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刑務所の1日編
午前労役①
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食事を終え、支給されている錠剤を飲み干す。片づけをして食堂を出たら、ちょうど時報が鳴った。
『八時です。午前作業の時間が始まりました。本日は個人労役の日です。生活棟の設備を利用し、搾乳や作業に励みましょう』
通常の刑務所であれば、整列して工場とかに行かされるやつだ。雄っぱい刑務所にも勿論この手のスケジュールが毎日組み込まれている。
ただし、事実上の自由時間だ。生活棟と一般棟の中だったらどこにいて何をしていてもいい。まぁ、どこにいようが、左手首の金属カフスと随所に巡回している看守たちの肉眼監視によって常に居場所を把握されているが。
無言を強いられていた食堂から一歩外出た途端、囚人たちはまたざわざわとしはじめた。俺も御多分に漏れず、あーとかうーとか言って首や肩をぽきぽき鳴らしながら、一歩遅れて食堂から出てきた部屋長のユウを振り返った。
「今日も個人労役なんだな」
「そうだねぇ。先月と今月は個人ばっかりだ。来月からは集団労役も増えると思うけど」
ユウはおっとりと言いながら、食堂前の群衆を離れて他のフロアに向かう。俺もなんとなくその後を追った。
監視カメラだらけの螺旋階段を登って、上の階へ。階段を登りきると、短い廊下なんだか長細い広場なんだかわからない小スペースがあり、一番奥には一枚のスライド扉があった。扉の横には認証パネルがあり、そこに金属カフスないしは雄っぱいをかざすと個別認証される仕組みになっている。一般棟の中にある扉は基本的に全部これと同じ規格だ。余談だが、看守は雄っぱいじゃなくて指紋認証で開くらしい。
この階は、ワンフロア丸ごと『作業室』と言われる場所になっており、本来ならば囚人たちはここに集まるべきなんだろう。だが、ユウと俺以外の人影はない。みんな食堂前で立ち話しているか、他の設備の方へ行ってしまっている。
「あ、シコ。ポイントはこまめにチェックしていたほうがいいよ。いつの間にか警告なしでこっそり減点されていることもあるから」
「おー、そうだったそうだった」
扉横の認証パネルとはまた別に、壁に11インチくらいのサイズのタッチモニターが埋め込まれている。これもまた、生活棟の至る所に設置されている。まるでゲームのセーブポイントみたいに。
そこにユウが左手をかざすと、即座に認証されて彼の個別ページが開かれた。顔写真と雄っぱい写真と、現在のポイント数。
俺は小さく口笛を吹いた。
「2万ポイント強かぁ。さすがユウ」
「うーん……ちょっと減らされてるなあ。昨日、副看守長の前で粗相した時に減点されたのかも。まいったなぁ。僕、部屋にソファーを置きたくて頑張ってるんだけど、あれって一番小さいサイズでも5万ポイントするんだよね」
「高っ。俺からも何ポイントか出せねぇかな」
と言いつつ、俺も自分のカフスをかざす。ユウの個別ページが俺のページに切り替わった。
保有ポイント199。……幼児の小遣いか? ジュース一本買ったら終わりだ。
「……わーお。ごめんユウ。今の俺では力になれそうにない」
「新人なんだからそんなもんだって。むしろ母乳も出ないうちに三桁ポイント稼げるなんてすごいことだよ? シコは真面目でいい子だよ」
ユウからのフォローが入る。前職のせいだろうけど、慰め方がマジで保育士。そのうち頭とか撫でられそう。
『八時です。午前作業の時間が始まりました。本日は個人労役の日です。生活棟の設備を利用し、搾乳や作業に励みましょう』
通常の刑務所であれば、整列して工場とかに行かされるやつだ。雄っぱい刑務所にも勿論この手のスケジュールが毎日組み込まれている。
ただし、事実上の自由時間だ。生活棟と一般棟の中だったらどこにいて何をしていてもいい。まぁ、どこにいようが、左手首の金属カフスと随所に巡回している看守たちの肉眼監視によって常に居場所を把握されているが。
無言を強いられていた食堂から一歩外出た途端、囚人たちはまたざわざわとしはじめた。俺も御多分に漏れず、あーとかうーとか言って首や肩をぽきぽき鳴らしながら、一歩遅れて食堂から出てきた部屋長のユウを振り返った。
「今日も個人労役なんだな」
「そうだねぇ。先月と今月は個人ばっかりだ。来月からは集団労役も増えると思うけど」
ユウはおっとりと言いながら、食堂前の群衆を離れて他のフロアに向かう。俺もなんとなくその後を追った。
監視カメラだらけの螺旋階段を登って、上の階へ。階段を登りきると、短い廊下なんだか長細い広場なんだかわからない小スペースがあり、一番奥には一枚のスライド扉があった。扉の横には認証パネルがあり、そこに金属カフスないしは雄っぱいをかざすと個別認証される仕組みになっている。一般棟の中にある扉は基本的に全部これと同じ規格だ。余談だが、看守は雄っぱいじゃなくて指紋認証で開くらしい。
この階は、ワンフロア丸ごと『作業室』と言われる場所になっており、本来ならば囚人たちはここに集まるべきなんだろう。だが、ユウと俺以外の人影はない。みんな食堂前で立ち話しているか、他の設備の方へ行ってしまっている。
「あ、シコ。ポイントはこまめにチェックしていたほうがいいよ。いつの間にか警告なしでこっそり減点されていることもあるから」
「おー、そうだったそうだった」
扉横の認証パネルとはまた別に、壁に11インチくらいのサイズのタッチモニターが埋め込まれている。これもまた、生活棟の至る所に設置されている。まるでゲームのセーブポイントみたいに。
そこにユウが左手をかざすと、即座に認証されて彼の個別ページが開かれた。顔写真と雄っぱい写真と、現在のポイント数。
俺は小さく口笛を吹いた。
「2万ポイント強かぁ。さすがユウ」
「うーん……ちょっと減らされてるなあ。昨日、副看守長の前で粗相した時に減点されたのかも。まいったなぁ。僕、部屋にソファーを置きたくて頑張ってるんだけど、あれって一番小さいサイズでも5万ポイントするんだよね」
「高っ。俺からも何ポイントか出せねぇかな」
と言いつつ、俺も自分のカフスをかざす。ユウの個別ページが俺のページに切り替わった。
保有ポイント199。……幼児の小遣いか? ジュース一本買ったら終わりだ。
「……わーお。ごめんユウ。今の俺では力になれそうにない」
「新人なんだからそんなもんだって。むしろ母乳も出ないうちに三桁ポイント稼げるなんてすごいことだよ? シコは真面目でいい子だよ」
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