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第7話
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「危ない!」
吉田の声に反応して机を避ける。階段まで距離のあった俺と福間は教室に逃げ込む。
「大丈夫か?」
「は、はい。なんとか大丈夫です。」
福間は思ったより落ち着いているな。三人は階段の方へ逃げていたから大丈夫だろう。
「私たちも速く階段に行きましょう。」
俺は急いで教室から出ようとする福間の襟をつかんで教室へ引き込む。
「え?」
ガシャーン!
教室の前を再び机が横切った。少しでも教室から出ていれば机が直撃していただろう。鬼面の男は俺たちを教室から出さないつもりのようだ。
「あ、ありがとうございます。」
福間は茫然と立ち尽くしている。
「どうやら俺たちを教室から出したくないみたいだな。」
「そうですね。どうしましょうか。」
落ち着いていた福間も少しだけ焦った様子を見せる。
「吉田、先に行ってくれ。」
「わかった。また後で。」
吉田も状況を理解しているようで、食い下がることなく下へ降りて行った。
吉田たちが降りた後も俺たちが教室から出られないように何度か机が投げられた。
「先輩、どうしましょう。窓から降りますか?」
「福間は二階から飛び降りられるか?床から地面まで3 mはあるぞ。窓から降りるとなる3.5 mから4 mはある。降りた後も走って逃げる必要がある。」
「でも、カーテンを下に垂らしてぎりぎりまで下がれば、、、。」
「鬼面の男がそんなに待ってくれる補償はない。」
「うっ、、、。」
福間が引き下がる。
「このまま鬼と一戦交えるしかないだろうな。」
「え?大丈夫なんですか?」
福間は少し動揺するが、志村は冷静な表情で続ける。
「鬼面の男と戦った先輩たちが瞬殺されずに時間を稼いだ。つまり対抗できる手段があるということだ。というか、お前もなにか心当たりがあるんじゃないか?」
「え。なんで、、、。」
たしかに違和感はあった。昼休みにあの放送が流れてから放送に対する不安だけでなく、なにか体に異変が起きているような気はしていた。それに、さっき襟を掴まれたときに確信した。
「心当たりはあります。でもそれが何かはわからないです。もしかして先輩はそれがなにか知っているんですか?」
「いや、何も知らない。わかっているのは確実に何かあるということだけだ。」
福間は驚いたような表情を浮かべる。しかし、福間も何かを感じているなら勝算はある。おそらく吉田も何かを感じているはずだ。
「それに、多分あの男は俺たちを殺す気はない。」
「なんでそんなこと言えるんですか?」
「まず、三年の先輩たちを殺してここに来るまでに時間がかかり過ぎている。対抗できる力があったとしてもあの怪力なら瞬殺だろう。俺たちが感じている違和感が鬼面の男に対抗できる力だったとしても、力を手に入れたばかりの人間相手にここまで時間はかからないだろう。」
福間もたしかに、と納得しかける。
「でも、殺すのを楽しんでいるかもしれないじゃないですか。」
「もしそうなら、鉈は捨てないだろうな。」
まぁ、あの怪力なら鉈があってもなくても変わらないだろうが、それなら鉈を持ち込む必要はない。
「じゃあ、先輩はあの鬼面の男に勝てるんですか?」
「多分無理だろうな。俺たちが感じている違和感が鬼に対抗できる、それも現状をひっくり返せるだけの力でもない限りは。」
「そうですよね。」
落ち着いた様子の志村とは裏腹に福間は表情を曇らせる。
机が投げられなくなってから数分が経過している。鬼面の男がやってくる気配はない。
何かに気づいた志村は机を廊下に蹴り飛ばした。
「まさか、」
ほんの少しだけ志村が驚いたような表情を見せた。
「どうかしたんですか?」
