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刑務所の1日編
午後労役②
コクヨウ家。
この国に住んでいて、その一族の名前を知らない者はいない。
政界、財界、学界、法曹界――。ありとあらゆる分野において、頂点に坐する人間の苗字は必ずと言っていいほど「コクヨウ」だ。例えその人物が失脚して、次のリーダーが民主主義的に選抜されたとしても、それもまたコクヨウの名前を持つ。コクヨウ姓でなくても、近い親類にコクヨウがいる。そういった家柄だ。
今や海外の辞書にすら、支配者という意味の一般名詞として「kokuyou」が載っているほどだという。
余談だが、俺が収監前に務めていた会社の社長もコクヨウ氏だった。本家から遠めの分家筋だったとかで、極めて有能だがちょっとワンマンなところがある人だった。
だから、やっぱりここの権力者もコクヨウなんだな、というのが俺の正直な感想だった。あんまり驚くに値しない。
所長とか事務長とかの裏方トップではなく看守長という現場トップだというのが意外っちゃあ意外だが、まぁそういうコクヨウもいるのだろう。
その看守長様が帰還したら刑務所生活ががらりと変わるらしいけど、それまでにちゃんと雄母乳出るようになっておきたいところだ。先ほどのユウの口ぶりから察するに、俺はコクヨウ様とやらに目を付けられる可能性が高いらしい。
余計な苦労を背負い込むのは嫌だ。出来る限り無難な囚人になっておかないと。
もみもみもみ、と、片方の胸を丹念にほぐす。多目的室の壁には『正しい搾乳のやり方』だとか『雄っぱいマッサージのやり方』だとかいうポスターが至る所に貼ってあった。過去実際に居た囚人なんだろうか、立派なモノをお持ちの男性が自分の胸を揉んだり搾ったりしている写真が入っていてとても分かりやすい。……乳首めっちゃデカいな、あのモデル。ただ搾乳を続けているだけであそこまで肥大するもんなんだろうか?
俺は少しばかり心配になった。
今は雄母乳開通を目指して頑張っているが、最終目標はもちろん一般男性としての社会復帰である。
巨乳男性に厳しい時代ではあるが、ここで立派にお勤めすれば、デカい胸でも大手を振って生きて良いという許可証のようなものが貰えるのだ。でも、あんなにエロい乳首になったら社会生活に支障をきたすんじゃないだろうか? いや、絶対にきたすだろ。プールや温泉は勿論のこと、ちょっと薄手の服ですら着られなくなる。乳首のあたりが盛り上がってしまう。
小心者なところがある俺は、一時気にしたら止まらなくなった。そして、そう言えば他の囚人の胸をしっかり見たことはなかったなと思い至った。
後学のためだ。風呂の時にそれとなく観察しよう。
時計を見ると、午後三時をすぎたあたりだった。午後五時になれば大浴場が解放され、好きなタイミングで入浴することができる。
それまで、俺は頑張ってセルフマッサージを続けて時間を潰した。
相変わらず、出そうで出ないという段階から次に進めなかった。
この国に住んでいて、その一族の名前を知らない者はいない。
政界、財界、学界、法曹界――。ありとあらゆる分野において、頂点に坐する人間の苗字は必ずと言っていいほど「コクヨウ」だ。例えその人物が失脚して、次のリーダーが民主主義的に選抜されたとしても、それもまたコクヨウの名前を持つ。コクヨウ姓でなくても、近い親類にコクヨウがいる。そういった家柄だ。
今や海外の辞書にすら、支配者という意味の一般名詞として「kokuyou」が載っているほどだという。
余談だが、俺が収監前に務めていた会社の社長もコクヨウ氏だった。本家から遠めの分家筋だったとかで、極めて有能だがちょっとワンマンなところがある人だった。
だから、やっぱりここの権力者もコクヨウなんだな、というのが俺の正直な感想だった。あんまり驚くに値しない。
所長とか事務長とかの裏方トップではなく看守長という現場トップだというのが意外っちゃあ意外だが、まぁそういうコクヨウもいるのだろう。
その看守長様が帰還したら刑務所生活ががらりと変わるらしいけど、それまでにちゃんと雄母乳出るようになっておきたいところだ。先ほどのユウの口ぶりから察するに、俺はコクヨウ様とやらに目を付けられる可能性が高いらしい。
余計な苦労を背負い込むのは嫌だ。出来る限り無難な囚人になっておかないと。
もみもみもみ、と、片方の胸を丹念にほぐす。多目的室の壁には『正しい搾乳のやり方』だとか『雄っぱいマッサージのやり方』だとかいうポスターが至る所に貼ってあった。過去実際に居た囚人なんだろうか、立派なモノをお持ちの男性が自分の胸を揉んだり搾ったりしている写真が入っていてとても分かりやすい。……乳首めっちゃデカいな、あのモデル。ただ搾乳を続けているだけであそこまで肥大するもんなんだろうか?
俺は少しばかり心配になった。
今は雄母乳開通を目指して頑張っているが、最終目標はもちろん一般男性としての社会復帰である。
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小心者なところがある俺は、一時気にしたら止まらなくなった。そして、そう言えば他の囚人の胸をしっかり見たことはなかったなと思い至った。
後学のためだ。風呂の時にそれとなく観察しよう。
時計を見ると、午後三時をすぎたあたりだった。午後五時になれば大浴場が解放され、好きなタイミングで入浴することができる。
それまで、俺は頑張ってセルフマッサージを続けて時間を潰した。
相変わらず、出そうで出ないという段階から次に進めなかった。
感想 5
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