星狩る人

仙崎 楓

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どこへ行こう

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「よし、っと」
 オレは実家から持ち帰ったスーツケースにカメラ機材一式を詰め込んだ。
パスポートも飛行機のチケットも用意できた。
これで出国準備は完了だ。
叶多は買い物に行くと言って出かけている。
叶多をマンションで待つのもあと何回だろう。
玄関のドアが開いた音が聞こえて、オレは玄関まで出迎えようと顔を覗かせた。
「おかえり」
「空あ!」
「えっ、うわああ!
 何だよこええ!!」
 叶多は大きく振りかぶって、野球のピッチャーばりにオレに向かって何かを投げつけてきた。
結構いいスピードだったから、オレは目を閉じて両手でそれをキャッチした。
ゴツゴツしてて、固くて重い。
おい、当たったら絶対タンコブじゃ済まない大怪我してるぞ!
「持っていけ」
持っていけ、って…。
オレは両手を広げて叶多からのプレゼントを確認した。
「…これ、叶多の時計」
「ちゃんと見ろよ」
 叶多がかざした左手にはちゃんと時計がつけられている。
「色違い。
 離れてる間、肌身離さずずっと持ってろ」
 確かに叶多の時計はモスグリーンとブラックを基調にしたデザインだ。
オレが渡された時計は、モスグリーンの部分がダークブルーに彩られている。
夜空を切り取ったような時計だった。
「叶多・・・ありがとう」
オレは自分の鞄を開けて、中からファイルを取り出した。
「お返しにしちゃアレだけど」
 叶多はファイルを開くと、何も言わずにじっと中を眺めていた。
「ハワイの時の写真。結構いいだろ?
 使ってもいいぞ」
「俺が車中泊して寝てる写真をか?」
 叶多は可笑しそうに片目を細めて笑った。
「今この写真は南叶多のグラビア、だけど、すぐにプロカメラマン神原空が撮影した写真、って言われるようになって帰ってきてやるから」
「今は日本時刻にしてるけど、時差が出たら言えよ。
 オレの時計はお前の時間にしとくから」
時計の文字盤には日付も出るようになっていて、十二月三十一日と表示されている。
「そっか。
 今日って大晦日なんだ」
「そういえばそうだな。
 年末年始は毎年仕事が入ってたから家で年越すの久しぶりだな」
「オレは近所の神社とか寺に行って願掛けだな。
 甘酒とかもらってさ~」
「空の狙いは参拝より甘酒のほうだろ。
 まあ、もう今年は願いは叶ってるしな」
「…いや!
 やっぱ今年も行かなきゃ!
 一年のお礼をしないと」



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