♯00【神楽坂ゴシック・フォックス探偵事務所のB級的調査譚】重慶の幽鬼

る・美祢八

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第一章 夏の重慶の夜に

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   ■■ 2 ■■


 ――ヤバいものを目撃してしまった! 俺たちは、いま、死に直面している!


 と、場面は同じく重慶の繁華街の裏、スラム街のような一角に変わる。

 ある二人の青年が、死のピンチとでも言うべき状況に瀕していた。

 ここ数カ月、重慶を騒がせ恐怖に陥れている“連続人間消失事件”――

 彼らは、その犯人とされる“幽鬼”を調査し炙り出してやると、冗談半分ながら動画を撮影していたのだが、まさかの、本当に幽鬼と遭遇してしまうとは思ってなかったのだ!

 暗く、足場の悪い中を走る青年二人の影。


「――ああ、俺の携帯! 落としちゃった!! それに、車もっ!!」

「おい!! 今そんなこと言って場合じゃねぇだろ!!」


 事情はともかく、青年の一人が怒鳴り、もたつく相方を急がせる。



 二人はそのまましばらく逃げ、何か廃墟のような建物の中に入り込んだ。

「――ハァ……、ハァ! クッ、ソッ! きっちぃ!」

「ハァ、ハァッ! お、俺も! も、もう限界だって!」 

 二人は、完全に息が切れかけていた。

 こんなに走ったのは、高校以来のしばらくぶりだろうか。

「だ、だが、よう! こ、ここまで来たら、何とか大丈夫だろっ? ハァ……、ハァ……」

「ま、まあ、とりあえず……。何とか、撒いたかな……」

 青年コンビは身を隠すようにし、壁に寄りかかる。

「てか、問題はこっからだっつの……! お、お前、何とかしろよ! 俺たち、幽鬼のヤツを見ちまったからな、このままじゃヤバいぞ!」

 いかつい丸顔の、ガタイの良いほうの青年が相方に言う。

「な、何とかしろって……、そう簡単に言ってくれるなよ……」

 こちらは、金髪のイケメン風の相方であるが、「勘弁してくれよ」と、まいった様子を見せながらも、

「――どうすっかな? お袋たち、頼ってみるか……? いや、むしろ怒られちまうだろうな……。てか、俺、携帯落としちまったし……」

「何だよ、お前。使えねぇな……」

 と、丸顔のほうの青年が苛立った。

 そんな時、


 ――チャ、リン♪


 と、丸顔のスマホに、SNSに“とある通知”が届いた。

「あん……?」

 丸顔の男は、怪訝な顔で通知を開いてみる。

「ど、どしたん? ――え?」

「こ、これは……!」

 通知の内容に、二人は思わず驚きの声を上げていた。



――続く
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