♯04【神楽坂ゴシック・フォックス探偵事務所のB級的調査譚】激痛茶館

る・美祢八

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第一章 奇妙な案件の発端

3─1

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   ■■ 3 ■■


「――お、おい! 何でそんなこと黙ってたんだ! ソユン!」


 と、夜の屋台街に、皆の素っ頓狂な声に続いて、チヂミ屋のオヤジことキム・テヤンの声が響いた。

 また、

「そうだよ。何で、そんな重要なこと、先に言わなかったんだい? もしかして、僕たちを気遣ってくれてたのかい? ソユン」

 と、キノコ頭にピンクと黄色スーツのドン・ヨンファも続いた。

「いや……、私、アンタたちに、1ミリグラムも気遣う心無いんだけど……」

 スプラッタもの好きの女、“ジグソウ・プリンセス”ことパク・ソユンが、呑気にチジミを食い、ジンロで喉に流しつつ答える。

「けっ……! 悪かったな、1ミリグラムの価値もない男どもでよ……!」

 キム・テヤンが、面白くない顔で舌打ちした。



「――まあ、そういうわけで……、特別な意味なんてないわよ。ほんとに、ただ忘れてただけよ」

「忘れてたってよぅ……」

 改めるように言ったパク・ソユンに、キム・テヤンが呆れ気味になったところ、

「まあ、ソユンがそう言うからには、本当に忘れてたんだろうな」

 と、カン・ロウンも加わってきた。

「――そうよ。ああ……! ここ来る前に、ちょっとポーカーしに行っててさ……。それで、忘れちゃったんだ」

 パク・ソユンは思い出したように言った。

 このパク・ソユンであるが、すっかり競技人口が増えて久しい“ポーカー”――テキサスホールデム・ポーカーを趣味の一つとしており、ソウルの競技ポーカールームに出入りしていた。

「けっ……、何が忘れちゃっただ」

 と、再び舌打するキム・テヤン。

 そこへ、

「ところで、その招待状を見せてくれないか? ソユン」

 と、カン・ロウンが頼んできた。

「ああ、そうだ! 肝心の、“そいつ”を見せてくれよぅ」

「はい、どーぞ」

 と、キム・テヤンも頼むと同時、パク・ソユンは酒のつまみの並び、多少汚れた中にスッ――と、カードをショウするように置いてみせた。


「こ、これは……!」


「……」


 顔をしかめるキム・テヤンと、丸サングラス越しに沈黙するカン・ロウンの観る先――

 置かれた招待状には、やはり、――何か、神経系と、化学物質と思しき、若干趣味悪気なイラスト添えられていたが……



――続く
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