耳から溶かして、声で愛して

えつこ

文字の大きさ
13 / 31
3話

4 *

しおりを挟む


『気持ちいい?言って、千寿』
「はぁっ……きもち、いい……んんっ……」
『どこが気持ちいい?』
「ちくびっ、……あっ、ちくび、きもちい、から……、もっと触って」
 言葉にすると、快感が増幅される。もっと乳首を触って欲しくて、俺は胸を突きだす。峰谷は『可愛い』と言い、カウントダウンを続ける。
『二……。これ、剥がしちゃうね』
「ひぁっ、っあ……」
 左側の乳首のニップレスを勢いよく剥ぎ取られる。ピリッと一瞬の刺激で、俺は腰を揺らした。こぷりと先走りが垂れる。俺自身は痛いほど勃ちあがり、射精のときを待っている。
『一……。ほら、カウントダウンが終わる……』
 露わになった左側の乳首と、濡れた右側の乳首を、峰谷の指が弄ぶ。くにくにと圧し潰し、ぴんっと弾いて、こりこりと摘ままれ、ぐいっと引っ張られ、乳首で生み出される快感に、俺は恍惚とした。
「あっ、……ちくび、きもちいっ……、だめ、イく、イくからぁ……」
『千寿、イきたい?乳首でイっちゃっていいの?』
「イきたいっ……、はっ、乳首でイかせて…、っあ、あ……お願いっ……」
『一生懸命喘いじゃって可愛い』
 ふふっと耳元で笑われて、吐息が当たる。犬飼の楽しそうな口調で『ゼロ』とカウントダウンを終えた。
『イけ』
 艶のある犬飼の低い声が、鼓膜に注がれた。
「あっ、イく、イっ……、ひっ、あ、あっ……ああああっーー!」
 ぶわりと全身に快楽の波が広がり、俺は勢いよく射精した。禁欲していたせいで、濃い精液がびゅくびゅくと解き放たれ、俺の腹に散る。
『千寿、イけ』
 もう一度声が吹きこまれ、余韻に浸る俺は、びくんと身体を震わせた。乳首はじんじんと熱く、性器がじくじくと滾る。さらに、腹の奥がきゅんきゅんして、後孔がきゅうと締まる。後孔は一切刺激していたいのに、犬飼の声のせいで、中イキしたような感覚に襲われた。
「はぁっ、……あっ、だめ、イってる……きもち、いいっ……」
『千寿』
 峰谷は俺を見つめる。情熱的な視線に、俺は熱い息を吐いた。峰谷の顔が近づき、キスをされると思った。しかし、全身を支配する快感に、俺は夢の中で意識を手放した。



 目覚めると、知らない部屋にいた。布団は柔らかく、シトラスのような爽やかな柑橘系の匂いがする。
 起き上がり、部屋を見回しながら、記憶を辿る。合コンで酔い潰れ、タクシーに乗って、それからの記憶がない。欲求不満が原因の夢を見ていたことは覚えている。二日酔いで気分は悪いが、身体はスッキリとしていた。
「川元、起きた?」
 部屋のドアが開き、現れたのは峰谷だった。Tシャツにスウェットというラフな格好で、野暮ったい空気をまとっている。
「ごめん、昨日迷惑かけた?あんまり覚えてなくて……。ここ、峰谷の家だよな?」
「大丈夫。シャワー浴びてきたら?」
「え、いいよ。っつーか、今何時?」
 カバンやスマホの行方がわからず、一瞬焦る。しかし、ベッド脇の床にカバンを置いてあるのを発見した。
「もうすぐ九時」
 俺はベッドから降り、カバンからスマホを取り出す。森田から数件メッセージが来ていたが、緊急のものではなさそうなので、後で返信することにした。今日はバイトを入れていないので、慌てることはない。
「ごめん、やっぱりシャワー借りてもいい?」
 汗でベタつく肌が気持ち悪い。それにシャワーを浴びて二日酔いの頭をスッキリさせたかったので、峰谷のお言葉に甘えることにした。
 
 峰谷の部屋は1LDKで、綺麗に整頓されていた。家具は白やベージュで統一され、リビングの隅には観葉植物が置いてある。オタクなのかと思ったが、そういうフィギュアやグッズは見当たらない。案内された浴室も綺麗に掃除してあり、俺の荒れ放題の部屋とは正反対だと思った。
「タオルはラックのやつ適当に使ってくれればいいから」
「うん。ありがと」
 峰谷が脱衣場から出て行き、俺は一息つく。「よかったら着替えて」と受け取ったグレーのTシャツは、綺麗にアイロンがけしてあり、洗い立ての洗剤の匂いがした。
 そのTシャツをラックに置き、俺は着ているTシャツを脱ぐ。乳首に貼ったニップレスを剥がすときに、昨晩の夢を思い出し、一瞬手が止まる。
 リアルな感触と強烈な快感が蘇り、鼓動が跳ね、背筋がぞくりとする。夢で剥がされたはずのニップレスが貼ったままだから、あれはやっぱり夢だったんだ。俺はそう思いながら、ニップレスを剥がす。普段より粘着力がない気がしたのは、汗をかいたせいだろう。ニップレスは隠すようにティッシュに包んで捨てた。ぷっくりと主張する乳首を気にしながら、俺はシャワーを浴びた。


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。

ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。 その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。 胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。 それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。 運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...