ノエル

ひなた

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砂漠の国

31話 王城会議

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王都の中心にそびえる白い城。
その壁も、ところどころ砲撃の跡で黒く焦げていた。

ノエルたちは、王城の謁見の間へと通された。
石畳の上を歩くたび、鎧の音が虚ろに響く。
壁に掲げられた王国の紋章──
星と月を抱く風の輪。それも、片端が焼け落ちていた。

玉座の前に立つのは、ナディア提督と数名の将校。
その中心に、金の装束を纏った中年の男──
ザハル王国宰相、カリム=アザールの姿があった。

「義勇兵ノエル・アリア・ガルド、ヴァルン。
 ……東門防衛戦における奮戦、感謝する。」

低く響く声に、四人は膝をついた。

カリムはゆっくりと歩み寄り、
焦げ跡の残る地図を指先でなぞった。

「王都は辛くも持ちこたえたが、敵の兵力は健在。
 紅蓮の兵──あれは、ただの兵士ではない。」

「帝国の兵が、どうしてあんな……」
アリアの声が震える。

カリムは目を細めた。
「報告では、彼らの体には『魔術による封印構文』が刻まれていたという。
 ……つまり、人為的に造られた“魔の器”だ。」

室内の空気が、重く沈む。

ノエルが拳を握る。
「そんな……人を、兵器に……?」

「帝国の研究所が関わっていると考えられている。
 北東にある“カノン遺跡”──
 そこが、紅蓮の兵の始まりだという情報がある。」

カリムの言葉に、ナディア提督が一歩前に出る。
「よって、調査隊を編成する。
 ……ノエル、アリア、ガルド、ヴァルン。
 君たちに、その任を託す。」

「俺たちが、ですか?」
ノエルが驚く。

ナディアは静かに頷く。
「王都を守った四人の名は、兵たちの間で知られている。
 君たちの存在は、“希望の象徴”だ。
 民が希望を失えば、この国は終わる。」

ガルドが腕を組む。
「つまり、死ぬ気で行けってことか。」
「……そうだ。」
提督の瞳はまっすぐだった。

アリアが一歩進み出る。
「行きます。……見過ごせません。」
ノエルもその隣で頷いた。
「僕たちが見たものを、確かめたい。」

カリムが静かに微笑む。
「よく言った。報酬も護衛も出そう。
 ……ただし、気をつけろ。
 “カノン”には、かつて帝国と契約した者たちの影が残っている。」

城を出ると、夕陽が王都の瓦礫を照らしていた。
遠くでは修道士たちが祈りを捧げ、子どもたちが瓦礫の間で花を植えている。
その光景を見て、ノエルは小さく息をついた。

「……まだ終わってないね。」
「終わらせなきゃならねぇ。」
ガルドが低く言う。

アリアは空を見上げた。
「また、長い旅になりそう……。」

「風が導いてくれるさ。」
ヴァルンが静かに言った。

その声は穏やかだった。
けれど、ノエルは気づいていた。
その袖口の下、布の内側にうっすらと赤い光が走っていたことに。
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