14 / 28
会えないとダメみたい
しおりを挟む
どうしよう。
・・・・・・・・・全然撮れない。
叶多のマンションから自宅に戻ったオレは早々に危機に陥っていた。
星空の下に行っても、ちっともいい写真が撮れないのだ。
シャッターをきって画像を確認しても納得がいかない。
何がいけないのかも、分からない。
もちろん星のせいなんかじゃない。
原因はオレ自身の中にあった。
けど、何が原因なのかをはっきりと言葉に表すことができない。
ただただ、心の中がどんよりと重くて、しくしくとする。
これがスランプってやつなのか。
何ともやっかいだ。
ぐううううう。
オレの腹の虫が騒ぎ始めた。
でも、やっぱり金もない。
何か安い食べ物でも探しに行くか。
家に鍵をかけながら、ふと叶多と食べたパスタを思い出した。
叶多に教えてもらったカルボナーラ、旨かったな。
その瞬間、目頭がジンと熱くなって、オレは焦って顔をブンブンと振った。
スマホのニュース画面が映し出された。
「人気俳優 南叶多の素顔 大物議員Oとの熱愛現場をスクープ!」
どういうことだよ。
何で、叶多に渡した写真が記事になってるんだよ。
すぐさま出版社に電話をかけたが、話し中の音ばかりで繋がる気配もない。
オレは待ちきれずに直接編集長のところへ向かった。
編集部はいつもとうってかわって意気揚々と電話に応対していた。
「お手柄!
昨日の夜にデータ送ってくれたからギリギリ間に合ったよ。
はい、これ」
編集長、やれば愛想良くできるんじゃん。
スクープ一本でころりと態度を変えてくる中年オヤジにいささか辟易した。
これ、メールで言われてたやつと、いくらか厚みのある封筒を渡された。
これだけの額があれば多少の撮影旅行には行けそうだ。
けど、オレが行かなきゃと思ったのは旅行なんかじゃなかった。
オレ、メールなんか送ってない。
叶多、何考えてんだよお前。
今すぐ聞きたいけど、無理だった。
オレは叶多の連絡先なんか知らなかったからだ。
連絡先交換しよっか、なんて関係じゃなかったから。
なのに、連絡とれなきゃどうしようもない状況になるなんて。
金もないから走るしかなかった。
会いに行かなきゃ、話しをしたい、声を聞きたい、って思ってるのは、何でだろう。
・・・・・・・・・全然撮れない。
叶多のマンションから自宅に戻ったオレは早々に危機に陥っていた。
星空の下に行っても、ちっともいい写真が撮れないのだ。
シャッターをきって画像を確認しても納得がいかない。
何がいけないのかも、分からない。
もちろん星のせいなんかじゃない。
原因はオレ自身の中にあった。
けど、何が原因なのかをはっきりと言葉に表すことができない。
ただただ、心の中がどんよりと重くて、しくしくとする。
これがスランプってやつなのか。
何ともやっかいだ。
ぐううううう。
オレの腹の虫が騒ぎ始めた。
でも、やっぱり金もない。
何か安い食べ物でも探しに行くか。
家に鍵をかけながら、ふと叶多と食べたパスタを思い出した。
叶多に教えてもらったカルボナーラ、旨かったな。
その瞬間、目頭がジンと熱くなって、オレは焦って顔をブンブンと振った。
スマホのニュース画面が映し出された。
「人気俳優 南叶多の素顔 大物議員Oとの熱愛現場をスクープ!」
どういうことだよ。
何で、叶多に渡した写真が記事になってるんだよ。
すぐさま出版社に電話をかけたが、話し中の音ばかりで繋がる気配もない。
オレは待ちきれずに直接編集長のところへ向かった。
編集部はいつもとうってかわって意気揚々と電話に応対していた。
「お手柄!
昨日の夜にデータ送ってくれたからギリギリ間に合ったよ。
はい、これ」
編集長、やれば愛想良くできるんじゃん。
スクープ一本でころりと態度を変えてくる中年オヤジにいささか辟易した。
これ、メールで言われてたやつと、いくらか厚みのある封筒を渡された。
これだけの額があれば多少の撮影旅行には行けそうだ。
けど、オレが行かなきゃと思ったのは旅行なんかじゃなかった。
オレ、メールなんか送ってない。
叶多、何考えてんだよお前。
今すぐ聞きたいけど、無理だった。
オレは叶多の連絡先なんか知らなかったからだ。
連絡先交換しよっか、なんて関係じゃなかったから。
なのに、連絡とれなきゃどうしようもない状況になるなんて。
金もないから走るしかなかった。
会いに行かなきゃ、話しをしたい、声を聞きたい、って思ってるのは、何でだろう。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
ラピスラズリの福音
東雲
BL
*異世界ファンタジーBL*
特別な世界観も特殊な設定もありません。壮大な何かもありません。
幼馴染みの二人が遠回りをしながら、相思相愛の果てに結ばれるお話です。
金髪碧眼美形攻め×純朴一途筋肉受け
息をするように体の大きい子受けです。
珍しく年齢制限のないお話ですが、いつもの如く己の『好き』と性癖をたんと詰め込みました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる