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刑務所の1日編
風呂①
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午後労役は終了時間が曖昧だ。一応、夕飯の時間に労役終了がアナウンスされるが、それ以前に切り上げてしまう囚人が多い。
大浴場が解放されるためである。
時計が十七時を指したあたりから、多目的室からぼちぼち人が消え始めた。俺も、そこからさらに三十分ほど待って立ち上がった。
微妙にタイミングを見計らったのには訳がある。設備ごとにそこを仕切っているボス囚人みたいなのがいて、そいつに配慮しなくてはならないからだ。
具体的にどの部屋の誰がどう権力を持っているのかわからないが、とりあえず俺は大浴場解放から三十分程度してから入浴しに向かうのが無難らしい。ユウが初日に噛んで含めるようにして教えてくれた。大概まめな男であるあいつがことさら丁寧に説明したっていうことは、それだけ重要なことなんだろう。重要なことっていうのは、それを蔑ろにしたら酷い目に遭うってことだ。
刑務所生活というのは不文律が多すぎる。
ユウがああ見えてけっこうなボス格で、俺はあいつの腰巾着をやってるから比較的平和に過ごせているけれど、このパワーバランスが崩れたらどうなることやら……。
俺は詮無いことをつらつら考えながら、大浴場へと向かった。
大浴場は地下にある。脱衣所から先には見張りの看守がおらず、かわりに監視カメラの数がぐんと増える。天井にも、床にも、その他ちょっとした物陰にも黒い球体レンズが潜んでおり、俺たちの一挙一動を監視している。
これだけカメラが多かったら死角も何もあったもんじゃないな。ケツ穴まで撮影されてそう。
さて、大浴場の構造としては、温泉だとか銭湯だとかと大差ない感じだ。ロッカーが並ぶ脱衣所があって、トイレとか洗面台とかがあって、仕切りの向こう側に広々とした『洗い場』とタイル張りの大浴槽がある。ただ、要所要所がSFじみたハイテク仕様だ。
例えばロッカー。脱衣場に入るために雄っぱい認証した時点で、今日はどこのロッカーと洗い場を使えといった指示が出る。
今日指定されたのは、比較的浴場に近い場所にあるロッカーだった。ラッキーだ。細かいようだが、全裸で移動しなければならない距離が短くなるというのはかなり良い。
ロッカーは縦に細長いタイプで、その中にはタオル数枚と新しい下着、それに替えの囚人服があらかじめ置かれている。その囚人服をまずチェックして、俺はちょっと溜息をついた。
ワンピースタイプか……。
俺が確認できている限り、囚人服には上下が分かれているセパレートタイプとツナギみたいなワンピースタイプの二つがある。身体にぴったりと張り付く白黒ボーダーという点は全く同じなので見た目的には大差ないのだが、ワンピースタイプの方は機能面に難がある。
その、例えば、トイレ行く時とかの着脱がな……。
前面ファスナーが股下をくぐって尻の割れ目あたりまで伸びているので「トイレに行くたびに完全脱衣しなければならない!」みたいな事態にはならないんだが、ズボンを下ろして終わりのセパレートタイプに比べれば結構不便だ。小をするだけでも胸元や腹をばーんと出さないといけなし、大の方になるとな……。だんだん左右に割り開くようにずれていって、露出がけっこうエグいことになるし。
だから俺はセパレートタイプの方が好きなんだが、どっちのタイプの囚人服が支給されるかは五分五分のランダムなので致し方ない。
なお、ワンピースタイプの中にもさらに種類があり、前は閉じたまま尻だけ出せるダブルファスナータイプもあるんだが、俺はそれに当たったことはない。ユウが時々そういうタイプの囚人服を着ている。もしかしてアレも模範囚の特権だったりするんだろうか。
仄かに柔軟剤の香りがする替えの囚人服をロッカーに仕舞いなおし、汗やらなにやらが染み込んだ服を脱いでいると、隣のロッカーにユウが来た。
大浴場が解放されるためである。
時計が十七時を指したあたりから、多目的室からぼちぼち人が消え始めた。俺も、そこからさらに三十分ほど待って立ち上がった。
微妙にタイミングを見計らったのには訳がある。設備ごとにそこを仕切っているボス囚人みたいなのがいて、そいつに配慮しなくてはならないからだ。
具体的にどの部屋の誰がどう権力を持っているのかわからないが、とりあえず俺は大浴場解放から三十分程度してから入浴しに向かうのが無難らしい。ユウが初日に噛んで含めるようにして教えてくれた。大概まめな男であるあいつがことさら丁寧に説明したっていうことは、それだけ重要なことなんだろう。重要なことっていうのは、それを蔑ろにしたら酷い目に遭うってことだ。
刑務所生活というのは不文律が多すぎる。
ユウがああ見えてけっこうなボス格で、俺はあいつの腰巾着をやってるから比較的平和に過ごせているけれど、このパワーバランスが崩れたらどうなることやら……。
俺は詮無いことをつらつら考えながら、大浴場へと向かった。
大浴場は地下にある。脱衣所から先には見張りの看守がおらず、かわりに監視カメラの数がぐんと増える。天井にも、床にも、その他ちょっとした物陰にも黒い球体レンズが潜んでおり、俺たちの一挙一動を監視している。
これだけカメラが多かったら死角も何もあったもんじゃないな。ケツ穴まで撮影されてそう。
さて、大浴場の構造としては、温泉だとか銭湯だとかと大差ない感じだ。ロッカーが並ぶ脱衣所があって、トイレとか洗面台とかがあって、仕切りの向こう側に広々とした『洗い場』とタイル張りの大浴槽がある。ただ、要所要所がSFじみたハイテク仕様だ。
例えばロッカー。脱衣場に入るために雄っぱい認証した時点で、今日はどこのロッカーと洗い場を使えといった指示が出る。
今日指定されたのは、比較的浴場に近い場所にあるロッカーだった。ラッキーだ。細かいようだが、全裸で移動しなければならない距離が短くなるというのはかなり良い。
ロッカーは縦に細長いタイプで、その中にはタオル数枚と新しい下着、それに替えの囚人服があらかじめ置かれている。その囚人服をまずチェックして、俺はちょっと溜息をついた。
ワンピースタイプか……。
俺が確認できている限り、囚人服には上下が分かれているセパレートタイプとツナギみたいなワンピースタイプの二つがある。身体にぴったりと張り付く白黒ボーダーという点は全く同じなので見た目的には大差ないのだが、ワンピースタイプの方は機能面に難がある。
その、例えば、トイレ行く時とかの着脱がな……。
前面ファスナーが股下をくぐって尻の割れ目あたりまで伸びているので「トイレに行くたびに完全脱衣しなければならない!」みたいな事態にはならないんだが、ズボンを下ろして終わりのセパレートタイプに比べれば結構不便だ。小をするだけでも胸元や腹をばーんと出さないといけなし、大の方になるとな……。だんだん左右に割り開くようにずれていって、露出がけっこうエグいことになるし。
だから俺はセパレートタイプの方が好きなんだが、どっちのタイプの囚人服が支給されるかは五分五分のランダムなので致し方ない。
なお、ワンピースタイプの中にもさらに種類があり、前は閉じたまま尻だけ出せるダブルファスナータイプもあるんだが、俺はそれに当たったことはない。ユウが時々そういうタイプの囚人服を着ている。もしかしてアレも模範囚の特権だったりするんだろうか。
仄かに柔軟剤の香りがする替えの囚人服をロッカーに仕舞いなおし、汗やらなにやらが染み込んだ服を脱いでいると、隣のロッカーにユウが来た。
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