ、このタラシ的言い方は。あぶないあぶない。師匠にも素性がわからない男だから、本気にするなと言われている。いつどこで、記憶が戻り捨てられるぞと。
そりゃそうだ、記憶をなくした男だ、と言い聞かせているが、トキメキもある。イケメンに耐性がない。困ったもんだ。
「さぁ、レオ、薬草もいっぱい摘んだので帰りましょう」
「ああ、荷物持つよ」
はぁ、さりげなく荷物を持ってくれたり、意識してしまう。ダメだダメだ。この気持ちは封印しないと、いつかはいなくなる人だ。
「ただいま、師匠、ご飯に作るね。そうだ、レオに名前をつけたの」
「名前だって?レオナルドかい?ふーん。レオだね。今後そう呼ぶよ」
「名無しでは、おいとか、そこのお前としか呼ばれないから、名前をつけてもらったのだ。これからレオナルド、レオと呼んでほしい」
「まったく、ふぅ、レオ、お前はこれからどうしたい。お前の素性を知るためには王都にでも行かないとわからないかもしれない。どうする。早めに行った方がいいのではないか」
「いや、俺はここで生活していくよ。王都へは行かない」
「そうかい。じゃ、ここで、みっちりと働いてくれ」
「そうするよ」
私が料理を作っている間に、話は終わったみたいだが、何を話していることやら。
「ご飯できたよ」
「「あいよー(はい)」」
ルルーナ師匠がキャノール辺境伯の遠征のお供をするために長期不在になる。魔獣討伐である。半年に1回の割合で、遠征について行く。
「お前、私がいないことをいいことに、リリに絶対手を出すなよ。わかっているか?
お前は大の大人だ。記憶をなくしている素性のわからない男だ。そこを十分理解し、手を出すなよ。最近のお前はリリに近すぎる」
「十分わかっているよ。俺は記憶をなくして、自分でもわからない男だ。犯罪者かもしれないし、よくわからない。そんな状況でリリを巻き込みたいないのは俺だってわかっている」
「わかっていればいいんだよ。私がいない間、留守頼むぞ」
「了解」
師匠が遠征に行ってからも日常は続いていく。
「リリ、この薬草こっちに置いておくよ。ポーションは向こうか」
「ありがとう。なんだかんだ師匠がいなくて、バタバタしてしまうわね」
「いや、リリは良く頑張っているよ」
「ありがとう。このポーションをギルドに持っていって欲しいの」
「わかった。これから行ってくる」
「街に行ったら、魚と香辛料を買ってきて欲しいの。メモ置いておくわね」
「了解」
ガタッガタッ。強い風が吹いてきた。空を見上げると、雲行きが怪しい。
しばらくすると、雷と雨が降ってきた。
「レオ、大丈夫かしら。街で待機していてくれればありがたいけど。大丈夫かしら」
ピカッ、バリバリバリと近くに雷が落ちた音がする。
私は前世の空襲を思い出してしまっていた。爆音と火災、火の手が親子を襲う。助けなければ、しかし爆撃が続き、逃げるしかなかった。泣き叫ぶ子どもの声、赤ちゃんの鳴き声、逃げ惑う人たちの怒号、助けてと呻く声。あぁ、どうして、この世には戦争があるのだろう。平和ならあの子たちも明るく、楽しく笑い合う生活ができているのにと、胸が苦しくなる。
うずくまってしまい、泣いていた。
「リリ?リリ、大丈夫か?
「レオ?レオ」
レオにしがみつき泣いた。
「ごめんなさい。レオ、この雨と雷でよく帰ってきたわね。街で避難していたものよかったのに」
「リリが心配で馬で帰ってきた」
「ありがとう。レオ、濡れているじゃないの?早くお風呂に入って着替えて。その間にスープ温めておくわ」
「ああ、そうするよ」
お互い抱き合っていたことを意識していたが、体を離した。
熱った頬を押さえ、深呼吸をし気持ちを落ち着かせた。
まだ、嵐は続いていた。
コンコンとドアを叩く音が聞こえた。
「リリ、大丈夫か。雷が怖いのではないか」
雷は怖くないけど、空爆を思い出すことが嫌なのだ。
「大丈夫です。あの時は思い出すことがあって」
レオに抱きしめられた。温かい。温もりが体全体に広がっていく。
「俺がリリを守っていくよ。愛している。リリ」
「レオ。私も愛している」
お互いぎゅっと抱きしめ合い、見つめ合い、そして、体が重なり合った。
朝日が目に入った。
体が重い。2人は愛し合った。
はぁ、記憶をなくした人と愛し合ってしまった。後悔はない。
隣を見ると、レオはいなかった。
ガチャ。
「リリ、起きたか。朝食を作ってきたよ。起き上がれるかな。食べさせてあげるよ」
雛のように、全て食べさせてもらっている。足腰力が入らないので、お風呂も一緒に入り、されるがままだった。
そしてベットに寝かされた。
「リリ、無理をさせてすまない。リリが可愛かったから、無理された。ごめん」
「フフフッ」
「何だよ、リリ。はぁ、可愛すぎる」
「な、なに言っているのよ」
「リリ、結婚しよう。以前の記憶はないが、今がある。リリ、愛している。この気持ちは本物だ。いま、こうして生きている。ルルーナはいないが、体が動けるようになったら教会へ行こう。ルルーナが帰ってきたら報告しよう」
「は、はい。私もレオを愛しています。あなたが誰であろうと愛していきます」
こうして私とレオナルドは結婚の宣誓を教会でした。街の人たちは祝福をしてくれた。街の人たちはウェディングドレスを貸してくれて、ブーケを作ってくれた。簡易な結婚式だったが、幸せだった。
幸せな時間が続き、妊娠した。レオはすごく喜び、より一層、大事にされた。重いものは持ってはいけないなど過保護である。
ルルーナ師匠はまだ帰ってこない。遠征が長引いている。手紙でレオと結婚し子供ができることを伝えた。お小言と共に祝福の手紙が来た。
そして出産。前世と今世初めての出産である。甥と姪は抱っこしたことがあるが、初めての出産と子育て。妹たちは出産がこんなに大変だったのかとしみじみ思った。
無事、男の子が生まれた。レオに似た紺色の髪色に私のアメジストの瞳。イケメンだ。かわいい。名前は、お母さまから、夭折した弟の名前を、いつかつけて欲しいと言われていたので、カイルと名付けた。
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