福間の声を無視して扉の影から廊下の様子をうかがう。
「鬼面の男が廊下にいない。渡り廊下に戻ったか、特別教室棟に向かったか、それとも下に降りたか。」
「早く追いかけましょう!」
福間が勢いよく教室から出ようとしたが再び襟を掴んで制止する。
「後ろから追いかけるのは愚策だ。上の階から回るぞ。」
「はい。」
上の階に上がり様子をうかがうが、鬼面の男が上がってきた様子はない。
「大丈夫だ。行くぞ。」
三階の廊下を走り抜けようとすると、教室に残っている女子生徒が一人いた。
「あれ、月影さん?」
福間が立ち止まり、女子生徒の名前を口にする。
「クラスメイトか?」
「はい。月影さんだよね、まだ教室にいたんだ。」
福間の声で俺たちに気づいた女子生徒がこちらを見る。今、一瞬俺を睨まなかったか?福間が事情を話した。
「月影さんも一緒に行かない?」
「ありがとう。でも私はここにいるわ。福間律さん、気を付けてね。」
「月影さんも気を付けてね。」
月影とはここで別れて俺たちは三階の渡り廊下に向かう。終始月影ににらまれているような気がした。
「廊下にもいない。大丈夫だ。急ぐぞ。」
俺たちは何事もなく、特別教室棟にまで行き二階に降りた。
「先輩、あれ、、、。」
福間が指をさした先には生徒会長の神田と副会長の荊尾が倒れていた。
「大丈夫だ。廊下にも鬼はいない。」
ここにもいないということは、鬼面の男は吉田たちの方に向かったということか。
渡り廊下の様子を確認し、福間に声をかける。俺たちはそれぞれ会長たちに近づき意識を確認した。
「生徒会長は気を失っているだけだ。もっとも、怪我はひどいようだがな。そっちは?」
脈はあるが口は切れているし、背中にもあざがあるようだ。
「気を失っているだけみたいです。荊尾先輩も怪我をしているみたいです。」
幸い二人とも殺されていなかった。俺の予想は当たっている可能性が高い。鬼面の男は俺たちを殺す気はない。
「吉田たちがすでに鬼面の男と出くわしているはずだ。」
「そんな、早く行かなきゃ。」
吉田の声に反応して机を避ける。階段まで距離のあった俺と福間は教室に逃げ込む。
「大丈夫か?」
「は、はい。なんとか大丈夫です。」
福間は思ったより落ち着いているな。三人は階段の方へ逃げていたから大丈夫だろう。
「私たちも速く階段に行きましょう。」
俺は急いで教室から出ようとする福間の襟をつかんで教室へ引き込む。
「え?」
ガシャーン!
教室の前を再び机が横切った。少しでも教室から出ていれば机が直撃していただろう。鬼面の男は俺たちを教室から出さないつもりのようだ。
「あ、ありがとうございます。」
福間は茫然と立ち尽くしている。
「どうやら俺たちを教室から出したくないみたいだな。」
「そうですね。どうしましょうか。」
落ち着いていた福間も少しだけ焦った様子を見せる。
「吉田、先に行ってくれ。」
「わかった。また後で。」
吉田も状況を理解しているようで、食い下がることなく下へ降りて行った。
吉田たちが降りた後も俺たちが教室から出られないように何度か机が投げられた。
「先輩、どうしましょう。窓から降りますか?」
「福間は二階から飛び降りられるか?床から地面まで3 mはあるぞ。窓から降りるとなる3.5 mから4 mはある。降りた後も走って逃げる必要がある。」
「でも、カーテンを下に垂らしてぎりぎりまで下がれば、、、。」
「鬼面の男がそんなに待ってくれる補償はない。」
「うっ、、、。」
福間が引き下がる。
「このまま鬼と一戦交えるしかないだろうな。」
「え?大丈夫なんですか?」
福間は少し動揺するが、志村は冷静な表情で続ける。
「鬼面の男と戦った先輩たちが瞬殺されずに時間を稼いだ。つまり対抗できる手段があるということだ。というか、お前もなにか心当たりがあるんじゃないか?」
「え。なんで、、、。」
