騎士調教~淫獄に堕ちた無垢の成れ果て~

ビビアン

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9・来訪者

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この部屋は何なのだろう、とリオは蕩けきった頭の片隅で思う。

豪奢な寝台やおぞましい性具、妙に使い込まれた拘束具などが揃えられている奇妙な地下牢。今のリオの居場所であり調教場であり、処刑場。
リオのために用意した場所なのかと思いきや、アーネストの口ぶりからするとだいぶ前からこの部屋自体はある。ならば、一体誰が、どんな目的で、こんな部屋を設えたというのだろうか。

窓がないため日夜の区別がつかず、ここに閉じ込められてから何日過ぎたのかすら判然としない。扉の鍵穴から外が覗けないかと試したことはあったが、魔術で厳重に守られているせいか一筋の光すら見られなかった。

いつしかリオは、ここが隔絶された異世界のようなものだと認識するようになっていった。

王子としての幸福な日々とも、騎士としての栄えある未来とも切り離され、一介の虜囚として――

「……っ、ふ、んぁっ……ぁああぁっ」

卑猥な行為に耽るよう強いられる、淫らな悪夢のような小世界。

今もリオは全身に触手をまとわりつかせながら、鞍の上で一心不乱に腰を振っていた。例によって、アーネストはいない。いつもなら蠢く触手に身体を弄ばれながら身体を休め、眠りを貪る時間なのだが。

「ひっ、あっ、イく、またイくぅうう……!」

鞍の上で背中をのけぞらせて絶頂を極める。吐き出した精液を受け止めたのは触手だった。
リオのペニスには筒状の触手がかぶさっている。以前凄まじい責め苦を仕掛けて来たものとはまた違い、透けるほど薄い皮膜上の筒だ。性的にいたぶってくることもなければ勃起を阻害することもなく、ただ、薄い皮膜の内部にある小さな空洞にリオが吐き出した精液が余すところなく貯められている。いま、その空洞には十数回分もの精液がたまり、たぷたぷと水袋のようになって揺れていた。

リオは鞍の上でぴくぴくと痙攣している。彼の腰には触手が巻き付き、勝手に鞍から降りないようリオの行動を戒めていた。また、両手には触手とは別に革製のミトンが被せられ、その手首部分にも触手が巻き付いてミトンを脱ぐことが出来ないようにしている。

リオが後ろでイくことを覚えた日から、日々の調教内容が変わった。
触手による拡張は、性具付きの鞍を使った自慰行為にとって代わり、アーネスト不在時も積極的に肛門自慰に励むよう命じられた。後ろの穴で気持ちよくなる分には何度射精しても構わない。けれど決してペニスは弄ってはならない。リオがどさくさに紛れて手淫に耽らないようにミトンで両手を封じられた、というわけだ。

(ああ……わたしが、どんどんおかしくなっていく……)

かつては自分の性器を触ることすらできなかった。それが今や、誰もいない空間でも淫らな言葉を口走りながら腰を振り、まるで失禁しているかのように白濁液を吐き続けている。
もはや、尻に何かを入れつつ射精していないと落ち着かない身体になりつつあった。

(あにうえさま……あにうえさまぁ……)

壊れつつあるリオが何とか踏みとどまっているのは、異母兄たちの記憶があるからだ。あにうえさま、と心の中で呼ぶだけで、リオの中にある理性の炎が少しずつ回復する。
絶頂直後の気怠い時間、神へ祈りを捧げるような気持ちで、どこかに居るはずの異母兄たちを想った。

「どうか、ごぶじで……あにうえさまたち……」

掠れた声で小さく呟くと、地下牢唯一の扉が開く気配がした。
アーネストが来たのだろう。今日もまた、この身体を作り変えられる。

そう思ってリオは扉の方を見遣り――そして、驚愕に目を見開いた。

確かに扉を開けたのはアーネストだった。闇色の髪と血色の瞳をもった、背の高い黒衣の魔術師。
だが、今日は、彼の他にも人がいた。見知らぬ男たちが、三人ほど。身嗜みはそれなりに整っているが宝飾品などは一切身に着けていないあたり、王侯貴族といったわけではなさそうだ。

だとすれば……。

(まさか……革命軍の人間)

リオの全身から血の気が引いていった。


******


「やだっ! やめろ、アーネスト! わたしを放せぇっ!」

「……このように、まだ礼儀作法は身についておりませんが、最低限の開発は済んでおります」

「ふむ、なるほど」

リオは全裸にミトンだけという格好のまま触手に全身を拘束され、見知らぬ男たちの前に差し出された。彼らの目の高さまで持ち上げられてM字に開脚し、熟れ切った孔と射精しすぎて赤く腫れたペニスを余すところなく見せさせられている。

男たちが家畜を品評するかのような無遠慮な目つきでリオの秘部を確認し、すぐ近くに立つアーネストはリオの身体について慇懃に解説をしている。そんな状況だ。

「大抵の逸物は難なく咥えられる程度には拡張し、挿入による快楽も感じられるようになりました。口淫などの奉仕行為も多少は。ただ、他の場所はまだ開発しておりませんし、大掛かりな肉体改造も施しておりません」

「上半身には何もしていないのかね?」

「はい、残念ながら手付かずです。……如何しますか。もう例の術式を仕込んで『表』へ移しましょうか」

何の話だ、とリオは叫ぼうとしたが、それよりも一瞬早く触手が口の中に突っ込んできた。

「おごっ……!」

とっさに顔を上向かせ、口から喉にかけてが真っすぐな空洞になるよう調整する。そこを極太触手が遠慮なく入り込み、喉奥に先端をこすりつけるような形で小刻みに出入りし始めた。
反射的に込み上げる吐き気や息苦しさと戦いながら、リオは喉を可能な限り拡げてぬるつく触手を受け入れる。

「おっ……あっ……ぁがっ……!」

下半身にも細い触手が何本も伸びてきて、尻の穴に潜り込み、くぱあと拡げて見せた。腹のかなり奥の方まで外気が入り込む。
リオの目に生理的な涙が浮かんだ。

(……くそっ)

このまま見知らぬ男たちに犯されるのか……と思いきや、そうではなかった。男たちはなにやらひそひそと言葉を交わしたかと思うと、アーネストに向かって言った。

「いいや。まだ『表』行きの時期ではない。コレはもっと作り変えてから御披露目するべきだろう。引き続きアーネスト君の采配で進めてくれたまえ。これらの件に関しては全面的に君を信頼している」

「……恐悦でございます。承りました」

その後、男たちとアーネストは小さな声で話し合っていたが、リオの耳には届かなかった。
触手の責めが過激化したためだ。口だけではなく後穴にも極太触手が入り込み、ぐっぽぐっぽと単調ながらも激しい往復運動を開始する。射精しようと膨らんだペニスにも細めの触手がまとわりつき、珍しく亀頭や裏筋を刺激し始めた。他にも、胸元あたりに何本か這っているようだったが、口と尻とペニスの刺激が強すぎてほどんど気にならなかった。

リオの頭が真っ白になっていく。こんな時でも、あっさり快楽に呑まれてしまう身体になったのだ。

「……では、そういうことで」

アーネストが男たちに向かって低い声で言い、見知らぬ男たちが地下牢から出たあたりで、リオはくぐもった悲鳴を上げながら透明に近い精液を吐き出した。

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