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シルヴェイン王国
45話 湖上都市リシェル
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リシェルの街が見えたのは、夜明けが灰色に染まる頃だった。
嵐の名残が森を濡らし、霧の中で風が音もなく木々を揺らしている。
街の外壁は一部が崩れ、屋根は吹き飛び、
道には折れた枝と瓦礫が散乱していた。
「……想像以上だな。」
ガルドが唸るように言った。
ノエルは荷車を止め、濡れた石畳を見つめた。
「嵐の通り道だ。森の奥から来た風が、そのまま街を薙ぎ払ったみたいだ。」
アリアが空を仰ぐ。
雲が南北にねじれ、まるで天が引き裂かれているようだった。
「風の流れが乱れてる……。これ、自然の現象じゃない。」
ギルド支部は街の中央にあったが、
建物の外壁には補修の跡が無数に走っていた。
中に入ると、職員と冒険者たちの声が飛び交い、
現場は混乱というより緊張に包まれていた。
カウンターの奥にいた中年の職員が、ノエルたちを見るなり安堵の息を吐く。
「フェリアから来た護衛隊だな? 無事で何よりだ。
ここに着くまでの道で何か変わった風を感じなかったか?」
ノエルは少し考え、頷く。
「風が……まるで意志を持ってるようだった。嵐の向きが一定じゃない。」
「やっぱりか。」職員は小さく舌打ちをした。
「王都からも調査隊が来てるんだが、
風の乱れが広範囲すぎて原因を特定できないらしい。
森に入った部隊もいるが、
風が反転する現象に巻き込まれて帰還できなかった者もいる。」
「反転……?」
アリアが息をのむ。
「北の森の奥、リオンの谷でな。
夜になると風が逆流する。
あそこは昔、精霊を祀った場所だが、
今じゃ誰も近づかねぇ。」
ガルドが腕を組み、低く唸った。
「王都の調査が難航してるなら、余計に放っとけねぇな。」
ノエルは少しの沈黙のあと、静かに口を開いた。
「……俺たちで確かめよう。」
アリアが心配そうに眉を寄せる。
「危険すぎるかもしれないわ。」
「分かってる。でも、放っておけばこのまま被害は広がる。」
ノエルの声は落ち着いていた。
ガルドがにやりと笑う。
「相変わらず真っ直ぐだな。――いいぜ、付き合うよ。」
ノエルは軽く息をついて微笑んだ。
「ありがとう。」
その瞬間、外から強い突風が吹き込んだ。
窓が鳴り、紙が宙を舞う。
アリアが外を見やる。
「……風が呼んでるみたい。」
ノエルはその言葉に答えず、
ただ北の空を見上げた。
そこには、黒い雲が渦を巻いていた。
嵐の名残が森を濡らし、霧の中で風が音もなく木々を揺らしている。
街の外壁は一部が崩れ、屋根は吹き飛び、
道には折れた枝と瓦礫が散乱していた。
「……想像以上だな。」
ガルドが唸るように言った。
ノエルは荷車を止め、濡れた石畳を見つめた。
「嵐の通り道だ。森の奥から来た風が、そのまま街を薙ぎ払ったみたいだ。」
アリアが空を仰ぐ。
雲が南北にねじれ、まるで天が引き裂かれているようだった。
「風の流れが乱れてる……。これ、自然の現象じゃない。」
ギルド支部は街の中央にあったが、
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中に入ると、職員と冒険者たちの声が飛び交い、
現場は混乱というより緊張に包まれていた。
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「フェリアから来た護衛隊だな? 無事で何よりだ。
ここに着くまでの道で何か変わった風を感じなかったか?」
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「風が……まるで意志を持ってるようだった。嵐の向きが一定じゃない。」
「やっぱりか。」職員は小さく舌打ちをした。
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風の乱れが広範囲すぎて原因を特定できないらしい。
森に入った部隊もいるが、
風が反転する現象に巻き込まれて帰還できなかった者もいる。」
「反転……?」
アリアが息をのむ。
「北の森の奥、リオンの谷でな。
夜になると風が逆流する。
あそこは昔、精霊を祀った場所だが、
今じゃ誰も近づかねぇ。」
ガルドが腕を組み、低く唸った。
「王都の調査が難航してるなら、余計に放っとけねぇな。」
ノエルは少しの沈黙のあと、静かに口を開いた。
「……俺たちで確かめよう。」
アリアが心配そうに眉を寄せる。
「危険すぎるかもしれないわ。」
「分かってる。でも、放っておけばこのまま被害は広がる。」
ノエルの声は落ち着いていた。
ガルドがにやりと笑う。
「相変わらず真っ直ぐだな。――いいぜ、付き合うよ。」
ノエルは軽く息をついて微笑んだ。
「ありがとう。」
その瞬間、外から強い突風が吹き込んだ。
窓が鳴り、紙が宙を舞う。
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「……風が呼んでるみたい。」
ノエルはその言葉に答えず、
ただ北の空を見上げた。
そこには、黒い雲が渦を巻いていた。
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