たしかに違和感はあった。昼休みにあの放送が流れてから放送に対する不安だけでなく、なにか体に異変が起きているような気はしていた。それに、さっき襟を掴まれたときに確信した。
「心当たりはあります。でもそれが何かはわからないです。もしかして先輩はそれがなにか知っているんですか?」
「いや、何も知らない。わかっているのは確実に何かあるということだけだ。」
福間は驚いたような表情を浮かべる。しかし、福間も何かを感じているなら勝算はある。おそらく吉田も何かを感じているはずだ。
「それに、多分あの男は俺たちを殺す気はない。」
「なんでそんなこと言えるんですか?」
「まず、三年の先輩たちを殺してここに来るまでに時間がかかり過ぎている。対抗できる力があったとしてもあの怪力なら瞬殺だろう。俺たちが感じている違和感が鬼面の男に対抗できる力だったとしても、力を手に入れたばかりの人間相手にここまで時間はかからないだろう。」
福間もたしかに、と納得しかける。
「でも、殺すのを楽しんでいるかもしれないじゃないですか。」
「もしそうなら、鉈は捨てないだろうな。」
まぁ、あの怪力なら鉈があってもなくても変わらないだろうが、それなら鉈を持ち込む必要はない。
「じゃあ、先輩はあの鬼面の男に勝てるんですか?」
「多分無理だろうな。俺たちが感じている違和感が鬼に対抗できる、それも現状をひっくり返せるだけの力でもない限りは。」
「そうですよね。」
落ち着いた様子の志村とは裏腹に福間は表情を曇らせる。
机が投げられなくなってから数分が経過している。鬼面の男がやってくる気配はない。
何かに気づいた志村は机を廊下に蹴り飛ばした。
「まさか、」
ほんの少しだけ志村が驚いたような表情を見せた。
「どうかしたんですか?」
福間の声を無視して扉の影から廊下の様子をうかがう。
「鬼面の男が廊下にいない。渡り廊下に戻ったか、特別教室棟に向かったか、それとも下に降りたか。」
「早く追いかけましょう!」
福間が勢いよく教室から出ようとしたが再び襟を掴んで制止する。
「後ろから追いかけるのは愚策だ。上の階から回るぞ。」
「はい。」
上の階に上がり様子をうかがうが、鬼面の男が上がってきた様子はない。
「大丈夫だ。行くぞ。」
三階の廊下を走り抜けようとすると、教室に残っている女子生徒が一人いた。
「あれ、月影さん?」
福間が立ち止まり、女子生徒の名前を口にする。
「クラスメイトか?」
「はい。月影さんだよね、まだ教室にいたんだ。」
福間の声で俺たちに気づいた女子生徒がこちらを見る。今、一瞬俺を睨まなかったか?福間が事情を話した。
「月影さんも一緒に行かない?」
「ありがとう。でも私はここにいるわ。福間律さん、気を付けてね。」
「月影さんも気を付けてね。」
月影とはここで別れて俺たちは三階の渡り廊下に向かう。終始月影ににらまれているような気がした。
「廊下にもいない。大丈夫だ。急ぐぞ。」
俺たちは何事もなく、特別教室棟にまで行き二階に降りた。
「先輩、あれ、、、。」
福間が指をさした先には生徒会長の神田と副会長の荊尾が倒れていた。
「大丈夫だ。廊下にも鬼はいない。」
ここにもいないということは、鬼面の男は吉田たちの方に向かったということか。
渡り廊下の様子を確認し、福間に声をかける。俺たちはそれぞれ会長たちに近づき意識を確認した。
「生徒会長は気を失っているだけだ。もっとも、怪我はひどいようだがな。そっちは?」
脈はあるが口は切れているし、背中にもあざがあるようだ。
「気を失っているだけみたいです。荊尾先輩も怪我をしているみたいです。」
幸い二人とも殺されていなかった。俺の予想は当たっている可能性が高い。鬼面の男は俺たちを殺す気はない。
「吉田たちがすでに鬼面の男と出くわしているはずだ。」
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